裂き織り(さきおり)とは|古布を裂き新たな生地へと生まれ変わるその魅力をご紹介!
裂き織り(さきおり)とは|古布を裂き新たな生地へと生まれ変わるその魅力をご紹介!

江戸時代中期、「もったいない」の発想から生まれた裂き織り。最近ではSDGs・サステナブルへの関心の高まりに伴い、日本伝統のアップサイクル素材として再び人々の関心が集まっています。
アップサイクルは、リサイクル標語3Rといわれる、reuse(リユース)、reduce(リデュース)、recycle(リサイクル)の要素を満たした、SDGs達成には欠かせない概念のひとつです。
このような背景の中、本コラムではこれからの時代、さらにニーズが高まるであろう裂き織りについて詳しく解説していきます。

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裂き織りとは

裂き織りの布

裂き織りの歴史

裂き織りの歴史は江戸時代中期の東北地方にまでさかのぼります。当時、衣類に使っている綿や絹が高価であったこと、寒い地域であるため布そのものが貴重であったことから、使い古した布を捨てずに新たな生地の一部にするという技術が生まれました。
これが裂き織りの始まりです。
江戸時代の人々はこの技術を使って、最終的に土に還る状態になるまでひとつの無駄も出ないように使っていたといわれています。
その後、明治時代に入ってからは繊維が豊富に手に入るようになったことから裂き織りそのものが減ったものの、現在では日本伝統のアップサイクル方法として再び注目を集めています。

裂き織りの方法

裂き織りは、縦糸には木綿や絹、レーヨンなど比較的耐久性のあるもの、横糸として古い布をひも状に裂いたものを織り込むという方法です。
江戸時代には、古くなったこたつ布団や着物、浴衣などを切って横糸として使用することが多かったといわれています。
現在では最終的にどんなニュアンスの生地にしたいかによって横糸を選ぶことが多いそうです。
織り手によっても、横糸の素材によってもまったく違う表情になるのが、裂き織りの面白いところです。

<布の裂き方>

  1. 裂きやすい方向をチェックし、縦と横どちらも裂ける場合は、長さのある方に向かって手で裂く。
    (この時手で裂く前にハサミで少し切れ目をいれておくと、裂けやすい。また、あらかじめアイロンをかけておくと、熱で布の断面が整うので処理しやすいという意見もあります。)
  2. 5mm幅くらいになるように端に向かって裂き、切り落とさずに1cmくらい手前で止める。
  3. 逆側からまたハサミで切り込みを入れて手で裂いていく。

①~③を繰り返して1本の長い紐を作っていきます。これで横糸の完成です。
編むときに使いやすいように丸めておくとよいでしょう。

裂き織りに使用する主な素材

日本では、縦糸は木綿や絹がポピュラーであるため、横糸も古布で同じ素材の木綿や絹を使うことが比較的多いようです。
とはいえ、裂き織りの楽しさは、家にある古布や古着を自由自在に使うことでオリジナリティあふれる作品になることです。
使う糸はもちろんのこと、織り手によってニュアンスの違いが出てくるのも裂き織りの面白さのひとつです。

幸呼来(さっこら)Japan

さっこらジャパンのホームページ画像

出展元:https://saccora-japan.com/

幸呼来(さっこら)Japanとは

幸呼来Japanは、岩手県盛岡市にある裂き織り商品の販売・製作を行っている企業です。「さんさ裂き織り工房」「SACCORA」の2ブランドを展開しており、その製作過程において障がい者の方を雇用することで障がい福祉サービス就労継続支援事業所の運営も担っています。

さっこらプロジェクト

さっこらプロジェクトとは、幸呼来Japanが企業から「余っている布」を預かり、裂き織りを行い新たな生地に仕立てなおすという新しいBtoBのビジネスモデルです。
この織り作業は、地域の裂き織りを学んだ障がいを持つ人や、地元で形成した裂き織りサークルのメンバーなどで構成される幸呼来Japanチームが担当します。
これまでにも様々な企業とのコラボを手掛けているチームとして、今までの知識や経験を活かしてロットや素材に対応しているそうです。

さっこらJapanと企業とのコラボ例

続いて、さっこらJapanと企業とのコラボレーションの具体例をご紹介していきます。

オニツカタイガー

オニツカタイガーとさっこらのコラボスニーカー

出展元:https://saccora-japan.com/project

asicsの人気ブランド、オニツカタイガーと幸呼来Japanのコラボ例です。
オニツカタイガーの人気定番モデル「MEXICO 66(メキシコ66)」と、テニスシューズをベースにデザインした「GSM(ジーエスエム)」、創業70周年を記念して復刻した「OK BASKETBALL(オーケーバスケットボール)」の3モデルが裂き織り仕様になっています。
浴衣をイメージして綿の布を織り込んだタイプ、廃材となった端切れデニムを織り込んだタイプなど、シューズの概念を超えた斬新なデザインに仕上がっています。

Kuon(クオン)

クオンとさっこらのコラボジャケット

出展元:https://saccora-japan.com/project

KUON(クオン)は日本語の「久遠」に由来したブランド名で、世界各国の古着や古布を取り入れながら、時代が流れながらも変わらないシンプルなかっこよさを追求しています。
KUONの端材や残布を使った生地は、ストリート感あふれるジャケットやキャップとして製品化されています。

snow peak(スノーピーク)

スノーピークとさっこらのコラボジャケット

出展元:https://saccora-japan.com/project

snow peak(スノーピーク)は本社を新潟市に置く、アウトドア製品の製造・販売やグランピング事業などを行っている企業です。
自社ブランドであるLOCAL WEAR IWATEの残布を使って、幸呼来Japanで裂き織り生地にしたものをジャケットに仕上げています。
通常、洋服の場合は端材を使うとほつれが出ますが、裂き織りで重ねて縫製することでほつれが出ないようにしているところもポイントだそうです。

歴史ある伝統技術を守りながら、ビジネスモデルの一部として取り入れた企業の例をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
江戸時代の日本人の'最後までモノを大切に使う'気持ちから生まれた伝統、裂き織り。
今後も受け継いでいきたい日本の伝統のひとつです。

SDGsを統合した企業経営へ

捨てるのはもったいないという思いから始まった裂き織り。要らなくなった古布を裂いて新たな布に仕立てることは、おもにSDGs目標12「つくる責任つかう責任」の達成に大きく貢献するものです。

裂き織りは江戸時代からの伝統的な技術であるものの、工業化とともにその継承が難しくなっているという事実もあります。
しかし今回ご紹介した事例のように、企業が経営理念にSDGsを取り入れ効果的に事業に展開することで、社会問題の解決へとつなげることも可能です。
企業によっても経営ビジョンは異なるので、まずは自社に合ったSDGsの取り入れ方を検討してみるのはいかがでしょうか。

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