世界中で問題視されているプラスチックごみ。
対策のひとつとして2020年から始まったレジ袋有料化は、当たり前のこととして浸透しつつあります。
また2022年頃には、さらにプラスチックごみの削減やリサイクル強化に向けて、新たな基準が設けられるかもしれません(「プラスチック資源循環促進法案」)。
政府が主体となる施策のほかに、事業者それぞれが取り組めることもあります。
例えば、プラスチック製品を、再生紙やオーガニックコットン、生分解性素材で代替するなど、“プラスチックごみを新たに出さない“ための対策があります。
また、別の観点からプラスチックごみ削減に貢献することもできます。
それが今回ご紹介する、“すでに廃棄されたプラスチックごみ“に新たな価値をあたえる方法。
回収したプラスチックごみを活用し、生活雑貨へと生まれ変わらせる、リサイクルグッズをご紹介します。
目次
プラスチックごみ問題の現状
現在、世界では年間約800万トンのプラスチックごみが海に流れ込んでいると言われており、このペースで海洋プラスチックごみが増え続けると、2050年にはごみの重量が海の魚の重量を上回ると推測されています。
海を漂うのは、リサイクルや燃料として処理しきれずに積み上げられたごみや、街中に捨てられたごみ。
海に流されたプラスチックは波や紫外線によって劣化し細かく砕かれ、分解されることなく海中を漂い続けます。
その細かいプラスチック片はマイクロプラスチックと呼ばれ、海中で魚の体内に取り込まれ、その魚を食べる人間の体内にも蓄積されます。
世界中の海を漂うマイクロプラスチックを完全に回収するのは難しいため、これ以上海に流れるプラごみを出さないようにする対策が講じられているのです。
そこで、プラスチックごみに新たな価値を与え、世界からプラスチックごみを削減しようという想いの詰まった製品に注目が集まっています。
プラスチックごみに新たな価値を与えるリサイクルグッズ -BOPE-
今回ご紹介するのは、タイのチェンマイで生まれたリサイクル雑貨ブランド「BOPE(ボープ)」の製品。
材料には、回収されたプラスチックごみを使用。
ペットボトルのキャップや洗剤のボトル、バケツなどのごみが主な材料となります。
現在はトレー、フラワーポット、コースター、スマホスタンドの4アイテムを展開しています。
トレー
アクセサリーや時計などを置いてアクセサリートレイとして使えるトレー。
マーブル模様がインテリアのアクセントになります。
フラワーポット
植木鉢として観葉植物を入れて部屋に彩りをプラスできます。
デスクでペン立てとして使ってもよし、プラスチック製で水に強いので、洗面所で歯ブラシ置き場としてもよし。
コースター
独特のマーブル模様のコースター。
食卓やデスクで使えばオシャレ空間に変身。
スマホスタンド
スマートフォンを立てかけることのできるスマホスタンド。
マーブル模様のキーホルダーが持ち物にさりげないアクセントを加えます。
100%リサイクルプラスチックグッズ BOPE の特徴
【プラスチックリサイクル雑貨 “BOPE“のポイント】
- 100%プラスチックごみ使用
- ごみそのものの色を活かして作品に
- 世界に一つだけのマーブル柄
ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの硬質プラスチックを色ごとに仕分け、細かく砕きます。
砕いたプラスチック片を溶かし、型に流して成型、水で冷却して出来上がりです。
プラスチックごみそのものの色を活かし、職人の独自の配合により色味を決めます。
プラスチック片はあらかじめ色分けをしてあるので、ある程度の色味を調整することは可能。
ランダムに混ざり合うプラスチック片が作り出すマーブル模様は同じ柄になることはなく、世界に一つの雑貨が出来上がります。
同じ色味でも、濃い色が多め、薄い色が多め、しっかり混ざり合っているものなど、ひとつひとつ表情が違うのがわかります。
その芸術的な色と模様は、もともとごみだったことを忘れるほどです。
おわりに:個性あふれるリサイクルプラ雑貨!
これらの製品の材料は全てごみですが、そのごみはもともと人々の生活に役立っていたもの。
人々が使ったプラスチックにもう一度役目を与えるBOPEの活動は、SDGsの目標12にもある「つくる責任 つかう責任」を体現しているといえます。
またBOPEは、学校や環境保護団体と協力し、プラスチックリサイクルに関する理解を深めるためのワークショップを開催するなど、環境問題へ真摯に取り組んでいます。
プラスチックごみに新たな価値を与えることで、新たに出るごみを減らしていくことにつながり、人々のプラスチックごみに対する概念すら変えていくかもしれませんね。