毎年5月第二土曜日に設定されている「世界フェアトレード・デー」。
2022年は5月14日(土)が「世界フェアトレード・デー」となり、5月はフェアトレード月間とされています。
SDGsにおける重要なキーワード「フェアトレード」。
5月のフェアトレード月間には、さまざまなメーカー企業が協賛した関連キャンペーンも開催されてます。
企業のSDGsの取り組みにおいても関わりの深い「フェアトレード」について、この機会に改めておさらいしていきます。
「フェアトレード」とは
SDGsの17の開発目標で掲げられている「サステナビリティ」とは「持続可能性」です。
人や地球環境を犠牲にすることなく、持続可能な暮らしを実現するための取り組みが求められています。
その17の開発目標(SDGs)において「フェアトレード」は、重要なキーワードとなっています。
貧困・飢餓・強制労働・児童労働の撲滅、持続可能な農業の促進・消費と生産、気候変動対策、グローバルパートナーシップの活性化、などのSDGs目標達成において、フェアトレードは大きく寄与する取り組みです。
上記のような貧困・飢餓・強制労働などの深刻な課題を抱える開発途上国を中心に、そういった地域での小規模生産者や労働者が貧困から脱却し、地域社会や環境を守りながら生産を続けられるように、貿易や生産の仕組みを公平・公正にしていくこと。これがフェアトレードの基本的な考え方です。
フェアトレード認証とフェアトレード商品
フェアトレード認証を受けた商品には、以下のようなフェアトレード認証ラベルが付与されます。
国際フェアトレード認証ラベルは、国際的なフェアトレードスキームのシンボルであり、世界的に最も認知されている倫理的ラベルの一つです。
国際フェアトレード認証ラベルは、その原料が生産されてから、輸出入、加工、製造工程を経て「国際フェアトレード認証製品」として完成品となるまでの各工程で、国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)が定めた国際フェアトレード基準が守られていることを証明するラベルです。
またこのラベルは、農場から認証製品として出荷されるまで完全に追跡可能であり(物理的トレーサビリティの適用)、さらにコーヒーやバナナなど認証原料100%からなる製品に表示されます。(引用元:フェアトレードジャパン「認証ラベルについて」)
参照元:
https://www.fairtrade-jp.org/about_fairtrade/sus.php
https://www.fairtrade-jp.org/about_fairtrade/intl_license.php
認証ラベルの種類
コットンバッグや衣料品、コーヒー豆などを中心に、上記のフェアトレード認証ラベルのついた商品を日常的に目にする機会が増えています。
さらに、このフェアトレード認証ラベルには、国際フェアトレード基準に合わせて、以下のような種類に分かれています。
国際フェアトレード認証ラベル
このラベルは、農場から認証製品として出荷されるまで完全に追跡可能であり(物理的トレーサビリティの適用)、さらにコーヒーやバナナなど認証原料100%からなる製品に表示されます。
原料が生産されてから、輸出入、加工、製造工程を経て「国際フェアトレード認証製品」として完成品となるまでの各工程で、国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)が定めた国際フェアトレード基準が守られていることを証明するラベルです。
非認証原料を含む製品に付くラベル
この矢印の付いた認証ラベルは、チョコレートやシリアルなど、非認証原料を含む製品に使用されます。
ただしフェアトレードの条件下で利用できるすべての原料は、フェアトレード認証原料でなければならず、さらに製品の全原料中、フェアトレード認証原料は最低20%以上である必要があり、その割合はパッケージ裏面に記載されています。
この矢印はパッケージ裏面にて認証原料と調達方法について確認して下さい、ということを意味しています。
国際フェアトレード認証コットンラベル
製品が国際フェアトレード基準を守って生産および取引されたコットンで作られていることを示すラベル。
コットン以外の繊維を含む混合繊維製品の場合、製品重量の50%以上(注1)がコットンからなり、かつ製品に使用されるすべてのコットンが認証コットンである場合、この認証ラベルを使用することができます。
(注1)ユニフォーム、ワークウェアに限り30%以上
国際フェアトレード原料調達ラベル(FSIラベル)
FSIラベルは主に複合材料製品に使用されますが、タブに記載されている原料が、フェアトレードとして調達されていることを示しています。例えばミックスナッツ製品に「カシューナッツ」タブのあるFSIラベルが表示されている場合、カシューナッツのみがフェアトード認証原料であり、その他のナッツは認証原料ではありません。
なおタブの中に表示される矢印は、その原料が「マスバランス」で調達されたことを示し、パッケージ裏面に詳細情報が記載されています。
このように、フェアトレード認証ラベルのついた製品でも、原材料の生産・調達方法によりラベルが細分化されています。
世界フェアトレード・デー
2022年5月14日(土曜)は、WFTO(世界フェアトレード連盟:World Fair Trade Organization)が定める「世界フェアトレード・デー」です。
毎年5月第2土曜日に設定されており、日本では5月を「フェアトレード月間」として定め、さまざまな企業・団体によるイベントが開催されています。
ミリオンアクションキャンペーン
5月のフェアトレード月間には、フェアトレードジャパンが「ミリオンアクションキャンペーン」を実施します。
2021年に引き続いて、2022年も日本全国でフェアトレードに関する「フェアトレード商品購入」「SNS投稿(ハッシュタグ投稿)」「イベント・セミナー参加」「メディア掲載」「寄付」などを行い、合計100万アクションを目指すというイベントキャンペーン。
フェアトレード製品を取り扱う飲食店やメーカー、小売りをはじめとする企業、自治体、学校など、さまざまな団体が参加して取り組む施策です。
キャンペーン期間中に、フェアトレード食材や商品を取り扱うレストランやカフェ、フェアトレード商品を取り扱う量販店や雑貨店をチェックしたり、SNSのハッシュタグを見てみると、フェアトレードに対する消費者のニーズが見えてくるでしょう。
主なフェアトレード製品
フェアトレード認証を受けたフェアトレード製品。
現在日本で流通している主なフェアトレード製品の代表的な種類を紹介していきます。
コットン
世界70か国以上で生産されているコットン。西アフリカやインド、パキスタンなどの開発途上国にとっては国の経済を支える重要な輸出農産物です。
しかし多くのコットン貿易において開発途上国の生産者に不平等な構造があり、生産者が生産コストすらまかなえない低価格の状況を強いられています。また、オーガニックコットンとしてクリーンな天然素材のイメージが強いコットンですが、世界で使われている殺虫剤の16%、農薬の10%がコットン農場で使われているという報告もあり、国際的には禁止されている危険な農薬も未だに使われていることで、生産農家の人々の健康被害や自然環境汚染も深刻です。
国際フェアトレード基準では、危険な農薬を禁止し、オーガニック栽培を奨励。生産者へはその価格の上乗せも保証することで、生産者の生活と地域環境の向上を促す取り組みを進めています。
そうしたフェアトレードで生産されたコットン生地の製品は「フェアトレードコットン」として知られており、トートバッグや衣料品などが流通しています。アパレルショップや雑貨店の店頭などでも見かける機会は多いでしょう。
コーヒー
主要な生産国のほとんどがいわゆる開発途上国といわれている国々のコーヒー豆。コーヒー豆の価格はニューヨークやロンドンの国際市場で決められ、その価格の高騰・暴落によって生産現場の人々の生活は大きく影響を受けてしまいます。
小規模な生産農家が生産能力を高め、自ら市場と交渉できるノウハウを身につけられるよう取り組むのがフェアトレードです。国際フェアトレード基準では「フェアトレード最低価格」を定めており、買い付ける輸入業者は、生産者に最低価格を保証する仕組みになっています。
スターバックスなどのコーヒーチェーンやカフェを始め、コーヒー豆販売店でもフェアトレード認証ラベルが表示されている商品は多く、最も身近にフェアトレードの取り組みに触れることができるのがコーヒー豆でしょう。
チョコレート
チョコレートの原料・カカオ豆の生産地の多くは開発途上国。そのカカオ生産農園での深刻な問題に児童労働があります。児童労働の原因のひとつにあるのは、経済的な貧困です。
国際フェアトレード基準では、児童労働を禁止し安全な労働環境を保証しています。児童労働を生み出す「貧困」の連鎖を断ち切るため、生産者が正当な対価を得られるよう持続可能な生産と生活を支えるフェアトレード価格を設定しています。
フェアトレード認証チョコレートは、さまざまな菓子メーカーのチョコレート製品で取り入れられつつあり、スーパーなどでもよく見るとフェアトレード認証ラベルのついたチョコレートが並んでいることがわかります。
フェアトレード認証製品を販売品やノベルティに
SDGsにおいても重要な「フェアトレード」の取り組み。
フェアトレード認証を受けた製品はエシカルグッズとして、さまざまな分野での販売品やノベルティとしても活用されています。
フェアトレードコットンバッグ
フェアトレード製品導入のメリット
フェアトレード製品を商品開発やブランディングに導入することで
- 生産者:生活の安定、貧困からの脱却を図れる
- 消費者:安心・安全な製品の購入ができる
- 企業:企業の社会的責任を果たせる、商品・ブランドに新しい価値を与えられる
生産者・消費者・企業それぞれにメリットを見出すことができます。
SDGsへの取り組みが盛んになってきた昨今、フェアトレード製品を商品企画に取り入れる事例は年々増加しています。
また、いわゆるZ世代と呼ばれる10~20代の世代は「その商品がどのような経緯で作られているのか」がわかることも、商品選びの基準のひとつと言われています。
こうした世代へのアプローチとしても、より安心で安全な商品としてフェアトレード製品は受け入れられやすいのではないでしょうか。
今年の世界フェアトレード・デー、そしてフェアトレード月間を機会に、さまざまな企業の施策や消費者の動向をチェックしてみることで、今後の商品企画のヒントが得られるのではないでしょうか。
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白峯アサコ
たまの贅沢で楽しむ用に買っているちょっと高いコーヒー豆。
今まであまり意識していませんでしたが、改めてパッケージを見たらフェアトレード認証ラベルがついていました。気付かず買っていたものにフェアトレードのラベルがあると、ちょっとホッとしてしまいます。