最近よく見かけるようになったエシカル・サステナブル・SDGsの3つのワード。中には同義語で使われるケースもあり、混同してしまうことはありませんか。そこで本コラムでは、今さら聞けないそれぞれの意味の違いと、具体的な使用事例をあげながら詳しく解説していきます。
エシカル
エシカルの意味
「エシカル」は英語の「ethical」で、「倫理的」「道徳的な」という意味です。
一般的な定義としては、法律やルールなどの縛りがなくても「みんなが正しい、公平だと思っていること」とされています。
(引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/エシカル)
エシカルの使い方
「エシカル」は多くの人にとって倫理的な行動(活動)であることを表しますが、近年では地球環境や社会貢献の意味合いが強い傾向にあるようです。
地球環境への配慮や人権の保護など、地球上のすべての存在がより良くあることを目指すもので、生活者個々の視点から捉えた倫理的な行動(活動)のことです。
例えば「エシカル」の言葉の使い方としては下記のような事例があります。
- エシカル消費:消費者一人ひとりが社会問題の解決に取り組んだり、そのような課題に取り組む企業を応援しながら消費活動を行うこと。 (参照:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/ethical/about/)
- エシカルジュエリー:紛争や人や物の搾取、環境破壊など社会的倫理に反した環境で製造・取引を行っていないジュエリー。人工鉱物やリサイクル素材を使用したジュエリーなども含まれる。
- エシカルフード:農薬や添加物を使用していない食品や、フェアトレードで栽培された食品や地産地消の考えに基づいた農作物なども含まれる。動物保護の観点からヴィーガンフードも当てはまる。
- エシカルコスメ:自然由来成分の原料を使用していたり、消費者の人体への影響を考慮した化粧品など。
- エシカルギフト:環境に配慮したラッピング資材を使用しているもの、地域の活性化につながる伝統工芸品などもエシカルギフトとして挙げられるため、広義で使われることが多い。
などが挙げられます。
サステナブル(サスティナブル)
サステナブル(サスティナブル)の意味
サステナブル(サスティナブル)は英語の「sustainable」で、「持続可能な」「維持できる」という意味の形容詞です。
SDGsの関連用語として目にする機会が多く、地球環境の保全、社会や経済の持続可能性を示すワードとしても使われています。それでは具体的にどのように使うのかをご紹介していきます。
サステナブルの使い方
「サステナブル」は国や民族を超えた、地球全体としての大局的・長期的視点から捉えた使い方をします。
地球環境や人間、動物や植物を含めたすべての存在がより良くあることを目指している点では「エシカル」と同様ですが、それを概括的・持続的に捉えた視点がサステナブルです。
- サステナブルデザイン:建築分野などで用いられることが多く、地球環境に負荷を与えない設計・デザイン。
- サステナブルファイナンス:環境・社会問題を経済面から解決しようとする活動や資金の流れのこと。
- サステナブルマーケティング:環境・社会問題に配慮した活動を自社のマーケティングに取り入れること。
などの使い方があります。
このように「エシカル」と「サステナブル」はそれぞれ異なった視点と概念に基づいていることがわかります。
ただし、ケースによっては類義語として扱われることも多く、混同しやすい原因にもなっています。
「エシカルファッション」と「サステナブルファッション」は同義語?
「エシカル」「サステナブル」が類義語として使われる例として、典型的なのが「エシカルファッション」「サステナブルファッション」です。
「エシカルファッション」とは、オーガニックやフェアトレード素材の使用、生産段階において労働者の賃金・権利など労働環境が守られていること、ヴィーガンや動物実験の廃止といったアニマルフレンドリーに基づいているなどの概念に基づいたファッションのことを表しています。
一方、「サステナブルファッション」は、地球環境への配慮という要素が強いものの、前述の「エシカルファッション」の意味も持ち合わせています。
その理由として、個人のエシカルな行動が結果的にサステナブルな社会づくりに貢献するという関係性にあることが考えられます。
つまり、言葉そのものの意味は異なっていても「エシカル」と「サステナブル」はとても関連性が深いといえます。
SDGs(エスディージーズ)
SDGs(エスディージーズ)とは、2015年9月の国連総会で採択された「Sustainable Development Goals」(持続可能な開発目標)のことです。
具体的には、17の世界目標と169の達成基準を定めており、2030年までにより良い地球のあり方を目指そうとするものです。
SDGsは「誰一人取り残さない」ことを前提としており、貧困をなくす、ジェンダー平等の実現、地球環境の保護・回復など、国や人種を超えて達成すべき目標が掲げられています。
まとめ
いまさら聞けない「エシカル・サステナブル・SDGs」の意味の違いについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
「エシカル」も「サステナブル」もSDGsの達成には欠かせない概念なので、切り離して考えるほうが難しいかもしれません。
近年では、日本でもSDGsの認知度が上がり、消費者も日々の生活を見直すきっかけとなっています。
消費者のSDGsへの理解も深まったことから、積極的にSDGs達成に取り組んでいる企業を応援したいという人も増えているようです。
世界共通の目標設定であるSDGsの達成は、サステナブルな社会の実現を目指すものです。
そのためには個人や政府だけではなく、企業の取り組みが必要不可欠です。
企業の長期的な発展のためにも、できることから積極的に取り組んでいきたいものですね。