持続可能な社会を実現するための国際目標、「SDGs(エスディージーズ)」。
テレビやネットのニュースだけでなく、日常会話で話題に上る機会も増えてきており、世間の関心度が日増しに高まっています。
ただ、SDGsには、環境保護、経済成長、ジェンダーレス、貧困の撲滅など多くの内容が含まれており、全てを完全に理解するのは容易ではありません。また、具体的に何をすればいいのかが分かりにくい、との声も多く上がっているようです。
そこで今回は、個人と企業で行えるSDGsへの取り組み例をご紹介します。
目標達成のためには、企業で行う大きな取り組みはもちろん、個人で実施できる小さな取り組みの積み重ねも必要不可欠。
個人と企業のそれぞれで、無理なく取り組める身近な例をピックアップしました。
企業がSDGsに取り組む際の、代表的な手順も解説しましたので、SDGs/サステナブル担当の方もぜひ参考にしてみてください。
目次
そもそもSDGsとは?
SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略称で、”持続可能な開発目標”を意味します。
2001年に策定された「MDGs(ミレニアム開発目標)」の後継として、国連サミット加盟国の全会一致で、2015年9月に採択されました。
17の目標と、169のターゲットから構成される国際目標であり、2030年までに持続可能でより良い世界を目指すとしています。発展途上国から先進国まで、さまざまな加盟国が目標達成のために取り組んでいます。
具体的な取り組み方を考えるにあたって、まずはどのような目標があるのかを把握することが重要です。
以下が、地球上の「誰一人取り残さない」ことを目指して定められた17の目標です。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任 つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
SDGsの身近な取り組み例 : 個人編
SDGsの目標達成には、企業の大規模な取り組みだけでなく、個人の取り組みの積み重ねも欠かせません。
こちらでは、今日から個人で行える身近な取り組みの例を6つご紹介します。
エコバッグやマイボトルを持ち歩く
買い物やカフェに行く時は、エコバッグやマイボトルを持参することで、プラスチックごみを削減できます。
正しく回収・分別されなかったプラスチックごみが河川や海に流出し、深刻な海洋汚染問題になっています。2050年には、海のプラスチックごみの重量が魚の重量を上回ると言われており、プラスチックごみを適切に回収・分別することはもちろん、可能な限り排出しない努力も必要です。まずはレジ袋やペットボトルなど、身近なプラスチックごみを減らすことから始めましょう。
水や電気の使い過ぎに注意する
シャワーの水をこまめに止める、使用していない照明を消すなど、節水・節電を意識して生活しましょう。光熱費の節約にもなるため、個人で取り組みやすいポイントの1つです。
毎日欠かさず使う水・電気は、私たちの元に届くまでに多くのエネルギーを消費し、地球温暖化の原因になる温室効果ガスも排出します。また、水不足や電気不足で困っている国も多くあるため、個々人がそれぞれ無駄遣いをしないよう気を付けたいものです。
食べ物のロスを減らす
食べ物は、食べきれる量だけを買うように心がけましょう。
フードロスの半数近くは家庭から出ると言われており、廃棄の際には多くのエネルギーを消費します。価格が安いからと言って、食べきれない量を買い溜めするのは、お金の無駄なだけでなく環境にもマイナスです。
ほかにも、今まで捨てていた食材の部分も料理に使えないか考えてみる、スーパーの商品は手前から取る、賞味期限が近づいた値引き品を買う、などの取り組み例があります。
公共の交通機関を利用する
バスや電車など、公共の交通機関を積極的に利用しましょう。
バスや電車は一度に多くの人を運べるため、温室効果ガスの排出量を抑えることができます。
また、徒歩や自転車など、燃料を一切使わないクリーンな移動方法も推奨されています。運賃を節約しながら、軽い運動になるのもおすすめのポイントです。
リサイクル、リユース、レンタルなど循環型のサービスを選ぶ
リサイクル、リユース、レンタルを積極的に活用することで、限りある資源を循環させながら、無駄な廃棄を減らせます。
自治体のリサイクルショップや、民間のリユース・レンタルショップを利用するのはもちろん、フリマアプリ・ネットオークションで不用品を出品する、少しだけ壊れた物は修理して使う、などさまざまな取り組み方で参画できます。物を捨てる前に、「まだ使えないか」「自分以外に使ってくれる人がいないか」を考えるようにしましょう。
廃棄物削減×シェアリング|捨てずにシェア!無駄をなくすサステナブルな取り組み事例
フードロスや衣服の過剰生産などが社会問題となる一方で、コロナ禍における貧困もクローズアップされています。そこで今、必要な人に必要なものをシェアすることで無駄をなくすという取り組みが注目を浴びています。企業が取り組む新たなシェアリング事例など詳しくご紹介していきます。
SDGsを推進する商品を選ぶ
地球環境・労働環境に配慮した商品やサービスに付けられる「認証マーク」は購入する際の1つの目印になります。
認証マークが付いているか、購入前に確認してみましょう。
認証マークの代表例としては、サステナブルな漁業で獲られた水産物に付けられる「MSC認証」、環境・労働者・地域社会に配慮した養殖業を証明する「ASC認証」、環境・地域社会に配慮しながら管理された森林に由来する製品に付けられる「FSC認証」があります。
認証マーク付きの商品やサービスを購入するだけで、SDGsの目標「14.海の豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさも守ろう」に貢献できます。
この他にもさまざま取り組みに対しての認証マークがありますので、購入する商品についているマークが何を表すのか確認してみると、商品製作の背景が見えてくるかもしれません。
SDGsの身近な取り組み例 : 企業編
企業で取り組みやすい例を、5つご紹介します。
環境にやさしいのはもちろん、企業のイメージアップや、業務効率の改善などにもつながるものをピックアップしました。
環境に配慮した、エシカルな素材を利用する
企業で作製するノベルティや商品にエシカルな素材を利用することで、環境に配慮した物づくりが行えるのはもちろん、SDGsに対する企業の姿勢もアピールできます。
エシカルな素材には、サボテンから作ったヴィーガンレザー、バナナから作った布などの植物由来の素材や、新聞古紙が原料のウォッシャブルペーパー、ペットボトルを原料とした再生PETなどの、再生素材を中心にさまざまな種類があり、作りたいグッズに合わせて柔軟に選べます。また、耐久性や質感などは、通常の素材と遜色ない点も注目を集めているポイントです。
ペーパーレス化を推進する
環境に配慮し、再生紙から作られたコピー用紙を利用するほか、できるだけ紙を使わないようにするのも企業で行える重要な取り組みの1つです。
コピー後に使わなかった資料や書類を含めると、企業で無駄に廃棄される紙の量は膨大。近年はクラウドを利用して、ペーパーレス化を進める企業も増えています。紙ごみを削減してSDGsに貢献できるほか、業務の効率も改善されると、社員からも好評なケースが多いようです。
また、メモ帳の代わりに、ポケットサイズの電子メモパッドを携帯する方も増えているようです。繰り返し書いたり消したりできる便利さと、ごみが一切出ないクリーンな使い心地が人気のポイント。企業のロゴを入れて社員に配ったり、オリジナル商品として販売したりと、しっかり”使える”グッズとしても注目を集めています。
電気の使用量を減らす
多くの人々が集まる企業のオフィスでは、PCや照明をはじめ、毎日大量の電力を消費します。そのため、休憩中はPCをスリープ状態にする、使用していない部屋の電気はこまめに消すなど、社員各自で行う節電対策の積み重ねが重要です。
また、冬場や夏場のエアコンは電力の消費が激しく、省エネのためにフロアの設定温度をしっかりと定めているケースも多いようです。しかし、体感温度は個人ごとに異なるため、どうしても寒すぎる・熱すぎると感じる方が出てしまいがちです。そんな時に活躍するのが、ひざ掛け・羽織の2wayで温度調節に便利なエコブランケットです。環境に配慮した、再生PET100パーセントの素材に毛玉加工を施してあり、気持ちいい肌触りを長時間キープ。どのようなオフィスにも馴染みやすいシンプルなデザインで、企業の備品としても人気です。
ごみを正しく分別する
可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみなど、定められた分類に従ってごみを分別しましょう。しかし、中にはプラスチック類をはじめ、どこに捨てればいいか判断に迷うものもあります。「分からないから適当に捨てよう」とならないよう、目立つ場所にごみの分類表を貼るなどの工夫が必要かもしれません。また、ごみの分別意識を高めて定着させるために、従業員に対して定期的な呼びかけを行うのも効果的です。
従業員の働き方や環境を改善する
SDGsには、従業員に働きがいがあり、前向きな気持ちで働ける心理状態を意味する「従業員エンゲージメント」の向上も含まれます。
多様な働き方に対応できるフレキシブルな制度や、意見交換しやすく風通しの良い人間関係などが従業員の満足度を高め、「長く働きたい」「もっと頑張りたい」というポジティブな気持ちを掻き立てます。
また、働きやすく心身共に快適な職場環境は、業務効率を上げたり、離職率を低下させたりと、従業員と企業の双方にさまざまなメリットを生むとも言われています。
企業の取り組み手順
企業がSDGsに取り組む際の代表的な手順を、5つのステップでご紹介します。
1.SDGsへの理解を深める
まずは、SDGsの概要や、なぜ取り組む必要があるかなどの基本的な知識・考え方について学びましょう。
2.優先課題を決定する
SDGsには17の目標、169のターゲット、232の指標がありますが、対象範囲が幅広く項目数も多いため、はじめから全てに着手するのは現実的ではありません。また、事業の内容などによって得手不得手があるため、自社と関連性が高い課題から優先的に着手します。その際には、社内外の意見を積極的に取り入れることで、課題設定の精度を高められます。
3.目標を定める
2.で決定された課題の、具体的な目標を設定します。達成するまでの期限・数値・マイルストーンなどの、期限付きかつ測定可能な項目を用意することで達成度を可視化し、「なんとなく取り組む」という事態を避けられます。また、明確な目標は、社内のパフォーマンスの向上も期待できます。
4.経営に組み込む
具体的な目標が決まったら、経営に組み込み、企業全体に定着させていきます。報酬体系や評価制度と結びつけたり、管理層が積極的に参加したりすることで従業員の参画意識を高め、目標達成の確率を高められます。
また、企業単独では課題が解決できないケースもあります。そのような場合は、他企業・他団体との協力や、組織改革が必要なこともあり、経営層の的確な判断力が問われるでしょう。
5.報告・コミュニケーションを行う
SDGsへの取り組みの結果は、社内・社外の両方に対して、定期的に報告する必要があります。進捗状況を共有することでフィードバックを得られ、PDCAを回しながら改善し続けることができます。2~5のサイクルを繰り返すことで、徐々に洗練されていくことでしょう。
報告の方法は、統合報告書やCSRレポートのほか、自社HPへの掲載、自社の商品・サービスに認証マークを付けるなど、さまざまなものがあります。SDGsへの取り組み度合を、企業への評価の指標の1つとする株主や消費者が増えているため、分かりやすい形式での定期的な報告は必須と言えます。
まとめ
SDGsの目標達成に向けて、個人と企業のそれぞれで実施できる、身近な取り組み例をご紹介しました。
17の目標や169のターゲットなど、数だけを見ると敷居が高そうなSDGsですが、項目を細かく確認していくと、普遍的かつ個人で取り組みやすい内容も多いことに気づくはずです。特に、電気・水をはじめとした資源の節約、フードロスの削減、ごみの分別などは、手軽に実施できてメリットも感じやすいため、「何から始めればいいか分からない」「続けられるか自信がない」という方にもおすすめです。
企業の取り組み例に関しても、エシカルな素材を利用したノベルティや商品を通してSDGsに配慮する企業姿勢をアピールできたり、ペーパーレス化によって業務効率が向上したりと、試してみる価値のあるものばかり。企業のSDGs担当の方は、自社が享受できる恩恵も勘案しながら、具体的な取り組み方を決めてみてください。
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