持続可能な社会をつくるための17の目標と169のターゲットからなる「SDGs」の達成に向けて、サステナブル(持続可能)な事業を展開する企業をよく目にするようになりました。
消費者のSDGsに対する意識も少しずつ高まり、サステナブルをうたう商品も市場に多く出回っています。
例えばファッション業界では、再生素材を使用した製品や、植物由来の素材を使用し化学繊維の割合を減らすなど、環境に配慮された製品が販売されています。
一方、エンターテインメント業界ではまだまだ事例が少ないですが、少しずつSDGsへの取り組みもなされるようになってきたと感じます。
「SDGsについてアクションを起こした方がよいというのはわかるが、何から始めたらよいかわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、「エンターテインメント×SDGs アーティストたちのサステナブルな活動」ということで、エンターテインメント業界で行われているサステナブルな取り組みの事例をまとめて紹介します。
企業としてSDGsへの取り組みを始める際の参考にしていただければと思います。
目次
SDGsに関連する取り組みをしているアーティストの事例①グッズ編
まずは、SDGsに関連するグッズの展開事例を紹介します。
アーティストが公式グッズとして「環境に配慮した製品」をラインナップに入れることで、手にするファンへダイレクトにサステナブルな活動を伝えることができるでしょう。
【ビリーアイリッシュ】 オーガニック生地を使用したコレクションを展開
自信のドキュメンタリー映画の公開にあわせてアパレルコレクションを展開したビリーアイリッシュ。
Tシャツやスウェットパンツ、パーカーなど、農薬を使用していないオーガニックコットン生地で作られています。
さらに、すべてアメリカ、主にカリフォルニアで製造することで、地元の経済の支援、海外輸送費の節約など、よりサステナブルであることをアピールしています。
若年層を中心に人気を集めるアーティストの活動により、若い世代に環境問題について考えるきっかけを与えます。
【柴咲コウ】サステナブルブランドとのコラボバッグをライブグッズに
引用:https://shop.koshibasaki.com/goods_detail.php?artist_id=1&goods_id=46&category_id=6
2019年、「環境、そしてそれを取り巻く人の想い」をテーマにコンサートツアー『EARTH THE KO』を開催した柴咲コウ。
そのコンサートグッズとして、『APOLIS(アポリス)』とのコラボバッグを発売しました。
『APOLIS』はフェアトレード(公正な貿易)の製品を扱っており、サステナブルなモノづくりで注目を集めているブランドです。
他にもオーガニックコットンを使用したTシャツを展開するなど、グッズや披露した曲のセットリストも含め、一貫して地球を想いやる気持ちを持ったコンサートツアーを開催しました。
【ap bank】サステナブルな世の中につながるストーリーを込めたグッズを展開
ap bankは、音楽家の小林武史、Mr.Childrenの櫻井和寿、坂本龍一の3名が拠出した資金をもとに、2003年に設立された団体。
サステナブルという指標の元、環境保全活動の支援、復興支援活動など様々なプロジェクトを立ち上げています。
プロジェクトのひとつとして野外音楽イベント「ap bank fes」を開催していました。
グッズには、プレオーガニックコットンを使用したTシャツ、マイボトル、震災からの復興を目指す東北のコットンを使用したミサンガなど、サステナブルな社会へ導くストーリーを持ったアイテムがラインアップされました。
【サザンオールスターズ】100%オーガニックコットンを使用したアパレルを展開
引用:https://www.asmart.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&cat=100101&swrd=&pid=10024334&vid=
幅広いファンから支持を集める、サザンオールスターズは、ライブグッズとは別に、ブランド『SOUTHERN ALL STARS -Daily use-』を立ち上げました。
日常にささやかなSMILEををテーマに、生産者や環境にやさしい国産オーガニックコットンを100%使用したTシャツなどを販売。
ベーシックなデザインの環境にやさしいアイテムが生活に溶け込み、いつもよりハッピーな一日を過ごせることを願ったブランドです。
大きな企業のSDGsに関する取り組みはとても素晴らしいですが、ハードルが高い場合もあります。サステナブルな取り組みをまず始めてみたいと考えている場合は、アーティスト事業の一環として、ライブグッズに環境配慮グッズを取り入れてみるのがおすすめです。
SDGsに関連する取り組みをしているアーティストの事例②活動編
SDGsの項目のなかには、自然環境を守るための目標の他に、性差別や貧困、人権問題について平等を目指すための目標があります。
続いて、グッズ以外の部分でSDGsに関連する活動の事例をご紹介します。
【中津川 THE SOLAR BUDOKAN】 100%ソーラーエネルギーを活用した野外ロックフェス
引用:http://solarbudokan.com/2019/
岐阜県中津川市の中津川公園内特設ステージで開催されるライブ。
ロックミュージシャンの佐藤タイジが2012年に100%ソーラーエネルギー活用したロックコンサートを開催。
前例のない大規模な試みは、多くの音楽関係者から注目を集めました。
2013年9月には100%ソーラーエネルギー活用して行われる、日本初の野外ロック・フェスティバルイベントがスタートし、佐藤タイジの出身地である徳島県や、震災の被害を受けた福島県など、活動が各地へと広がっています。
【BTS】 教育、訓練、雇用機会を与える「Youth2030」に登壇
ユニセフの新たなパートナーシップ「Generation Unlimited」の発足を記念する会合「Youth 2030」でスピーチを行いました。
これまでもユニセフの「LOVE MYSELF(自身をまず愛そう)」キャンペーンを支援、子供や若者に対する暴力の撲滅などに取り組んできたBTS。
自分に自信を持つこと、自分を愛することの大切さを訴えました。
BTSは、欧米諸国で起こるアジア系住民に対する差別や暴力事件の発生を受け、「私たちには尊重される権利がある」と訴えるなど、人種差別問題を撲滅する活動をしているアーティストとしても注目されています。
【Coldplay】環境に配慮して、ツアーを中止
2019年、イギリスのロックバンドColdplay(コールドプレイ)は、ライブが環境に大きな負荷をかけるとし、コンサートを中止しました。
「持続可能なだけでなく、環境に利益をもたらすようになるかを考える」と話し、次のツアーをカーボンニュートラル(二酸化炭素の排出される量と吸収される量が同じ状態)を目指しています。
バンドの利益の一部を寄付する、フェアトレードを指示するなど、社会問題に対して積極的に向き合っており、「他のアーティストが同調してくれたらうれしい」と、サステナブルの輪が広がることを望んでいます。
発信力・影響力の強いアーティストが社会問題に対してアクションを起こしていくことで、より多くの人々が社会問題について考える機会となります。
今回挙げた事例は、発信するアーティスト本人が強い意志を持って問題に訴えかけている事例もあり、SDGsに関連するしないにかかわらず、より良い社会を作るための活動です。
これからのアーティスト事業においてもキーワードになる「SDGs」
以上のように、アーティストによる持続可能な社会へ導く活動は世界中に広まりつつありますが、調べてみると日本のアーティストにおける事例はまだ少ないように感じました。
アーティストが環境問題や人権問題の解決について働きかけていくことは、慈善活動であるように捉えられるかもしれませんが、他の業界では『環境に良い素材を使った商品』『発展途上国の労働者の生活を支援するための商品』が作られています。
SDGsに取り組むことは、単なる慈善活動ではなく、社会を変えていくための目標であるため、今後ビジネスとは切り離せない存在となっていくのではないでしょうか。
エンタメ業界においても、サステナブルな社会を目指すための取り組みが、より一層求められるでしょう。
発信力のあるアーティストだからこそ訴えてほしい問題は多く、より多くのファンたちを巻き込んで、持続可能な社会づくりを目指すことが、今後エンターテインメントの姿になるかもしれません。
トランスでは、再生素材や環境に配慮した素材を使用したオリジナルグッズの製作など、エシカルなモノづくり・コトづくりを通して企業のサステナブルなマーケティング活動をお手伝いいたします。
- サステナブルな企業活動に興味がある
- ライブグッズをサステナブル素材で作りたい
など、是非お気軽に各営業担当までご相談ください。