アップサイクルを推し活目線で考察!|廃棄予定品でもファンにとっては宝の山
アップサイクルを推し活目線で考察!|廃棄予定品でもファンにとっては宝の山

SDGs達成が声高に叫ばれている今、企業にとっては地球環境の良化を視野に入れたサーキュラーエコノミーと呼ばれる循環型経済への取り組みが必要になっています。
アップサイクルもサーキュラーエコノミーの一つですが、今回は企業を推すファンの視点から見たアップサイクル製品について考察していきます。アップサイクルという価値に加え、推しグッズとしての付加価値も出せる製品とは?
具体的な企業の取り組み事例を挙げながら、どのような素材を使うことで推しグッズ化できたのか等、詳しく考察していきます。

アップサイクルとは?

アップサイクルとは?

アップサイクリングによって生まれた様々な商品・グッズの事例を紹介していきます。

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企業がアップサイクルに取り組むメリット

メリットデメリットが書いてあるメモ

SDGs目標12「つくる責任つかう責任―すべての人の意識と行動をシフト」

限りある地球の資源を考え、持続可能な生産形態を確保するために、企業は積極的にアップサイクルなどのサーキュラーエコノミーに基づく商品づくりに取り組む必要があるとされています。
SDGs目標12達成の視点に立ち、まずは企業がその方向性を示すことで、消費者もまたSDGsを意識した行動につながりやすいという声があります。

アップサイクルのメリット

リサイクルの場合は、原料を戻したり素材に分解したりしますが、アップサイクルは元の製品を活かして作り変えるという違いがあります。
さらにアップサイクルはものの寿命が伸びるのでリユースやリサイクルした製品より長く使用できるというメリットもあります。
また、企業の取り組みにより、消費者にとっては本当に必要なものを手に入れ、より長く使うという意識に気づくきっかけにもなり得ます。

ファンにとってはアップサイクル製品も宝の山

企業にとってアップサイクルに取り組むことは、地球環境に配慮し、SDGs達成を視野に入れたビジネスソリューションの一つでもありますが、実はもう一つの側面があります。
企業にとっては廃棄予定であったものもアップサイクルすることで、ある人々にとって宝になる可能性もあるのです。

2030年には、3人に1人が何かしらのオタクになると予測されており、近年ではオタクというワード以外にも推し、推し活等と表現されることが増えてきました。自分が応援したい相手を推しと表現し、推しを応援する活動を推し活と呼ぶようになっています。かつてのオタクという限られた一部の人というイメージではなく、現在では推しがいること、推し活をすることは当たり前のこととして世間的にも受け入れられています。
そのような、かつてオタクと呼ばれた人たちは、時に企業にとってはもっとも心強いサポーターになる可能性があるのです。
例えばアップサイクルで製作するプロダクトが、通常では手に入らない(手に入りにくい)製品で、いわゆる中の人だけが手にすることができるものであれば尚更です。

このコラムでは、そんな各ジャンルの推しがいる人にとって、ファン冥利に尽きるアップサイクル製品をご紹介していきます。

ファンにとってはたまらない!売り切れ続出のアップサイクル事例

推し活イメージイラスト

それでは、企業の廃棄予定だったものがファン垂涎の製品に生まれ変わったアップサイクルの事例をご紹介していきます。

こけし

バットこけし

出典元:https://www.rakuteneagles.jp/news/detail/00004150.html

東北楽天ゴールデンイーグルスでは試合中に実際に選手が使用して折れたバットをこけしとして製品化しています。バットの折れ方によっても作製できる数量やこけしの表情も変わるそうで、2ヶ月に一度だけ回収できたバット分を受注販売しています。折れてしまったバットはこけしとして作り変えることで、廃棄予定だったゴミからファンも喜ぶグッズに生まれ変わるという企業にとってもファンにとっても嬉しいプロジェクトです。
また、楽天イーグルスのサステナブルな活動として、ファンから不要なユニフォームを回収し新たなグッズに作り変えるという「ユニフォームリサイクルプロジェクト」を行っています。

地下鉄座席ソファ

地下鉄のシートを使ったソファ

出典元:https://sanyo-traffico.co.jp/upcycle.php

Sanyoトラフィコ株式会社は、神戸市営地下鉄西神・山手線車内で使われていたシートをソファにアップサイクルした製品を販売しました。
実際に使われていたからこその、リアルな背もたれの色褪せ感などもファンにとっては垂涎ものです。鉄オタだけでなく、地元で地下鉄を利用していた人にとっても思い出深い特別感あふれるソファです。

横断幕トートバッグ

横断幕バッグを持った現場作業着の男性

出典元:https://www.shutoko.jp/ss/c-shutoko/blog/2010/11/hataraku-tote.html

横断幕を使ったトートバッグ

出典元:https://www.shutoko.jp/ss/c-shutoko/blog/2010/11/hataraku-tote.html

首都高速道路株式会社では、使用済の横断幕の布をデイリー使いしやすいトートバッグにしました。
首都高のあちこちで見かける横断幕とは、工事期間のお知らせや注意喚起の文言でドライバーに情報提供をしているあの布です。
首都高での掲載期間が終わった布を実用的なバッグとしてアップサイクルしたこのトートは、横断幕ならではの耐水性に優れていて丈夫なスグレモノ。横断幕によって布の切断箇所が異なるので、同じデザインガ2つとないのも魅力です。

消防ホースバッグ

ホースバッグ

出典元:https://shop.upcyclelab.jp/

UPCYCLE LAB(アップサイクルラボ)では、廃棄される消防用ホースをアップサイクルしたバッグを扱うバッグブランドです。
消防用ホースはビルや公共施設に取り付けられていますが、その9割は使用されることなく廃棄になっているそう。
ホースは30年以上前のものもあり、消防ホースとひとことで言ってもメーカーやホースの柄も様々なのだとか。
一見ホースを使っているとはわからないほどスタイリッシュなデザインのこのバッグは、熟練された職人がひとつひとつ手作業で裁断・縫製し製品化しています。

ライフベストサコッシュ

ライフベストで作ったサコッシュ

出典元:https://store.jalbrand.co.jp/collections/jal-original-goods/products/prod-009

JALブランドコミュニケーションは、機内での役目を終えたライフベストをオリジナルのサコッシュにしました。
JALでは年間で2,000着のライフベストを交換するそうですが、その廃材を使って普段使い用のサコッシュに生まれ変わらせました。
着用方法が描かれたイラストや赤いパーツは、かつては現役のライフベストであったことを物語っています。
このライフベストシリーズは大人気商品で、サコッシュの他にもポーチが販売されていましたがすでに完売となっています。

作業着バッグ

ライフベストで作ったサコッシュ

出典元:https://www.ana.co.jp/ja/jp/topics/ana-future-promise/resources/2022-01-21-01/

整備士の作業着

出典元:https://www.ana.co.jp/ja/jp/topics/ana-future-promise/resources/2022-01-21-01/

ANAグループでは、現在約3,000名の航空整備士が在籍しており、出発前や到着後に機体の点検作業を行っています。思い入れのある作業着を捨てずに何かの役に立てることができないだろうかという現役整備士の発想からアップサイクルが実現しました。
ショルダートートやサコッシュ等の7アイテムを2022年5月30日にオンラインショップで販売したところ、355点すべてが即日完売したことでも話題になりました。

製品化には約2年の試行錯誤を繰り返したそうで、旅行の時に使えるバッグをテーマに、デザインはROOTOTEが担当。作業着の胸ポケットを活かして物入れとして使えるような機能性を重視したデザインにしたり、作業着では背面に入っていたANAのロゴをバッグの前面に配置したりと、素材だけでなくバッグとしての機能性やデザインにもこだわりを持って製作したそうです。

参照:https://www.youtube.com/watch?v=qxJUe8uOpLE

参照:https://www.ana.co.jp/ja/jp/topics/ana-future-promise/resources/2022-01-21-01/

このように、企業にとっては廃棄予定のものであっても、アップサイクルすることでファンに刺さるアイテム開発になる可能性があります。ぜひ自社の新たな商品開発のご参考にしてみてはいかがでしょうか。

廃棄予定品がプレミアム感ある推しグッズに

企業にとっては、廃材削減・地球環境良化、消費者にとってはモノを大切にするという概念の浸透を促すアップサイクル。
しかし、いち消費者以上の熱量を持つファンにとっては、今回ご紹介したようなアップサイクル製品は普通であれば中の人にしか手に入れられない、プレミアム感を感じられる大切な推しグッズでもあります。

今、機械的な生産と消費を繰り返していた時代から、かつての在り方を見直す時が来ています。
今後、企業にとってアップサイクルの導入は積極的に捉える必要がありそうですが、どのような素材を使うのかによっても製品の意味が大きく変わってきます。SDGs視点に立った生産はもちろんのこと、自社推ししてくれる心強いサポーターをさらに増やすきっかけになるアップサイクルは、企業としての更なる発展につながるヒントになりそうです。

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