SDGs(持続可能な開発目標)の達成を目指す企業の取り組み事例は世界的に増加しており、日本でもさまざまな取り組みが行われています。
どのような形でSDGsに貢献できるかを考えるとき、他社の取り組み事例は非常に参考になるでしょう。
この記事では、SDGs達成に向けて各社が行っている、2022年~2023年上半期の、最新の取り組みやキャンペーンをご紹介します。自社としての取り組みや企業戦略の立案に役立ててください。
企業が消費者に向けて行うSDGsの取り組み事例
ここでは、企業が消費者に向けて行うSDGs達成への取り組み事例を紹介します。
企業が消費者を巻き込んでSDGsの取り組みを行うと、SDGsに対して真剣に取り組む自社の姿勢を消費者に示すことができるのがメリットです。
以下には、企業のSDGsに対する取り組みを後押しするため実際に行われたキャンペーンを紹介します。商品の製造や販売において、貧困をなくす取り組みや気候変動に対する取り組みが行われていること、また一人ひとりが働きながら生きることについて若い世代にも考えてもらうことなど、企業の取り組みを幅広く周知するためのキャンペーンについて知ることができます。
明治|おいしいサステナブルアクションキャンペーン
引用:https://www.meijioishiigyunyu.com/20th-anniversary/sustainableaction/
乳製品大手の明治では、2022年に「おいしいサステナブルアクションキャンペーン」を実施しました。
キャンペーン商品「明治おいしい牛乳」は明治牛乳のなかでも主力の牛乳商品です。
明治では、持続可能な牛乳の製造販売を実現するため、さまざまな取り組みを行っています。
そのうちの一つがプラスチック資源循環の強化です。
SDGsの開発目標のうち「目標13:気候変動に具体的な対策を」への取り組みの一貫として、明治おいしい牛乳のキャップを2022年7月から順次、サトウキビ由来のバイオマスプラスチック配合素材に更新しています。
当該キャンペーンも、キャップ素材の変更によって地球に優しいキャップになったことを広く周知する目的で行われました。
明治おいしい牛乳公式ツイッターの該当投稿をリツイートすると、抽選で「バンブータンブラー」があたるキャンペーンを実施。
キャップ同様、景品のタンブラーも環境に配慮した素材のプラスチックを使用しています。
【キャンペーン概要】
- 応募期間
- 2022年11月1日~12月13日
- 商品
- 明治おいしい牛乳 オリジナルバンブータンブラー
- 当選者数
- 200名
- 応募条件
- Twitter公式アカウントをフォロー、該当ツイートをリツイート
森永製菓|キョロちゃんと地元応援キャンペーン
「おいしく、たのしく、すこやかに」をモットーとする森永製菓では、お菓子やアイスを主力商品として、食品、飲料などを製造しています。
「キョロちゃんと地元応援キャンペーン」は、持続可能な社会の実現を目指す「地方創生」の推進にもつながるキャンペーンです。
森永製菓のサステナブルプロジェクト「笑顔を未来につなぐプロジェクト」の一環として、購入に対して全国の子ども食堂へチョコボールを寄付し、ESGに基づいた取り組みを行いました。
森永製菓のサステナブルへの取り組みは多種多様ですが、一例として、チョコボールなどチョコレート製品に使われるカカオ豆を2020年度以降「認証カカオ豆」に限定しています。
認証カカオ豆の利用は、カカオ農家に正当な報酬を行き渡らせ、またカカオ栽培における森林伐採や、児童労働を防ぐシステムにもつながるものです。
このようにして、森永製菓では「目標1:貧困をなくそう」「目標13:気候変動に具体的な対策を」といった数々の開発目標の達成に向けて取り組んでいます。
【キャンペーン概要】
- 応募期間
- 2023年2月27日~3月31日
- 商品
- オリジナルご当地グルメカタログ
- 当選者数
- 100名
- 応募条件
- 対象商品の購入レシート画像をWebから送信
ベネッセ|ウェルビーイングワークショップ
引用:https://www.benesse.co.jp/brand/category/contribution/20221219_2/
ベネッセは、「Benesse(よく生きる)」を理念として掲げ、国内教育、介護・保育、子育て・家庭分野でさまざまな事業を展開する企業です。
Benesseとはラテン語の「よく」と「生きる」とを合わせた造語であり、英語で言えば「ウェルビーイング」となります。
「ウェルビーイングワークショップ」では、ターゲットをZ世代として、ウェルビーイングについて掘り下げる活動を行いました。
ウェルビーイングの定義についてワークショップでもさまざまな意見が出されました。
一般的に、身体的・心理的・社会的に「よい状態」であることを示すウェルビーイングですが、それを自分ごととして考えることがワークショップの目的の一つです。
SDGsの開発目標「目標3:すべての人に健康と福祉を」の達成を目指し、介護や教育の分野から社会貢献を目指すベネッセの姿勢を若い世代に示し、かつ若い世代にもウェルビーイングについて広く考えてもらえるワークショップとなりました。
【キャンペーン概要】
- ワークショップ開催期間
- 2022年9月
- 参加方法
- オンライン・リアル会場のハイブリッド方式
アスクル|もらうだけで地球に貢献!サステナブルBOXプレゼント
引用:https://www.askul.co.jp/rl/0/
オフィス用品を販売するアスクルのWEBサイトでは、外装箱の傷やへこみ、賞味期限が近くなった食品などを「わけあり商品」として特別価格で展開しています。
通常、廃棄に回ってしまう商品を特別価格で提供することで、商品の廃棄削減、フードロスの削減を目指しています。
その取り組みをユーザーにより認知してもらうための施策として、2023年6月、「わけあり商品」の詰め合わせBOXをプレゼントするキャンペーンを展開。
Twitterでアスクルの投稿をフォロー&リツイートしたユーザーの中から抽選でプレゼントされます。
今回のキャンペーンは第1弾と称されており、今後も「エシカルeコマース」として、さまざまなサステナブルな取り組みが展開されるでしょう。
SDGs の開発目標「目標12:つくる責任 つかう責任」などに関わる取り組みです。
【キャンペーン概要】
- 応募期間
- 2023年6月14日~6月21日
- 商品
- サステナブルBOX
- 当選者数
- 5名
- 応募条件
- ASKUL公式twitterアカウント(@askul_com)をフォローして、キャンペーン投稿をオリジナルハッシュタグをつけて引用リツイート
商品やサービスがSDGsの取り組み事例
ここでは、商品やサービスそのものがSDGsへの取り組みとなっている事例を紹介します。
環境に配慮した素材を使用したもの、リサイクルを促すもの、捨てないことを前提にしているものなど、さまざまな面で持続可能な商品やサービスをピックアップしました。
いずれもメーカー側としてはSDGsへの関心の深さを消費者に示すものであり、かつ、消費者もまた製品を利用することでSDGsに貢献できる有効なサステナブルなビジネスです。
では具体的にどのような事例があるかを見てみましょう。
On|靴のサステナブルなサブスク
引用:https://www.on-running.com/ja-jp/collection/cyclon
Onはスイスのプロアスリート集団が立ち上げたスポーツシューズとウェアのブランドで、ランニングシューズ、テニスシューズ、旅行用やハイキング用のシューズなど、最新テクノロジーを活かしたさまざまなタイプの靴で人気を博しています。
Onはバイオベース原料などの代替原料を使用したり、生産工程において再生可能エネルギーを利用したりするなど、サステナブルなものづくりにこだわっています。
そのなかでも、商品を廃棄するという概念を覆す、サブスクリプション型の循環システムが非常に特徴的です。
具体的には、Onの靴を6ヵ月履いたらメーカーに戻し、Onから送られる新しい靴をまた着用する方式です。
メーカーに戻された靴は完全に再利用され、新しい靴へと生まれ変わります。
消費者がものを所有しないからこそ、廃棄が生じることもありません。
SDGsの開発目標、「目標12:つくる責任 つかう責任」など、いくつもの課題に対するひとつの方法を提示しているといえるでしょう。
ポカリスエット|リターナブル瓶
引用:https://pocarisweat.jp/products/returnable/
大塚製薬では、医療関連事業と、医療関連事業に関連して新たな市場を開拓する健康食品、健康飲料などの事業を並行して展開しています。
ポカリスエットも健康関連飲料の一つです。
大塚グループのプラスチックステートメントでは、2030年を目処に再利用モデル容器をはじめとする容器類の全面見直しを決定しており、今回のリターナブル瓶採用もその一環です。
ポカリスエットリターナブル瓶は、あえて250mlの飲み切りサイズにして小売店で瓶を極力回収し、工場へと戻して再利用する形をとっています。
「捨てるという概念を捨てよう」を合言葉に循環型システムの第一歩をまず首都圏の一部の店舗で踏み出しました。
ポカリスエットではこのほか、ラベルレスボトルが発売されるなど、SDGsの開発目標「目標13:気候変動に具体的な対策を」の達成への取り組みを推進しています。
このリターナブル瓶は、おしゃれな見た目から、Z世代を中心にSNSを通じて話題になり、さまざまなターゲット層への認知を促進させることになりました。
桑田佳祐|サステナブル素材のTシャツ
歌手、アーティストの桑田佳祐が、ソロ活動35周年を節目に開始したSDGsへの取り組みの一つが、サステナブルTシャツ「SKGs Tシャツ」の販売です。
音楽人としての持続可能な目標を「“SKGs”(Sustainable Kuwata Keisuke’s Goals)」と位置づけ、インターネット販売、ライブ会場のグッズ販売などで、再生素材Tシャツを取り扱っています。
ライブツアー会場に実際にリサイクルボックスを設置し、来訪者からポリエステル100%の衣服を回収。
回収された衣服は洗浄、分解され、ペレット化されます。
リサイクル素材のペレットから糸を紡ぎ、新たなTシャツへと生まれ変わります。
CO-OP|「コープサステナブル」シリーズ
引用:https://goods.jccu.coop/ethical/sustainable.html
日本生活協同組合連合会、通称コープでは、事業の一環としてさまざまな食材を販売するだけでなく、製造も行っています。
コープによる製造食品のうち、とくに環境配慮を行い、持続可能な社会を目指す商品として発売されたのが「コープサステナブル」シリーズです。
コープサステナブルは、海の資源を守る、森の資源を守る、大地の力を活かす、リサイクル材使用という4つの柱から成り立っています。
海の資源に関しては持続可能であると認証された海域の水産物だけを使用し、森の資源に関しても、適切な管理を経た農林産物や紙資源に限って原料とした製品が、コープサステナブルです。
SDGsの開発目標には、「目標14:海の豊かさを守ろう」「目標15:陸の豊かさも守ろう」が掲げられています。
コープサステナブルはこうした目標に対して有効な対策を行っており、さらにブランド化することで、消費者にサステナブルな製品であることを訴求しています。
消費者がサステナブル製品を利用することで、コープのサステナブルプロジェクトが促進し、SDGs目標の達成にも近づける好循環が生まれます。
ナカバヤシ|100%紙製のリングノート
引用:https://www.nakabayashi.co.jp/product/detail/68796
ナカバヤシは文具メーカーとして知られており、アルバムや事務機器なども製造しています。
SDGsへの取り組みの一環として発売したのが、100%紙製のリングノートこと「ロジカル・ペーパーリングノート」です。
ノートは紙でできていると思いがちですが、リングノートはほとんどが、100%紙製ではありません。
とじ具の部分がプラスチック、あるいは金属でできていることが多いためです。
しかしこれだとノートを使い終わった後に、すべてをリサイクルに回すことができません。
ナカバヤシでは100%の古紙リサイクルを実現するため、とじ具部分の素材も紙に置き換えたものを製造しています。
ナカバヤシのロジカルノートシリーズはもともと、SDGs「目標4:質の高い教育をみんなに」を目指し、書きやすい、見直ししやすいノートとして製造が行われてきました。
また循環型リサイクルネットワークを構築する活動で、開発目標12・15に対する取り組みも行っており、「ロジカル・ペーパーリングノート」はその双方に配慮する企業のESGに基づいた製品だといえます。
「環境」以外の分野でサステナブルな企業の取り組み事例
サステナブルな取り組みは、「環境配慮」する以外にも方法があります。
SDGsの開発目標の中には、「貧困」「性別」「教育」など、森や海の環境を守る以外の分野における持続可能性の促進を目指す項目もあります。
ここでは、実際に企業が行っている、「環境」以外でのSDGsの取り組み事例を紹介します。
これらの事例からは、それぞれの開発目標に企業として向き合うことでSDGsに貢献する道もあることを教えてくれるでしょう。
UCC|サステナビリティ教育
引用:https://www.ucc.co.jp/company/sustainability/people/education/
UCCは、さまざまなコーヒー商品やカフェ運営などで知られる企業です。
多種多様なコーヒーに関わる事業を行うなかに「サステナビリティ教育」があります。
サステナビリティ教育は、オンラインセミナーと、学校への教材提供の2つの柱で成り立っています。
オンラインセミナーでは、小学生から大学生までがSDGsを考える教育セミナーを受けられ、2022年度にはおよそ2,500人の受講者が誕生しました。
このほかに一般の人が受講できるオフラインのセミナーも開催されています。また、学校向けの教材とは、日本とコーヒー生産国との関係に焦点を当てたSDGs教材です。
コーヒーは、これまで多くが貧困地域で安価な労働力を使い、環境を破壊しながら生産されてきた経緯があり、往年の生産状況を打破することがSDGsのさまざまな課題解決につながってきます。
UCCでは2030年までにサステナブルなコーヒー調達100%を目指し、SDGsに対応してきました。
この取り組みに関わるSDGs開発目標は、1.2.3.4.5.6.8.9.10.12.15.17と、実にSDGs17項目のうち、12項目が該当している、ESGを意識した取り組みであるといえます。
サステナビリティ教育は、コーヒーをきっかけにより多くの人にSDGsを知ってもらい、さまざまな課題解決に結びつける種を蒔く行動といえるでしょう。
成城石井|table for waterの活動支援
引用:https://www.seijoishii.co.jp/csr/
成城石井はスーパーマーケットを展開するほか、食品の輸入や卸売販売、食品製造などを行っている企業です。
多彩なオリジナル商品や、高品質な商品や珍しい食品などで人気を博しています。
table for twoの活動支援は、そんな成城石井が取り組むサステナブルアクションの一つです。
とりわけSDGs開発目標「目標2:飢餓をゼロに」の課題解決を促進します。
table for twoは、開発途上国で飢餓に苦しむ10億人と、飽食に起因する不健康に苦しむ20億人との間にある食の不均衡を是正するプロジェクトです。
成城石井に関していえば、成城石井の運営するレストランで特定のロカボメニューを注文すると、table for twoへ20円が寄付される仕組みとなっています。
20円は、開発途上国の給食1食分の値段です。
つまり「先進国で1食とるごとに 開発途上国に1食が贈られる」仕組みがtable for twoなのです。
この仕組みは、SDGs開発目標2だけでなく、3.7.10.12などにも関わっており、企業のESGに基づく課題解決を推進する取り組みであるといえます。
JINS|見る育講座
引用:https://www.nakabayashi.co.jp/product/detail/68796
メガネやコンタクトの製造・販売を行うJINSは、大きなショッピングモールにも出店しており高い知名度を誇ります。
CO2排出量実質ゼロなど、JINSが取り組むサステナブル課題の一つが「見る育講座」です。
JINSでは2050年に「近視をなくす」ことを目標としており、その一環として「見る育講座」を行っています。
具体的な活動としては、プログラミング教室Tech Kids Schoolや学研プラスなどと協力し、目と光について学ぶ機会を提供したり、学研と協力し、目の仕組みについて学ぶワークショップを開催したり、学校や児童館に向けて「見る」を学べる「見る育かるた」を寄贈するなどです。
目を大切にし、視力を保つことは、SDGsの開発目標「目標3:すべての人に健康と福祉を」、「目標4:質の高い教育をみんなに」、「目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう」などに関わってきます。
現状のままでは近視人口が2050年には50億人に達するといわれる状況のなか、ヘルスケアを通して持続可能な社会の実現を目指そうとする動きです。
People Tree|フェアトレード製品
引用:https://www.peopletree.co.jp/index.html?_ga=2.221909656.1013660143.1679270739-1384664246.1679270739
ピープルツリーは、服や雑貨、食べ物などを購入できる、フェアトレード専門ブランドの通販サイトです。
NGO団体グローバル・ヴィレッジによって運営されており、販売される商品は世界のフェアトレード製品に限られています。
ピープルツリーのフェアトレード製品は、天然素材と手仕事によって作られるものです。
大量生産の枠組みを離れ、良いものを正当な金額で入手することによって、作り手が報酬を得て自立する支援につながります。
オーガニックコットンの服や、フェアトレードによるチョコレートやコーヒー、キッチンやインテリア用品など、多彩な商品は「SDGsに貢献しながら、良いものを選び、使いたい」と考えている消費者にとっても大いに興味をそそられるでしょう。
開発途上国の生産者の生活支援の促進につながるフェアトレード製品を扱うことは、持続可能な社会づくりを推進する取り組みだといえます。
まとめ
ここまで、さまざまな企業によって実際に行われたサステナブルな取り組み事例を紹介してきました。
SDGsへの取り組みが求められるなか、企業が実施できる方法は多種多様であることがわかります。
今や企業がSDGs目標に対して取り組みを行っているかどうかは、消費者が企業を選ぶかどうか、企業が契約先を選ぶかどうかの基準の一つです。
またSDGsが新たな形でビジネスを生み出すきっかけになるケースも多く見受けられます。
大規模な取り組みが難しい場合も、まずはできることから始めてみませんか。
ノベルティにエコ素材や、フェアトレード製品を導入するという方法は、企業のサステナブルな取り組みとして始めやすいアクションです。
エシカルなグッズをビジネスに取り入れることで、消費者に対しても企業がSDGsに関心を持ち、貢献していることをアピールできます。
弊社トランスでは、サステナブルな素材を用いたオリジナルグッズを製作しています。
販売用の商品はもちろん、ノベルティ、キャンペーン賞品など、マーケティング施策にあわせた多彩な対応が可能です。
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