近年増加しているハイブランドとキャラクターのコラボレーション企画。
一見意外な組み合わせに思えるコラボは、どのような狙いを持って異色のコラボが実現されるのでしょうか。
「コラボレーション」とは、双方が協力してそれぞれの作品に付加価値を与えること。
ハイブランドとキャラクターのコラボレーションが持つ効果について、ブランド側ファン側それぞれの視点から考察します。
コラボの狙いと効果|ブランド視点とファン視点
ブランド側の視点
誰もが知るキャラクターとのコラボは、異色コラボとして注目を集める広告の役割を果たしています。
若い世代の消費者にとってハイブランドのアイテムは高価で手が出せないことが多いのが現実。
そんな世代の消費者たちを、将来ブランドの顧客として取り込むことが狙いです。
コラボ商品の購買だけでなく、若い世代に人気のキャラクターを使ってブランドを認知させる効果を期待しています。
異色のコラボは一見イメージダウンにもなりかねません。
しかし、コンテンツのターゲットである世代にささるキャラクターの活用やデザインで、認知とイメージアップを図っています。
ブランドのファン
ブランドのファン・マニアにとって、限定コラボ商品は手に入れておきたいレアものとして扱われることもあります。
コラボ商品をきっかけにアニメや漫画に興味を持つこともあるでしょう。
また、コラボ相手のコンテンツに興味がないファンでも、コラボの話題をきっかけにブランドを想起し、来店・購買意欲が高まる効果も期待できるかもしれません。
キャラクターのファン
キャラクターのファンにとっては、ハイブランドであろうと“推しの限定グッズ”のうちのひとつ。
高価ではありますが、なんとしても手に入れたい、という熱いオタクはためらいながらも高価なレアアイテムを購入します。
また、コラボしたキャラクターを入り口に、敷居が高いと思っていたブランド品のサイトをのぞいてみたり、思い切って購入してみたりと、興味を持つきっかけになります。
そのコラボ商品が高価で買えなかったとしても、コラボをきっかけに興味を持ち、「将来このブランドのアイテムが欲しい」「第2弾があったらその時は欲しい」といった気持ちが生まれます。
コラボ企画が起こる理由をアパレル業界の状況から考察
ハイブランドとキャラクターのコラボが起こる理由と深く関係があると考えられるポイントは、次の二つです。
- アパレル業界の市場規模縮小
- コロナ禍における高級品の売上上昇
数年前からアパレル業界では不況が起こっているといわれ続けています。
数年後、数十年後にブランドが生き残っているためにも、顧客をキャッチしておく必要があり、今の若い世代に人気のキャラクターを起用しブランドに興味を持たせています。
一方で、コロナ禍を経て「リベンジ消費」などの影響から、高級品の売上、アパレル業界全体でECでの売り上げが好調というデータも見られます。
高級品、アパレルのEC販売好調の波に乗り、認知度の高いキャラクターを広告塔として活用し注目を浴びることで、コラボ商品だけでなくプロパー商品の購買にも誘導することができます。
コラボの特設サイト経由でのECサイトへの流入は、ハイブランドならではの入店しにくい店舗や百貨店から若者が離れていく対策にもなっていると考えられます。
話題になったハイブランド×キャラクターのコラボ事例
ハイブランドとキャラクターの、話題になったコラボレーションの事例をピックアップしました。
それぞれのコラボ企画の特徴と合わせてご紹介させていただきます。
ドルチェ&ガッバーナ × 呪術廻戦
ドルチェ&ガッバーナ×呪術廻戦では、登場キャラクターのイメージに合わせた柄のTシャツやジャージなどを展開。
若者から絶大な支持を集めているアニメキャラクターを起用し、30~50代の男性がメイン客層となるブランドに若い世代の顧客を取り込む狙いが見られました。
キャラクターがブランドのアイテムを着用しているイラストが描き下ろされましたが、コラボ商品に限らずプロパー商品も着用しています。
ECサイトでは、コラボ商品と一緒にキャラクター着用アイテムが並べられており、ファンがコラボ商品以外にも興味を持つように工夫されています。
また、特設サイトは映像やエフェクトを組み込んで作り上げられており、ブランドとアニメの両方の世界観を表現しています。
GUCCI × ドラえもん
誰もが知る国民的アニメ・ドラえもんとGUCCIのコラボ。
バッグや財布、ジャージなどに、愛くるしいドラえもんを配置することで、ブランドの象徴的GGパターンの印象がガラッと変わりました。
アパレルだけでなく、書店で手に入る雑誌の特別付録として、GUCCI×ドラえもんのノートやメモ帳が展開されました。
ブランドの高い敷居を下げながらも、幅広く愛されているキャラクターを起用しイメージダウンさせない、絶妙な異色コラボでした。
Ground Y × 鬼滅の刃
Ground Y × 鬼滅の刃では、生地や縫製のすべてをmade in Japanにこだわって製作されました。
伝統と歴史のある生地「小倉織物」を使用したコレクションは、特別に描き下ろされた和風なイラストで、作品の世界観とマッチしています。
モードファッションを展開するブランドと和風なイラストのキャラクターとのコラボは一見異色に見えますが、コンセプトをしっかりと固め、生地や生産背景にこだわり、一貫性のあるコレクションとなっています。
GUCCI × ジョジョの奇妙な冒険シリーズ
独特のタッチで描かれた、個性的なファッションのキャラクターが登場する人気シリーズ「ジョジョの奇妙な冒険」とGUCCIの、複数年にわたるコラボ企画。
2011年に、雑誌「SPUR」の表紙には、ブランドのアイテムを身に着けたモデルの特別な描き下ろしイラストが掲載され、話題を呼びました。
これらのコラボでは、GUCCIをテーマにしたスピンオフの短編漫画が制作されたり、GUCCIのショールームで作者・荒木飛呂彦氏の原画展が開催されたりと、世界中で話題になりました。
新宿で行われた原画展でも、20日間で2.2万人が来場し、漫画のファンがブランドに興味を持つ大きなきっかけになりました。
ハイブランドとキャラクターのコラボの先駆けとなったともいわれている事例です。
まとめ
近年みられるコラボは、ハイブランドが未来の顧客となる今の若者を獲得する狙いがあります。
しかしZ世代は、良いモノを長く使う、もしくは安い服を着回す工夫をするのがうまい世代。
どうにかハイブランドに興味、憧れを持ってもらおうと、挑戦的なコラボ企画を打ち出しています。
その他アパレル業界でも、キャラクターに限らず飲食店やブランド同士のコラボ、Z世代に人気のクリエイターやイラストレーターとのコラボが頻繁に起こっているようです。
さて、ここまでアパレル業界のコラボをご紹介してきましたが、スポーツや飲食など、さまざまな業界で課題とされているのが、「若者の○○離れ」。
その課題解決法のひとつとして、Z世代に人気のアニメ・漫画のキャラクターとの異業種コラボの事例が増えています。
次はどんなコラボが発表されるのか注目していきたいと思います。
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セウヘイ
株式会社トランス社員。財布を持たずに出かける日が増えました。スマホがあれば事足りるからです。ハイブランドといえばカッコイイ財布、というイメージがあったりしますが「若者のハイブランド離れ」はキャッシュレス化の影響もあるかもしれません。
私がうっかりだからではないです。キャッシュレス化が進んでいるのです。