近年の日本において、オーガニック素材にこだわった食べ物を選んだり、お肉を食べないベジタリアンの人が増えてきたりと食生活に対する意識が変わり始めています。代替肉「大豆ミート」など新たな食材が出てきている中で、今注目されている「ヴィーガン」。街中にはおしゃれなヴィーガンカフェも登場し、ヘルシー志向な人だけでなく、カフェ好きや推し活の場としても利用者が増えているのだとか。
そこで本コラムでは、話題のヴィーガンカフェの魅力や実際にヴィーガン食を試してみた率直な感想等をご紹介していきます。
ヴィーガンに注目が集まる理由
まずは、なぜ今ヴィーガンが注目されているのか、そもそもヴィーガンとは何か、おさらいも含めて解説していきます。
ヴィーガンとは?
ベジタリアンやヴィーガンは日本でもよく使われるワードになってきましたが、そもそもこの2つがどう違うのかについて、いまいちわからないという方もいるかもしれません。
根本的な違いとして、
- ベジタリアン:肉や魚を食べない人(かつおや出汁もNG)
- ヴィーガン:肉や魚を食べない上に卵、バター、牛乳などの動物性由来の食べ物を一切食べない人
という点が挙げられます。
この他にもペスカタリアン(肉は食べずに魚介類を食べるベジタリアン)や、欧米に多いといわれるラクトオボベジタリアン(肉や魚を食べないが、卵や牛乳、はちみつなどの動物性由来のものを食べるベジタリアン)など、食材の種類によって細かく分類されています。
その中でも動物性の食品を一切摂らないことから、ヴィーガンはピュアベジタリアンと呼ばれることもあります。
では、なぜ今ヴィーガンを選ぶ人が増えているのかについて探っていきます。
ヴィーガンになる人が増えている理由
海外では多くのセレブも実践しているヴィーガンですが、日本でもヴィーガンカフェが急増し「ヴィーガン」というワードそのものは一般的にも知られるようになってきました。それではなぜ今ヴィーガンを選ぶ人が増えているのでしょうか。
その理由として、
1. 健康志向
肉を食べる人に比べてヴィーガンやベジタリアンはボディマス指数(BMI)が低く、総コレステロール値や血糖値も低い傾向にあることがわかっています。また、食品化学ジャーナル「Critical Reviews in Food Science and Nutrition」によって、虚血性心疾患やがんで死亡するリスクも低くなることが報告されています。
その一方で、ヴィーガンは出血性脳卒中を発症する可能性が高いということも報告されており、ヴィーガン食を選べば健康になれるとも言い切れないという意見もあります。
2. 環境への配慮
アメリカのオックスフォード大学の研究によると、ヴィーガンを選ぶ人が増えると2050年までには温室効果ガスを3分の2まで削減できるとしています。また、イギリスのリース大学では肉を食べる人の食事は、ベジタリアンの人の食事よりも59%多く温室効果ガスを排出していると発表しています。
家畜を飼育することによって発生するメタンガスなどの温室効果ガスを削減することが環境負荷の軽減につながるとして、ヴィーガンという選択肢を選ぶこともあるようです。
参照:
https://wired.jp/2016/03/29/global-veganism-stop-eating-meat-global-warming/
https://eleminist.com/article/1845
3. 動物愛護の観点
シルク、ファー、革製品などの身に着けるものだけでなく、口に入れるものも動物を犠牲にした製品を選ばないという動物愛護の観点からヴィーガンを選ぶ人もいます。
上記以外にも、宗教上の理由や個々人の独自の考えによってヴィーガンを選ぶこともあり一概には言い切れませんが、主にこの3つの理由によりヴィーガン食を選ぶ人が増えているようです。
美味しくておしゃれ!話題のヴィーガンカフェ5選
このように、日本でもヴィーガン人口が増え始めていますが、特に東京ではオリンピック開催時に外国人旅行客をターゲットにしていたヴィーガンカフェやレストランの出店が多く、これもヴィーガンカフェが注目されるきっかけのひとつとなっています。
それでは、美味しくておしゃれと話題のヴィーガンカフェを厳選してご紹介していきます。
SHIRO CAFE 自由が丘店
引用元:https://shiro-shiro.jp/ext/shiro_cafe.html#tab1
人気化粧品メーカーSHIROが運営するSHIRO CAFE自由が丘店では、毎日食べたくなるヴィーガンをモットーにしています。SHIRO製品でも展開している酒かすやがごめ昆布など、厳選した自然素材を楽しめるメニューになっています。
ヴィーガン料理は質素で味気なさそうというイメージがあるかもしれませんが、そんな固定概念を吹き飛ばしてくれそう。
牛乳の代わりに豆乳を使用しているので、スイーツもカロリーを抑えられるのが嬉しいところです。
REVIVE KITCHEN THREE HIBIYA
引用元:https://www.threecosmetics.com/shop/revive-kitchen/hibiya/
オーガニックな原料にこだわる人気のコスメブランドTHREEが手掛けるヴィーガンカフェが東京・日比谷にある「REVIVE KITCHEN THREE HIBIYA」。
MODERN SHOJINをテーマとしたヘルシーで満足感を得られるメニュー※を提供しています。
小麦ではなく、えんどう豆を使ったヌードルの花山椒がきいた辛みのある担々麺や、竹皮にくるんだ具だくさんのヴィーガンちまきも定番人気メニューです。
日替わりのボタニカルティーも楽しめます。
一部のメニューに卵や乳製品を使用していますので、詳細は店舗スタッフにお問い合わせください
Brown Rice by Neal’s Yard Remedies
引用元:https://www.nealsyard.co.jp/brownrice/menu/
フランスのオーガニックスキンケアブランド「NEAL’S YARD REMEDIES(ニールズ ヤード メディーズ)」が手掛ける人気ヴィーガンカフェが表参道にある「Brown Rice by Neal’s Yard Remedies(ブラウンライス バイ ニールズヤード レメディーズ)」。
ふっくらした玄米ご飯がとにかく美味しいと評判のお店で、ヴィーガン料理にありがちな物足りなさを感じさせない栄養満点なメニューや自然なやさしい味付けも人気の理由です。
アロマが香るおしゃれな店内なので、デートに使う人も多いようです。
SABON VEGAN AFTERNOON TEA CAFÉ
引用元:https://www.sabon.co.jp/special_contents/SABONlAtelierSPA/
イスラエルの人気コスメブランド「SABON(サボン)」は、2022年5月26日(木)から7月13日(水)までの期間限定で’人と地球にやさしいオールヴィーガン‘のアフタヌーンティーカフェを提供しています。
「プチマルシェリミテッドコレクション」の発売を記念したもので、中目黒にあるSABONのフラッグシップストアであるSABON l’Atelier SPAにて開催しています。
オールヴィーガンのスイーツやオーガニックドライフルーツティーなどが楽しめる他、SABONシルキーボディミルク500mLも含まれているので、内側からも外側からもキレイになれる嬉しいプランになっています。
KOMEDA is □(コメダイズ)東銀座店
引用元:https://www.komeda-is.com/
コメダ珈琲店を展開する株式会社コメダは、サステナブルな活動の新たな取り組みとして初のプラントベース(植物由来)の食スタイルを提案しています。
東銀座にあるKOMEDA is □(コメダイス)ではコメダ名物のひとつ、シロノワールの上に乗っているソフトクリームも牛乳ではなくアーモンドミルクを使用しています。このアーモンドミルクのソフトクリームとコーヒーとの相性が抜群なので、ヴィーガンを意識せずにいつもと違った味を楽しみに行ってみるというのも良さそうです。
ヴィーガン料理を食べてみました!(ヴィーガンビストロじゃんがら)
引用元:https://kyushujangara.co.jp/shops/veganbistro/
ヴィーガンが注目されていることはわかったのですが、まずはヴィーガン料理がどんなものかを実際に試してみることにしました。
今回訪れたのは、JR原宿駅から徒歩1分ほどの「ヴィーガンビストロじゃんがら」です。
1Fは通常の九州じゃんがらラーメンの店舗、2Fにオールヴィーガンのビストロがあります。
ヴィーガン対応のカフェは増えてきていますが、完全にすべてのメニューがヴィーガンというところはまだ多くはないので、ピュアベジタリアンの人にとっては安心して頼めるお店だといえます。
店内を見渡すと完全ヴィーガンということもあり、右隣の欧米系の女性2人組はスイーツとドリンクを、左隣のムスリム系の女性はカレーを食べていました。他にも男性が一人で来ていたり、普通にランチ利用している職場仲間と思われる男女がいたりと、ピークのランチタイムを過ぎていたにもかかわらず賑わっていました。
メニューを開くと、まるで本物の肉の生姜焼きにしか見えない「ジュ―ジュ―グリル」や、「焼きチーズカレー」にも惹かれましたが、本家がラーメンということで今回は麺に特化して「ちゃんぽん」と「ヴィーガンこぼんしゃん」にしてみました。
濃厚なスープと太めの食べごたえある麺で、ヴィーガン対応メニューとは思えないちゃんぽん。
特に、乳製品も卵も使わない完全ヴィーガンでこの濃いコクのあるスープの味をどう再現したのか、食べ続けている間中考えていましたが、答えが見つかりませんでした。
通常のちゃんぽんに入っているかまぼこの代わりに入っていたもの(おそらくは大豆原料の素食かまぼこ?)の食感がはんぺんみたいにふわふわしていたので、それが少し意外でした。
とはいえ、全体的にはヴィーガンをまったく感じさせない、美味しくてボリュームもあるちゃんぽんでした。
もう一品は「ヴィーガンこぼんしゃん」。
本家・九州じゃんがらの人気メニューでもある「こぼんしゃん」のヴィーガン版です。
本家のこぼんしゃんは、豚骨と鶏ガラをじっくり煮出したマイルドなとんこつスープと、自家製マー油(焦がしにんにく油)をブレンドしたほんのり甘みを感じるコクのあるスープが特徴です。
ヴィーガン版はどうかといえば、こちらもとんこつスープとマー油のうまみとコクをしっかり味わえる一品。唯一の違和感としては、チャーシュー代わりに入っていた代替肉・大豆ミートの味があげそのものだったというところでしょうか。また、本家メニューと異なる点としては、イタリアンを感じさせるようなキャロット・ラぺが付け合わせになっています。酢漬けのにんじんがさっぱりしていて、お口直しにぴったりでした。
どちらのラーメンも食べ応えがあり、しっかり食べたい男性にもおすすめです。しかも本物のとんこつと同様の濃厚なコクとうまみが健在である上、カロリー控えめなのでヘルシーです。
ヴィーガンデビューに、月に一度だけのヴィーガンデーに、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
フードダイバーシティを受け入れる取り組みへ
その人の肌を見ればどんな食事を摂っているかがわかるとはよく言われるほど「食べたものが体を作る」ので、スキンケア製品にこだわりを持つコスメブランドが運営するヴィーガンカフェが多いのも納得できます。また、実際のヴィーガン料理も味や食感に工夫を凝らしてあり、ひと昔前の「ヴィーガン=淡泊すぎる食事」という概念が払拭されるほどに美味しいことがわかりました。
10年以上前から一部の人にとっては日常的に取り入れられていたヴィーガン食ですが、現在では日本でも少しずつ浸透し始めています。例えば、肉はその生産時に温室効果ガスの排出量が多いといわれているため、ヴィーガン食は単に健康を考慮しただけでなく地球環境を良化するあり方として選ぶ人もいます。
最近では「パートタイムヴィーガン」なる言葉も生まれ、これは「雑食・ときどきヴィーガン」のことを指しますが、すべてヴィーガン食にするのは難しいけれど健康のために試してみたいという人が気の向いた時に取り入れている方法です。
個人だけでなく、企業もまた「食の多様性(フードダイバーシティ)」を受け入れた取り組みが必要になってくるのではないでしょうか。