2021年の12月、コロナ禍のさ中2年ぶりに開催され大きな話題を呼んだコミックマーケット(2021冬コミ/C99)。
それ以降も順調に回を重ね、2024年冬コミ(C105)が開催されます。
2023年の夏コミ(C102)から、新型コロナの5類移行に伴い、マスク着用の義務化や人数制限を撤廃。
徐々にオタクが望んでいた「いつものコミケ」に近づいているようです。
本記事では、「コミケ」の愛称でいわゆるオタク層から長年親しまれているコミックマーケットについて今更聞けない基本情報や、参加方法について解説していきます。
コミケとは、どこでなにをするイベントなのか
アニメ・漫画・ゲームなどのエンタメニュースの中でもたびたび目にする「コミケ」「冬コミ」「夏コミ」。
これは同人誌即売会「コミックマーケット」の略称で、8月に開催されるコミケは「夏コミ」、12月に開催されるコミケは「冬コミ」と呼ばれています。
(ちなみに、運営のオフィシャル略称は「コミケット」「コミケ」で、両方とも商標登録されています。)
夏コミ・冬コミともに近隣まで大混雑になるほどの人入りでも知られており、その来場者数や開催会場の大混雑の様子はテレビでのニュースでも取り上げられるほどでした。
そんなコミケは、いったい何をしに行き、どんなイベントなのか、今さら聞けない基本情報から解説していきます。
コミケはどこでやってるの?
夏コミ・冬コミともに、コミケはお台場にある「東京ビッグサイト」で催されます。
ひときわ目立つ逆三角形の会議棟は、コミケを象徴するアイコンとしても知られています(コミケ期間中、この会議棟は男性用コスプレ更衣室やスタッフ待機部屋として使われます)。
コミケはなにをするところなの?
コミックマーケットは世界最大規模の同人誌即売会です。
同人誌即売会とは、個人サークルが製作した同人誌・グッズの頒布と、一般参加者による購買を目的としたイベントのことを指します。
ゲームショウやアニメジャパンのようなアニメ漫画系大型コンベンションが企業による出展をメインコンテンツとしているのに対して、コミケの場合は、個人サークルによる同人誌の頒布をメインコンテンツとしている点に違いがあります。
コミケは同人作品の発表の場であり、アマチュアによるファンアートを手に入れる場です。
それと同時に、作品のファンが集う交流の場としての側面も大きく、SNS上で仲良くしているフォロワー同士で直接会ってみる、新しい友達を見つける、長年の趣味仲間の同窓会など、人とつながる機会を提供してくれる貴重なイベントと言えるでしょう。
また、IP企業がプロモーションのために”企業出展”し、企業ブースにてコミケ限定グッズの販売を行うことから、レアグッズ狙いの参加者で長蛇の列ができることが知られています。
コスプレ参加者も年々増えており、イベントを彩る存在としてWEBニュースでもたびたび取り上げられています。
好きなものを買うだけでなく、とにかくコミケに参加してみたい、その場の雰囲気を体感してみたいという憧れを持つ人も多いようです。
コミケの歴史と近況
コミケの歴史は長く、第1回(C1)は1975年に開催され、日本のアニメ・漫画シーンとともに年々規模を拡大してきました。
90年代後半からは、8月のお盆時期に開催する「夏コミ」と、12月の年末に開催する「冬コミ」の年2回開催されるようになりました。
2019年の時点で、サークル参加数は3万2千、出展企業は144社。
2019年の冬コミでは、来場者数が1日当たり18~19万人、4日間で過去最高の75万人を記録しました。
2020年の夏コミは、東京オリンピックの開催に伴い東京ビックサイトが使用できないという理由でゴールデンウィークに前倒しして開催される予定でしたが、コロナ禍の影響で開催そのものが中止に。
その後も見送りが続いたことで、2021年冬の冬コミ(C99)は実に2年ぶりの開催となりました。
コロナ禍以降初の開催となったC99では、入場者数の制限をはじめとした新型コロナ感染防止対策が講じられるなど、コロナ禍以前のコミケとは参加方法も大きく変わりました。
2023年開催の夏コミ(C102)では、近年取り入れられたシステムである“入場チケット制”などは残しつつも、入場人数制限を撤廃したり、マスクの着用を自由化したりと、コロナ禍明けを強く意識させる内容となりました。
豆知識:同人誌とは?サークルとは?
同人誌とは、漫画やアニメ、ゲームなどのファンアート(二次創作)のことを指します。
マンガや小説といった冊子印刷物を「同人誌」と呼ぶことが多く、個人または同好会などで製作します。
また、キャラクターをイメージしたオリジナルアクセサリー、クリアファイル、ポスター、缶バッジやラバーストラップなどは「同人グッズ」と呼ばれ、同人誌と同人グッズをまとめて「同人作品」とも呼ばれています。
そして、同人作品を売買(頒布)するためのイベントがコミケをはじめとした「同人誌即売会」です。
同人作品を作って頒布する人は、1人でも複数人でも「サークル」という個人団体として参加の申し込みを行います。
同人誌即売会で頒布される作品のジャンルはアニメ・マンガに限らず、アイドル、芸能人、鉄道、旅行、ペット、写真など多岐にわたります。
出展するサークルの形態もさまざまで、大学の漫画研究会、趣味の学術団体、プロ漫画家や作家による個人サークル、エッセイ作家、ハンドメイド作家などが自費出版物やオリジナルグッズを発表する場として活用しています。
近年では、小林幸子、西川貴教、叶姉妹といった著名人がサークル参加をし、自身の写真集やコミケ限定CD音源、オリジナルグッズなどを頒布。
訪れた一般参加者に、サークルスペース内で自ら頒布物を手渡す姿が話題になりました(それ以前にも、作家の京極夏彦や漫画家の富樫義弘、声優の関智一などが大々的な告知もせずにサークル参加していたことがあります。たまたまスペースの前を通った来場者や、隣のサークル参加者が仰天する、ということはコミケにおいてはよくあることです)。
サークル参加者は、あらかじめ割り当てられた長机半分のスペースに作品を並べて頒布を行う。
コミケに参加する方法
コミケには、大きく分けて3つの参加方法があります。
コミケに参加する方法①:サークル参加
同人誌や同人グッズなどの頒布物を取り扱う、個人または団体での参加方法です(前述の通り、1名でも団体でもサークルという扱いになります)。
サークルとしてコミケに参加するには、コミケ会場か通販で次回のコミケ参加申込セットを購入して郵送で申し込むか、オンラインで申し込む必要があります。
申し込み後に届く”当落通知”で当選を確認できれば参加が可能です。
コミケのサークル参加は、ほかの同人誌即売会イベントに比べてやや特殊な申し込み方法と言われており、戸惑う方も多いようです。
コミケに参加する方法②:一般参加
同人グッズを購入したり、企業ブースを訪れたりすることを目的とした、一般来場者の参加方法です。
従来は当日そのまま来場するという参加方法が基本でしたが、2021年冬コミ(C99)〜2022年の冬コミ(C101)の間は、コロナ禍における入場人数制限のための措置として入場チケットの事前購入が必須となりました。
2023年の夏コミ(C102)からは、新型コロナウイルス感染症の位置づけが『新型インフルエンザ等感染症(2類相当)』から『5類感染症』へと変更されたことに伴い、当日参加も可能となっています(ただし、現在も入場チケットの事前購入が推奨されています)。
コミケに参加する方法③:企業参加
いわゆる「企業ブース出展」です。
ゲームショウ、ワンフェス、ギフトショーのパブリックデーのように、B to CでのIPプロモーションや物販の場として、年々出展を希望する企業は増えています。
企業ブースでは、アニメやゲームといったエンタメ作品のコミケ限定グッズの販売が盛んですが、近年はオタク消費・推し活に活路を見出し、新規事業を展開する企業の参入も増加傾向にあります。
また、コンテンツや企業の認知度を上げるためのプロモーション方法もさまざまで、商品の無料配布、ゲスト声優トークショー、タレントコスプレイヤー撮影会など、コミケ特有の工夫を凝らした企画を各社が打ち出しています。
豆知識:コミケでは出展者も来場者も「参加者」
コミックマーケットにおいては、サークル出展者も一般来場者も「共にコミケを作る参加者」と見なされています。
運営している”コミックマーケット準備会”も非営利団体で、2,000人を超える運営スタッフは全てボランティアです。
サークル参加者・一般参加者・企業参加者は皆、パンフレットやWEBサイトでコミケの基本理念・ガイドラインを理解していることが求められています。
つまり、「一般参加者(来場者)=お客様ではない」ということを念頭に置いておく必要があるのです。
また、サークル参加の申込用紙には今後のコミケの継続に向けた自分なりの考えや意見を記入するための欄があるなど、イベントの一員としての主体的な姿勢の有無が問われています。
以上が、商業ベースで行われるコンベンションや見本市とコミケの最大の相違点です。
たびたび「オタクの祭典」と呼ばれるコミケは、その出自からもわかる通り「オタクによるオタクのための祭典」なのです。
コミックマーケット2024年冬(C105)の概要
2024年冬に開催される予定のコミックマーケット(C105)については、以下の情報が発表されています。
2024年冬コミ(C105)
- イベントの名称:コミックマーケット105(C105)
- 開催日:2024年12月29日(日)~30日(月)
- 開催時間:10:30~16:00
- 開催場所:東京ビックサイト
1日あたりの来場者数の上限設けず、当日参加も可能
コロナ禍以前のコミケでは、一般参加の場合”フリー入場制”をとっており、チケットなどがなくても現地に到着してそのまま入場することができました。
しかし、コロナ以降初開催のC99(2021年冬)より“事前チケット制”が導入。
2024年冬コミでも引き続き事前チケット制の採用と、午前・午後入場ともに在庫状況によっては当日販売も行う予定となっています。
参照:https://www.comiket.co.jp/info-a/C104/C104EntryTicket.html
カタログ冊子版およびコミケwebカタログについて
コミックマーケット(C104)における「カタログ冊子版」は7月13日より発売予定となります。また、コミケwebカタログは6月7日より公開。以下リンクから確認できます。
コミケwebカタログ:https://webcatalog.circle.ms/
感染症対策は各自で自主的に行う必要がある
コミケでは、すでに1日あたりの入場人数の制限が撤廃されています。
一般参加・サークル・その他合わせて1日十数万人の来場が見込まれており、大変な混雑状態となることはほぼ確実です。
新型コロナウイルス感染症の感染力、発症時の症状、後遺症といった危険性は変わっておらず、また、季節性インフルエンザの流行している状況でもあることから、感染症対策への各自の対応が呼びかけられています。
入場時の検温、参加者の連絡先取得などは行われませんが、「適切なマスク着用の徹底」、「こまめな手洗い・手指消毒」、「3密(密接・密集・密閉)の回避」といった自主的な感染防止対策の実施、体調不良や発熱がみられる場合には自主的に判断したうえで来場を控えるといった、各自のリスクに応じた対策が呼びかけられています。
不特定多数が集まる場であるコミケを安全に楽しむために、参加者各自が適切な対策を講じる必要がありそうです。
1日目の企業ブースの閉会時間が16:00から17:00に延長
2024年冬(C105)からは、新たに1日目の企業ブースの閉会時間が16:00から17:00に延長になるとのこと(最終日16:00閉会は変更なし)。
これは、閉会時間頃の駅周辺の混雑を分散させることや、午後からの参加者がコミケ全体を楽しむ時間に限りがあることを解決することが目的のようです。
まとめ
「コミックマーケット」について、ざっくりと解説をしてきました。
ちょっと特殊な点が多く、いきなり全てを把握するのが難しい「コミケ」。
しかし、初回の開催から特有の理念を持ち、長い歴史を誇るこのイベントは、会社員から漫画家のたまご、プロの作家、芸能人あらゆる人が自分の描きたいものを自由に描いて発信できる貴重な場です。
マンガ編集者や出版社、ゲーム開発会社なども、新たな作家やクリエイターたちを発掘するために訪れています。
また、海外のアニメファンからも、一度は行ってみたい憧れのイベントとして注目されているようです。
いきなりコミケに参加するのは難しくても、コミケ関連のニュースやレポート記事を覗いてみると新しい発見があるかもしれません。
白峯アサコ
なんだかんだ年に一度は夏か冬どちらかのコミケには参加していましたが、年末ということもあり、冬コミに参加すると、完全に「年末のご挨拶会」になります。
仕事を納めた後は、年末オタク納めをする。それもまたオタク風物詩のひとつ。
戦利品(お目当ての同人誌と企業限定グッズ)の詰まった重たいバッグを担いで肩がちぎれそうになりながら長年のオタク仲間たちと会い「良いお年を!」と対面で言えるのは、なかなかいいものです。
更新日:
株式会社トランス