大量生産、大量消費が問題視される中、「グリーンフライデー」というイベントに注目が集まっています。
企業だけでなく、私たち消費者の意識改革も促すグリーンフライデーとはどんなものなのでしょうか。
世界的な大規模セールである「ブラックフライデー」との違いを確認しながら解説します。
消費の在り方にまで思いを及ばせる、賢いモノ作りにお役立てください。
目次
グリーンフライデーとは?
毎年11月の第4金曜日には、ブラックフライデーと呼ばれる大規模セールが行われます。
クリスマスや年末を見据え、プレゼントなどの買い物需要が高まるシーズンなのもあり、街中のショップはもちろん、アマゾンなどのショッピングサイトでも、ブラックフライデーは1年のうちでも非常に盛り上がりを見せる大きなセールが行われます。
その一方、近年注目を集めているのが「グリーンフライデー」です。
グリーンフライデーは、過剰な消費を促すブラックフライデーへの対抗策として誕生しました。
ブラックフライデーと同じ11月の第4金曜日を中心に、持続可能な消費を推進することを目的とした取り組みを行います。
2017年にフランスの電化製品リサイクル企業・ENVIEの呼びかけを発端として、ヨーロッパを中心に広まりました。
グリーンフライデーの根底にあるのは「モノを大切にし、リサイクルやリユースを促進することで、環境への負荷を減らそう」という考え方です。
単にモノを購入するのではなく、消費の質に目を向け、持続可能な商品モデルを推進することを目指しています。
ブラックフライデーが抱える問題点
多くの人がショッピングを楽しむブラックフライデーですが、様々な問題点も指摘されています。
ブラックフライデーでは大量の物資が消費されますが、これは地球の有限な資源の浪費を増大させることにつながります。
また、買い替えによって生じた不要物の大量廃棄は、まだ使えるものが捨てられてしまうことでごみの量が増加し、最終的には埋め立てや焼却処分といった形で、環境に負荷をかけてしまいます。
ブラックフライデーの期間中には商品の梱包資材が大量に消費されるほか、オンラインショッピング利用の急増に伴い、配送車両も増加し、二酸化炭素の排出量増加による地球温暖化や、大気汚染につながる恐れも考えられます。
グリーンフライデーの具体的なアクション
消費を声高に訴えかけるブラックフライデーへのアンチテーゼであるグリーンフライデーでは、持続可能な消費活動の実現や、環境問題への意識向上を目的に、「あえて消費しない」行動を選択します。
企業と消費者、それぞれにできるアクションがあるのでチェックしていきましょう。
企業ができるアクション
企業は、ビジネス活動を通じて、環境に配慮した社会の実現に貢献できる立場です。
グリーンフライデーの取り組みを通じて、サステナブルな消費を促進する意思があることを、ユーザーをはじめとするステークホルダーにアピールできます。
具体的な取り組みとしては、以下が挙げられます。
- ブラックフライデーの休業
- 過剰なセールの自粛
- 売り上げの一部を環境保護団体に寄付
- リサイクルを促すワークショップの開催
- サステナブルな製品の販売に力を入れる
このようなアクションを通じて、ブラックフライデーの過剰な消費に疑問を感じていること、サステナブルな消費を促進する意思を伝え、環境への配慮の一環としてユーザーから選ばれる企業になることができます。
消費者ができるアクション
消費者は、購買行動などを通じたアクションで、グリーンフライデーの理念を実践することができます。
具体的な取り組みとしては以下のようなことが可能です。
- セールに安易に参加せず、本当に必要なものだけを購入する
- 環境に優しい商品を選ぶ
- 企業姿勢に納得のいく商品を購入する
- リサイクル品を購入する
- モノを購入する際には、廃棄のことまで考える
など、意識的な消費を心がけることが考えられます。
また、地域のクリーンアップ活動に参加したり、植樹活動を行ったりすることで、直接的に環境保全に貢献することも可能です。
グリーンフライデーの取り組み事例
グリーンフライデーは、ヨーロッパ発の取り組みですが、日本を含む世界中の企業が積極的に参加しています。
グリーンフライデーの取り組み事例として、以下の企業の実例をご紹介します。
- メルカリ|サステナブルファッションショーの開催
- シェアリングエコノミー協会|グリーンロゴの啓発
- IKEA|買い取り品や返品商品・展示品の販売
- REI|ブラックフライデーでの全店休業
- クラダシ|サステナブルな買い物キャンペーンの実施
- ワンダーテーブル|規格外の食材を使った料理の提供
メルカリ|サステナブルファッションショーの開催
引用:https://about.mercari.com/press/news/articles/20231129_greenfriday/
フリマアプリ大手・メルカリは、2023年のグリーンフライデーに合わせて「新作ゼロのサステナブルファッションショー」を開催しました。
THE NORTH FACEやRAGTAG、CIRCULABLE SUPPLYといったブランドと協力し、リユースアイテムを活用したコーディネートを提案する内容です。
さらに、人気ファッションスタイリストがメルカリで購入したリユースアイテムを使ってコーディネートを披露し、リユースの魅力を伝えました。 ファッションによる環境負荷を減らすため、新作を一切使わず、限りある資源を大切に使うことを目指しています。
一次流通市場を中心に事業を展開するブランド側と、二次流通市場で事業を展開するメルカリがタッグを組み、市場の枠を超えたサステナブルなファッションの楽しみ方を提案することで、社会全体の『捨てる』を減らし、循環型社会の実現を推進したいという意気込みが語られた、画期的なイベントです。
シェアリングエコノミー協会|グリーンロゴの啓発
引用:https://sharing-economy.jp/ja/greenfriday2023
シェアリングエコノミー協会は、グリーンフライデーに合わせて「グリーンロゴの啓発」を実施しています。
具体的には、シェアリングエコノミー協会がシェアサービス事業者と協力して、各社のサービスロゴをグリーンに変更する活動です。
このプロジェクトは、消費者に対してサステナブルな消費の選択肢や日常的にサステナビリティについて考えるきっかけを提供し、シェアリングサービスの利用を選択肢の一つとして認識してもらうことを目的としています。
大量生産・大量消費からサステナブルな消費への変化の必要性が増す一方で、ブラックフライデーのような大規模セールも依然存在し続ける、そういった世の中の「消費」に対し、サステナブルな選択肢の1つであるシェアサービスを世の中へ提案する、一石を投じる取り組みを目指しています。
IKEA|買い取り品や返品商品・展示品の販売
引用:https://about.mercari.com/press/news/articles/20231129_greenfriday/
スウェーデン発祥の家具販売店・IKEAは2023年、11月11日~12月9日、グリーンフライデーキャンペーンとして「買い取り品や返品商品・展示品の販売」を行いました。
IKEAでは年間通じて家具の買い取りサービスを行っていますが、グリーンフライデーキャンペーン中は家具の買い取り価格を30%上乗せ。買い取られた家具はサーキュラーマーケットで再販され次のユーザーの手に渡るため、廃棄されることもありません。
サーキュラーマーケットでは、IKEAが買い取った家具以外にも、返品や展示品などの商品をアウトレット価格で販売しています。
こうした取り組みを通じて、消費者に対して持続可能な消費の機会を提供し、廃棄物の削減や商品の延命を実現しています。
REI|ブラックフライデーでの全店休業
引用:https://about.mercari.com/press/news/articles/20231129_greenfriday/
アメリカのアウトドアブランド・REIは、グリーンフライデーの一環として、ブラックフライデーに全店休業を行うことで有名です。
2015年から「Opt Outside(外に出て楽しもう)運動」として、ブラックフライデーに合わせて店舗を閉鎖し、従業員には有給休暇を付与しています。
そして、消費者に対して、ショッピングではなくアウトドア活動を楽しむことを呼びかけています。
自然とのつながりを深めることで、環境への配慮や持続可能なライフスタイルの大切さに気づいてほしいとの願いが込められているのです。
消費大国アメリカであっても、ブラックフライデーの大量消費型ビジネスモデルに批判的な企業もあるという一例です。
クラダシ|サステナブルな買い物キャンペーンの実施
引用:https://corp.kuradashi.jp/news/23-11-22/
フードロス削減を目指す食品メーカー・クラダシは、グリーンフライデーに合わせて「サステナブルなお買いものキャンペーン」を実施しています。
具体的には、産地やメーカーから、商品をダイレクトに消費者へ届けることで輸送にかかる二酸化炭素の排出を削減し、サステナブルな買い物を実現しました。
また、フードロス削減に寄与するため、賞味期限が迫るものの品質に問題のない商品を15%割引で販売。
さらには、対象商品の購入1点につき20円を環境保護団体に寄付し、自然保護活動を支援しています。
毎日口にする食べ物を通じて、楽しく、皆が喜ぶソーシャルグッドなマーケットを実現したい、そんな願いがこもったキャンペーンです。
ワンダーテーブル|規格外の食材を使った料理の提供
引用:https://nl.wondertable.com/greenfriday2023?_gl=1*mo7avr*_gcl_au*NDYxMzk3Nzc1LjE3MjMxNjkyMTA
国内外に店舗を展開する飲食店経営企業・ワンダーテーブルは、グリーンフライデーに合わせて「規格外の食材を使った料理や、温室効果ガスの削減に期待できる食材を使用した料理の提供」を行っています。
具体的には、基準外を理由に廃棄される野菜を販売したり、それらを使ったパスタ、地産地消の食材を使用したサラダなどをスペシャルメニューとして提供しています。
このような取り組みを通じて、ワンダーテーブルは食材を選択することの意義や、毎日の暮らしの中で楽しく継続的に行える環境への配慮を啓蒙しています。
グリーンフライデーの展望と可能性
グリーンフライデーは、持続可能な消費を促す国際的な取り組みですが、日本での定着には課題があります。
具体的には、グリーンフライデーの認知度がまだ低いことや、消費者に大きなお得感をもたらすわけではないといった課題があり、国内における浸透には少し時間がかかりそうです。
グリーンフライデーが浸透するためには、企業と消費者の連携が不可欠となります。
企業には、リサイクルしやすい製品の開発やサプライチェーンの透明化など、製品の全ライフサイクルで環境負荷を減らす取り組み・投資などが求められます。
消費者も、エコな生活スタイルへの転換や、エコな商品選び、地域活動への参加など、消費における意識的な行動が求められます。
消費者の意識を変える取り組みとしては、グリーンフライデーの理念を理解し、行動に移すための教育やインフラの整備なども必要でしょう。
このように企業と消費者が問題意識を共有し、連携することで、グリーンフライデーはより大きなムーブメントへと発展していく可能性を秘めています。
まとめ
グリーンフライデーは、大量消費を促すブラックフライデーに対抗して行われる、環境に配慮した消費を促す取り組みです。
グリーンフライデーは、単なるセールイベントではなく、SDGsの理念にも通じる「持続可能な社会の実現」に向けた、重要な一歩と言えるでしょう。
企業に対しては、製品のライフサイクル全体で環境負荷を減らす取り組みが、消費者に対しては、エコに対する意識の向上が求められます。
ヨーロッパを中心にグリーンフライデーの動きは着実に拡大しており、今回ご紹介した事例のように、今後日本において大きなムーブメントへ発展する可能性を秘めています。
トランスでは、SDGs/サステナブルに対応したマーケティング活動を展開しております。グリーンフライデーを含む各種マーケティング、オリジナルグッズをはじめとした自社の商品やサービス、プロモーションに関するに関するご相談も、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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咲楽レイ
大量生産、大量消費の時代から、限りある資源を大切に長く使っていく消費スタイルにシフトしていく、時代の過渡期ですね。
時代にもファンにも求められるオリジナルグッズ作りに邁進したいと思います。
公開日:
株式会社トランス