SDGsの達成に向けて、さまざまな業界でサステナブルな取り組みが行われています。
当社でノベルティやオリジナルグッズを製作する際も、環境に配慮したサステナブルな製品が採用されることが多くなってきています。
そんな中、近年注目されるのがヴィーガンレザー。
ヴィーガンレザーという言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、「そもそもヴィーガンレザーとは?」「合皮とは何が違うの?」といった疑問があるでしょう。
今回は、ヴィーガンレザーの特徴について本革や従来の合成皮革と比べながら解説します。
身近にある原料を使用したヴィーガンレザー製品の事例もあわせてご紹介します。
目次
ヴィーガンレザーとは?
ヴィーガンとは、“完全菜食主義者”と訳され、動物由来の食品を食べない、動物由来の衣類を着ない、などといった考え方を持つ人達のことです。
「ヴィーガンレザー」は、動物の皮を使用せずに革の見た目・質感を再現した素材で、主に基布に合成樹脂を塗り重ねることで作られる素材です。
動物の革を使用せずに、合成素材や植物由来の樹脂を使用していることから、「合成皮革(合皮)」「フェイクレザー」とよばれます。
中でも植物由来のヴィーガンレザーは、環境に配慮された素材であるということから注目が高まっており、アパレルやコスメブランドなどの業界でバッグやポーチ、スニーカーなどに使用されています。
ヴィーガンレザーの特徴
ヴィーガンレザーは、本革とどのような点が違うのでしょうか。一覧でお見せしながら解説していきます。
併せて主原料別のヴィーガンレザーの特徴もご紹介します。
本革
牛革や豚革、羊革など、その名の通り動物の皮からできているもので、天然皮革とも呼ばれます。
また、合成素材ではなく本物の天然皮革を使用していることから、リアルレザーと呼ばれることもあります。
これらは食用肉から切り取られる皮を使用する場合が多く、動物からとった皮を無駄にせず活用しています。
本革の製品は、きちんと手入れをしておけば長い間使い続けられる、動物からいただいている命を無駄にしない、そういった点では「廃棄物削減」につながる素材と言えるかもしれません。
経年変化で色や質感が変わってくるのを楽しむという方も多い生地です。
一方、ヴィーガニズムの考え方から、本革製品を使用しないという方もいます。
合成皮革
基布に織布を使用し、表面に塩化ビニルやポリウレタン樹脂を厚くコーティングする、貼り合わせるなどし、本革のようなシワを再現したもの。
本革に比べると圧倒的に価格が安く、大量生産に向いており、模様やカラーバリエーションなども豊富です。
合成皮革を略して合皮と呼ばれています。
人工皮革
本革を人工的に再現したもので、合成皮革とは異なり基布には不織布を使用しています。
不織布にポリウレタン樹脂を浸透させることで、本革の質感を再現します。
合成皮革に比べるとやや高価ではありますが、より本革に近い構造のため、一見しただけでは本革と見分けがつかないほどの再現度です。
植物由来のヴィーガンレザー
従来の合成皮革・人工皮革には石油を原料とするポリウレタンや塩化ビニルが使用されています。
地球環境に配慮し、限られた石油資源の消費を抑えるため、植物を主原料とした樹脂を使用した素材が開発されています。
コルクの木やサボテンの葉などのサステナブルな原料を使用しているものや、りんごやぶどう、サトウキビなど、ジュースやワインなどの加工品を作る際にでた搾りかす・端材をアップサイクルしたものなどがあります。
原料をリサイクルする工程があるため合皮に比べればやや高価ですが、動物愛護、環境配慮の両方の観点から、よりサステナブル・エシカルにつながるとして注目されている素材です。
ヴィーガンレザーを含む合皮は、経年劣化してしまうため、本革のように経年変化を楽しむことはできませんが、1つのものを大事に永くつかうこと自体がサステナブルであるという考え方もあります。
現在トランスで取り扱っているヴィーガンレザーは、プラスチックごみをリサイクルした再生ポリエステル生地に、植物性樹脂をコーティングしたもので、よりサステナブルな合成皮革となっています。
もっとサステナブルに!一風変わった植物由来のヴィーガンレザー
アパレル業界を中心に、生地のサステナブル素材への切り替えが進んでおり、石油由来の合皮から植物由来のヴィーガンレザーへ切り替えるブランドも見られます。
その植物由来のヴィーガンレザーの、植物に着目した一風変わったヴィーガンレザーの生地が開発され始め、各ブランドや企業から注目を集めています。
ここでは、私たちの身近にある植物を活用した、サステナブルなヴィーガンレザーの事例をご紹介します。
りんごのヴィーガンレザー
出典元:https://www.nichimou.jp/apple-leather/
ジュースをつくる際に廃棄される皮や芯を活用してうまれたアップルレザー。
樹脂層にりんごの粉末が混ざっており、軽くて柔らかい生地に仕上がるそうです。
自動車メーカー「フォルクスワーゲン」がシートの表面にアップルレザーを採用するなど、次世代の新素材として注目を集めます。
サボテンのヴィーガンレザー
サボテンが自生しているメキシコで生まれたサボテンレザー。
サボテンの葉の粉末を加工して生産されます。
サボテンは、少ない水の量で栽培可能で、二酸化炭素も吸収できるという環境にやさしい植物。
イタリアの世界最大級の皮革見本市で登場した際には「高級ブランドの使用にも最も適する」といわれたほど、良質なヴィーガンレザーとして評価されました。
サボテン由来のヴィーガンレザーを使ったオリジナルグッズ
トランスではサボテンのヴィーガンレザー「Desserto®」を使ったグッズの作製が可能です。
『Desserto®』は、メキシコに拠点を置く企業が、試行錯誤を繰り返し、開発したヴィーガンレザーです。有機栽培サボテンと植物由来のバイオポリウレタンがベースとなっており、有毒な化学物質フタル酸エステルやPVCを使用していません。
トランスではサボテンのヴィーガンレザー「Desserto®」を使ったグッズの作製が可能です。
【+ethical】サボテン由来のヴィーガンレザーについて詳しく見る
きのこのヴィーガンレザー
出典元:https://www.mylo-unleather.com/
キノコの菌糸体を培養し、複雑に絡み合うことで革のような繊維を作り上げるというキノコレザー。
菌糸体は数週間で成長するそうで、本革に比べて圧倒的に生産効率が良いのが特徴。
エルメスやアディダスなどのブランドが、キノコレザーを採用したプロダクトを発表し話題となりました。近々製品としての発売も予定されており、さらに注目が集まると予想されます。
パイナップルのヴィーガンレザー
出典元:https://www.ananas-anam.com/about-us/
パイナップルの葉の繊維を活用したパイナップルレザー。
生地を作るためにパイナップルの葉を農家から買う、パイナップル農家は廃棄していた葉を売ることで収益得る、という良い循環がうまれているそうです。
手触りは革とは少し異なった触感で、軽さ、独特のシワが新しいと注目を浴びています。
以上のように、現在さまざまな植物性の素材を原料としたヴィーガンレザーの研究開発、製品化が進められています。
これらの植物由来のヴィーガンレザーが一般的に市場に浸透していくのはまだ少し先になるかもしれませんが、今後製品化が進んだ時、りんごやパイナップルなどのレザーが並んでいる光景はなんだか瑞々しくて楽しそうですね。
まとめ:エシカル素材・ヴィーガンレザー
今回は、注目のエシカル素材、「ヴィーガンレザー」について解説しました。
グッズに合皮を使用すると高級感を演出することができるため、ノベルティ、販売品などオリジナルグッズにおいてよく使われる素材です。
合皮を使用してオリジナルグッズを作りたいとき、植物由来の原料を使用したヴィーガンレザーに置き換えることで、企業のサステナブルな取り組みの一歩となります。
トランスでも植物由来のヴィーガンレザーを使用したグッズ製作を行っています。
エシカル・SDGsの取り組みを推進できる素材でグッズ製作をご検討の際は、是非営業担当までご相談ください。
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セウヘイ
株式会社トランス社員。この「ヴィーガンレザーとは?」の記事は、「ビーガンレザー」と検索してもヒットします。スペルがVegan なので発音的に「ヴィーガンレザー」で良いのですが、カタカナでは「ビーガンレザー」と表記される場合もあります。私は「ヴィ」派です。