人形のようなメイク「チャイボーグメイク」で話題になった中国メイク。
プチプラなのにかわいくて発色がよい、日本人の肌に合う、と日本の女性に大人気だった韓国コスメブームに続き、次に来ているのが中国コスメです。
ナチュラルさ、マット感が特徴の韓国コスメのトレンドに比べ、華やかでかわいいデザインが特徴で、ジャケ買いする人も多いのが中国コスメ。
そんな中国コスメは、日本では手に入りにくい韓国ファッションブランドと並んで、今では越境ECサイトを中心に、活発に取り扱われている人気商品でもあります。
(※韓国コスメは日本で人気のブランドであれば比較的手に入りやすくなっています。)
今回は、10~30代女性に人気の中華コスメブランドを紹介しながら、越境ECサイトの需要についても解説していきます。
韓国コスメに続いて人気の「中国コスメ」
女性の間でブームになった韓国コスメ。
日本で人気になった韓国コスメブランドは日本にも進出し、今ではすっかり日本に浸透。
人気ブランドの韓国コスメは、ドラッグストアでも手に入るようになりました。
そんな中で、今Z世代とアラサー女子の間では韓国コスメだけでなく、中国コスメへの関心も非常に高くなっています。
一部のコスメブランドは、実店舗のPLAZAやドラッグストア、Amazonなどの国内在庫の通販でも入手できますが 韓国コスメ・中国コスメファンの入手先にはQoo10をはじめとする越境ECサイトがあります。
中国コスメの人気ポイントは、華やかで可愛いデザインや発色
オレンジブラウンベースで、シンプル・ナチュラル・マットな質感が人気の韓国コスメ。
現在、韓国インテリアやファッションでのトレンドはシンプルでナチュラル、そして「くすみカラー」です。
そして、比較的プチプラであることも重要なポイントになります。
中国コスメにも、もちろん「くすみカラー」やナチュラルテイストのものは数多くありますが日本のファンに人気のある中国コスメブランドのものは細密な装飾を施した華やかなデザインのプチプラコスメが主流です。
韓国コスメや日本コスメよりもビビッドで鮮やかな色味の赤や緑もラインナップにある、まさに中華テイストの色味。
パッケージやケースも華やかな装飾を施したものが多く、女性同士で贈り合うギフトとしても喜ばれています。
次の章では、実際に人気のある中国コスメのブランドをいくつかご紹介していきます。
日本の女子に人気のプチプラ中国コスメブランド
韓国コスメや日本のマーケットブランドと同じく、中華コスメの人気ブランドもどれも多くは比較的プチプラ価格で、世界観のあるかわいらしいデザインなのが特徴。
日本で人気の中国コスメブランドの代表的な例をいくつかご紹介していきましょう。
ZEESEA(ズーシー)
出典元:https://jp.zeeseacosmetics.com/
大英博物館とコラボしたアイカラーパレットや、ピカソ、クリムトなどの作品をフィーチャーしたリップなど、鮮やかなカラーとアーティスティックなテーマ性で、コスメファン、ミュージアムショップファンに人気。
日本での中華コスメ人気の火付け役ブランドとして知られており、AmazonのほかPLAZAなど国内の実店舗でも取り扱われ始めている。日本公式ショップサイト、日本公式SNS各種あり。
花西子(フロラーシス)
百花彫刻をあしらったリップスティックやプレストパウダーなど中国の伝統的な“国潮”を意識した王朝デザインや世界の民族風デザインなどエキゾチックなシリーズ展開が特徴。
パッケージやケースも凝ったデザインで、ギフトとしても人気。
日本公式ショップサイト、日本公式SNS各種あり。今回紹介しているプチプラ中国ブランドの中で最も単価が高めで、購入する世代もやや高めの30代女性が多い様子。
★国潮とは?
「国」は中国を、「潮」はトレンドを意味します。
つまり、中国の伝統的な文化と現代のトレンドが融合したカルチャーや商品を意味する言葉で、中国Z世代の間で厚く支持されており、中国でのプロモーションやキャンペーンを行ううえで欠くことのできない要素です。
Flower Knows(フラワーノーズ)
サーカスやぬいぐるみ、天使など、寓話的で少しダーク、ノスタルジックな世界観をテーマにしたラインナップが特徴。ユニコーンモチーフなど、ゆめかわ系・病みカワ系コンセプトのシリーズは10代に人気。
上のリップカラーの名前は「叛逆天使」。ツヤのあるグロスタイプではなく、マットリップになっており、「チャイボーグメイク」や「地雷メイク」に欠かせない、赤のグラデーションぼかしリップに最適な質感に仕上がる。こちらも日本公式ショップサイトあり。
GIRLCULT(ガールカルト)
星座や動物をテーマにした「山海シリーズ」など深みのあるエキゾチックなイメージのシリーズを展開。ヨーロッパのお菓子のパッケージのような独特のパッケージデザインも人気のポイント。
日本正規代理店やAmazon.jpでも一部商品の取り扱いが行われている。
美康粉黛(Meiking メイカンフェンダイ)
中国国潮デザインを取り入れたブランド。クリアケースに中国の名所がデザインされた「彫刻リップ」は見た目にも美しく、まるで芸術作品のよう。
「魔道祖師」「羅小黒戦記」など中国アニメのIPコラボ商品も展開している。
上の写真のものは「魔道祖師」コラボのアイシャドウで、主人公・魏無羨のイメージカラーパレットになっている。日本未発売品だが、日本の作品ファンは代行ECサイトを利用して入手する人が多く、推し活需要の受け皿にもなっている。
日本公式サイトもまだなく、現在このブランドは中国コスメ・グッズ専門の越境ECサイトが公式代理店となって取り扱い中。
このほかに、上記で紹介した中国コスメ専門の越境ECサイトでは、麻雀アイシャドウのような個性的なコスメ、アルフォンス・ミュシャとのコラボ商品、中国国内向け販売のポケモンやハローキティコラボコスメ商品なども取り扱われています。
ズーシーやフロラーシスは、中国コスメファン以外にも認知が広がっているコスメブランドといえるでしょう。
人気の韓国コスメブランドでいえば、エチュードハウスやミシャ、イニスフリー、ネイチャーリパブリックのように今後は日本国内での店舗進出もあるかもしれません。
それ以外の中国コスメも、SNS広告を駆使し、認知を広げている段階です。
今後はさらに中国コスメの日本公式ショップ設立が増えていくのではないかと考えられています。
Z世代に人気の越境ECと海外コスメ
前の章で紹介したブランド例のように、一部のブランドは、日本の公式ショップサイトや正規代理店サイト、Amazonなど国内ECサイトやPLAZAなどで取り扱っています。
しかし、まだ多くのブランドは注文すると、中国の倉庫や店舗など現地から日本へ直送されてくるものや、現地の越境ECサイトが取り扱っているケースが多く、輸入代行の形で運営している越境ECサイトです。
コスメ商品自体は単価もお手頃なプチプラで、多くのECサイトでは一定金額以上の買い物で送料が無料になります。
さらに初回利用クーポンを配布しているサイトも多いことから、手元に届くのがちょっと遅い点以外は魅力的なコスメショッピングなのがわかります。
それでも、手元に届くまでに多少時間がかかっても欲しい!という日本のコスメファンが増えていることがわかります。
ここで、注目すべきポイントは、これらの中国コスメの主な入手先が、越境ECでの通販であることです。
Z世代に人気のお手軽越境ECサイト
越境ECとは、国や地域をまたいだオンラインショッピングのことです。
スマホアプリやInstagramなどSNSからの直接購入が可能になったことで、海外製品を手軽に注文できるようになりました。
もともと韓国コスメやファッションに興味があり、日本でのファッショントレンドに韓国発ブランドを巧みに取り入れてきたZ世代。
コロナ禍で気軽に行き来ができなくなってしまった背景もあり、海外製品や越境EC利用に対してあまり抵抗感のないZ世代をはじめとする20~30代女性は、日常的にコスメやファッション小物の購入をこういった場で行っています。
海外の代表的な越境ECモールには中国のTMall(天猫)、アリエクスプレス、DJ.com、元はアメリカのイーベイが運営するQoo10などがよく知られています。(Amazonもまた、国外の商品も取り扱っている越境ECモールです。)
韓国コスメ・ファッション通販で人気のあるDHOLICに見られるように、越境ECモールにはSNSを中心に広まるZ世代のトレンド情報も集まっています。
これに比べると中国コスメは、今はまだ韓国コスメほどの市場規模ではありません。
ですが、日本の女性が中国コスメに対して興味を持つきっかけには中国アニメやドラマの影響も少なからずあり、韓国コスメやファッションとは日本での情報のアプローチ方法が異なっていることにも注目しておくとよいでしょう。
Qoo10やDHOLICのような越境ECモールに対して、EC業界で注目が集まっているShopify、BASE、STORESなど新興のEC構築プラットホームが増えたことで、越境ECショップサイトも近年で変化してきました。現地からの輸入代行、公式代理店として中国コスメやグッズを取り扱うJUMEI、凜凜、mimiといった中国コスメ商品にテーマを絞った小規模な越境ECサイトが2019年頃から増えつつあります。
2024年、日本でも大ブームの予感?「千金メイク」
コスメ通たちの間でたびたび話題になる中国メイクのブーム。
少女っぽい可憐さやあどけなさを演出する「純欲メイク」、マットなテイストで色味をおさえ、すっぴんのような自然さを醸し出しながらほんのりと盛れる「白湯メイク」に続いて、2023年頃から話題になっているのは、何ともゴージャスな響きのネーミングである「千金メイク」です。
「千金メイク」とは、中国発の大富豪のお嬢様風メイクのこと。
人気ヘアメイクアップアーティスト、小田切ヒロさんが紹介したことで日本のコスメマニアたちに浸透しました。元々は台湾出身のモデルで女優、チェリストでもあるトレンドセッターのオーヤン・ナナ(欧陽娜娜)さんが見せたメイクが好評で、ネット上で注目を浴びたことがきっかけだったようです。
千金メイクは、マットな質感や暖色系の色使いと、切れ長アイラインやラメのアクセントがポイント。
ゴージャスな衣装で、凛としたオーラを放つ中国の富豪令嬢を彷彿させます。
上品で可愛らしく、華やかなイメージを演出する千金メイクは、ナチュラルメイクのトレンドが続いた中では大きな存在感を放ちます。
こうしたトレンドのメイクを楽しむのにも、本場中国のコスメは要注目です。
まとめ
人気の中国コスメと、その魅力をお伝えしてきました。
コロナ禍で通販需要が増え、海外旅行の機会が激減した2020年以降。
Amazonなど既存の国内通販ショップで取り扱いのない海外の商品をより手軽に手に入れられると越境ECサイトの需要は一気に広がりました。
さらに、ShopifyなどのECサイト構築プラットホームの隆盛によって越境ECサイトの数は加速度的に増加。
特にZ世代は越境ECサイトに対する抵抗感が上の世代よりも少ない傾向があり、SNSで得た商品情報を元に、日本では手に入らない韓国ファッションや中国コスメの購入で頻繁に利用しています。
中国コスメは、これからもさまざまなブランドがSNSや越境ECサイトを通じて続々と日本進出してくると考えられます。
今後の中国コスメの日本での動向は、別のコラムでも紹介している、中国アニメ・中国ドラマ・中国アプリゲームの日本での展開と合わせて注目しておくとよいでしょう。
かつての韓国コスメブランドがそうであったように、プチプラコスメを中心に日本の若い世代のファッショントレンドに欠かせないキーワードになっていくのではないかと考察します。
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白峯アサコ
中国コスメはアイシャドウパレットを普段使いに愛用しています。
はじめて中国コスメを手にしたのは、2020年春。
自粛のおうち時間に暇を持て余し眺めていた中国コスメ専門の越境ECサイトでパッケージの可愛さに思わずポチってしまった、装飾がきれいなチークでした。
買ったことを完全に忘れた3~4週間後に届きましたがパッケージも美しく、チーク自体もとてもきれいで、久しぶりに楽しいコスメ衝動買い体験でした。