さまざまな企業がSDGsの取り組みを進めている昨今。
海洋プラごみ問題や食品廃棄などの問題を解決していくためのマイバッグやマイボトルなど使い捨てしないサステナブルグッズがどんどん増えています。
最も使い捨てされやすいものの中には、飲食店でのプラスチックスプーンや食器などのカトラリー類が挙げられます。
そんな中で、今、マイカトラリーとは別に
「食べられる食器」
を開発するメーカーが増えています。
エディブルフラワーに掛けて「エディブル・カトラリー」「エディブル・コンテナ」などとも表現され、食器として使ってそのまま食べられる、おいしいエシカルグッズについて掘り下げてみます。
プラごみ・使い捨てを減らす「食べられる食器」
「食べられる食器」と聞いて最初に思いつくものはなんでしょう。
おそらく多くの人は、アイスクリームのコーンの部分を思い浮かべるのではないでしょうか?
ウエハース生地やワッフル生地などで作られて、アイスと一緒においしく食べてしまえるものです。
このように、以前からおなじみのものにも使われていた「食べられる器やトレー」ですが
今、プラごみを削減できるサステナブルな商品として注目されつつあります。
おなじみ菓子でも導入され始めたトレー
2021年12月には、山梨県の定番お土産菓子「桔梗信玄餅」から容器ごと食べられる「桔梗信玄餅 極」が発売され、開店1時間で完売するほどの話題になりました。
従来の信玄餅と極の違いは、プラスチック製のトレーがモナカになっているという点です。
付属の黒蜜が余ってしまったり、トレーに残ってしまっていたりしましたが、トレーがモナカ製になったことで黒蜜も残さず全部食べられる! と評判に。
おいしく食べながらもロスを減らせてプラごみも減らせるSDGsの観点からも注目が集まりました。
(このほか、小さな和菓子屋や屋台などの中には、団子などのお菓子を提供する際のトレーがモナカになっていて、モナカごと食べられるものが、昭和の時代から少なからず存在しています。)
企業によるSDGsの取り組みが活発になった昨今、食器の使い捨て問題や、海洋プラごみ問題を解決しつつ消費者側も無理なく楽しみながら貢献できるサステナブルな商品として、改めて「食べられる食器」への期待が高まっていると考えられます。
「食べられる食器・カトラリー」の事例
「食べられる食器・カトラリー」には、すでにカップ・お皿・お弁当容器・スプーンなどが開発され、
事業者向け・一般消費者向けの両方で展開されています。
現在取り扱われているものの中からいくつか事例を紹介していきます。
食べられる食器・カトラリーの事例
- エコプレッソ
- もぐカップ
- パクーン
- 食べられるうつわ
エコプレッソ
グッドデザイン賞も獲得した、食べられるデミタスカップ
エスプレッソやカフェラテを注いで、あとで食べられるデミタスカップ型の器「Ecopresso」。
エスプレッソを美味しく楽しむために開発されたもので、2020年にはグッドデザイン賞、ソーシャルプロダクツアワードをダブル受賞しました。
また、グルテンフリー素材を使用しており、アレルギーへの配慮もされているのもポイント。
カフェでの提供や雑貨商品として、イベントのノベルティにも活用されています。
もぐカップ
ビールや炭酸飲料も注げる、食べられるカップ
使い捨てという消費行動自体を変革することに着目し、「使い捨てより、使い食べ」がキャッチフレーズの食べられるカップ。
カップには、プレーン、えびせん、ナッツ、チョコの4種の味と、S.M.Lの3サイズがあり、ビール向けにはプレーン、おつまみにはえびせん、アイスやアイスコーヒーにはチョコやナッツ、とおつまみから甘いものにまで対応できるのが特徴です。
液体を注ぐ際に気になる耐水性もしっかりカバー。常温または冷たい液体であれば注いで1時間ほどは耐水性があります。
ビールやアイスコーヒーなどはもちろん、食べ物も入れられるカップなので、ホームパーティやキャンプでも喜ばれそうです。
法人向けに、大量注文・オリジナル味開発も対応しているとのことです。
パクーン
国産野菜で作った食べられるスプーン
おから、いぐさ、ビーツ、かぼちゃ、抹茶の5種類の野菜を使った食べられるスプーン。
管理栄養士が監修した、国産野菜を使った栄養たっぷりのカラフルなスプーンです。
子供の食事やおやつ、ゴミを増やしたくないキャンプやアウトドアでも活躍しそうです。
出典元:https://pacoon.kinrosyoku.co.jp/
食べられるうつわ「旨っ!カップ」シリーズ
出典元:http://www.kimura-alumi.co.jp/wp/?page_id=1293
さまざまな食材を使ったお弁当用の仕切り器
アルミホイルやプラ、紙を使ったお弁当用の仕切りカップの製造メーカーによる、食べられるうつわ。
海苔やとろろ昆布、かつお節、大豆や人参などを原料にしたお弁当用の仕切りカップなので、おかずと一緒に食べてれば、お弁当のゴミがほとんど出ません。食材を使った器なので、お弁当の彩りも鮮やかに。
クラファンでも進む「食べられる食器」の商品開発
サステナブルな商材としても注目される「食べられる食器・カトラリー」。
上記で紹介したメーカー事例の他にも、国内外でクラウドファインディングを募り、商品開発を進めている企業が数多く存在します。
DLINK STRAW
次世代ストローブランド「DLINK STRAW」からブランド第一弾として食べられるストローの「キャンディーストロー」が開発されました。その名の通り、飴でできたストローなので、ドリンクを楽しんだ後はキャンディーとして食べられます。
このブランド立ち上げに際し、2021年11月にcampfire上でクラウドファインディングを募集。その後、支援金額の目標を達成しており、今後の展開にも注目です。
海外での「エディブル・コンテナ」
SDGsの観点から開発された食べられる食器や器。
海外ではすでにSDGsグッズの1つとして、食用のお花「エディブルフラワー」にならい、「食用」を意味する「Edible(エディブル)」を冠した同様のものが、数年前から登場しています。
クラウドファインディングでの支援を募ってエディブル・カトラリーやお米のストローなどの食べられる食器などを商品開発を行うスタートアップ企業が海外には数多く存在しています。
先ほど事例で紹介したエコプレッソやもぐカップ、食べられる器なども海外のメディアでは「Edible Container」や「Edible Packege」として日本やアジアでの企業のSDGsへの取り組みの話題に取り上げられています。
消費行動の変化を促すサステナブル商材
食品メーカーや飲食店もさまざまな形でサステナブルな商品やサービスの開発に取り組んでいます。
消費者がおいしく楽しみながらSDGsに貢献できる「食べられる食器」は今後も増えていくのではないでしょうか。
すでに市場で活用されている商品もあれば、クラウドファインディングを募り、これから開発が進む商品もあります。
マイボトルやマイストローなどのサステナブルな食器とともにエシカルなノベルティとして、「食べられる食器」がマーケットにどのように広がっていけるか、今後の動向も追いかけていきたいと思います。
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白峯アサコ
チョコフレーバーのカップにコーヒーを入れて飲んでみました。
私は無糖のブラックコーヒー派なのですが、ほんのりカカオの風味と甘みがコーヒーに移るのでフレーバーコーヒー的に飲めるのは楽しいですね。