「推し」への想いを広告という形にしてサポートできる?
最新トレンド「応援広告」とは、どんなものなのでしょうか。
日本でも広まりつつある韓国発祥の推し活トレンド、「応援広告」の世界へご案内します!
目次
応援広告とは?
応援広告は、特定の個人やグループを応援するために、関係者やファンが出す広告です。
販促が目的の一般的な広告とは異なるフローをたどって掲出されます。
特に韓国では、「センイル(誕生日)広告」と呼ばれ、アイドルやアーティストなど「推し」の対象となるスターの誕生日の祝福を目的にしたものが多く見られます。
そんな韓国でのトレンドを受けて、日本でもファンがアイドルやアーティストを応援する「推し活」の手段として実施されるケースが増えています。
2016年、国民的男性アイドルグループの解散に合わせて、新聞の朝刊一面に応援と感謝の広告が掲載されたケースが、日本での印象的な応援広告の事例です。
応援広告のバリエーション
応援広告の種類は、 以下のように多岐にわたります。
広告の種類 | 概要 |
---|---|
街頭ビジョン広告 | 駅周辺や繁華街など、人通りの多い場所に設置された大型ビジョンに広告を掲出する形式です。
視覚的なインパクトが強く、多くの人々の目に触れるため、効果的にアピールできます。 |
交通広告 | 車の中吊り広告、駅ポスター、バス広告など、交通機関を利用する人々に向けて広告を展開します。
日常的に多くの人々が目にするため、認知度向上に繋がります。 |
アドトラック広告 | トラックの側面や背面に広告を貼り付け、街中を走行させる形式です。
移動式広告なので、広範囲へアピールできます。 |
SNS広告 | Twitter、Instagram、TikTokなどのSNSを活用した広告です。ハッシュタグやトレンドを利用することで、多くのファンにリーチできます。 |
カップホルダー広告 | カフェや飲食店でドリンクを注文した際に、オリジナルデザインのカップホルダーが提供される形式です。
ファン同士の交流のきっかけにもなります。 |
応援広告は、広告の種類だけでなく、対象も様々です。
具体的には、国内外のアイドル・アーティスト・俳優などの芸能人ほか、アニメやゲームのキャラクター、さらには企業やブランドに至るまで、広範囲にわたって行われています。
応援広告のメリット
応援広告は、応援する側(消費者)と応援される側の双方にメリットをもたらします。
応援する側(消費者)にとっては、対象(推し)への想いを具体的に表現できるほか、広告が推しの目に留まり、反応をもらえる可能性がある点は、大きな喜びです。
また、応援広告を通して、自分が応援する対象を多くの人に知ってもらうことで、推しの成功を後押ししたり、一緒に応援する仲間を増やしたり、さらにはファン同士の絆を深める効果も期待できます。
一方、応援される側にとっては、モチベーション向上につながるだけでなく、より多くの人々に自分の存在を知ってもらう機会となるでしょう。
また、応援広告をきっかけとしたファンとの直接的なコミュニケーションを取りやすくなり、ファンとの絆を深める一助となる可能性も秘めています。
応援広告のデメリット
応援広告には様々なメリットが期待できる一方、デメリットも存在します。
応援する側(消費者)が広告を出すためには、時間、手間、また金銭面においても相応の労と準備が必要となる場合があります。
具体的には対象への許可取り、デザイン制作、資金調達、そのためのクラウドファンディング、といった内容が挙げられます。
応援される側の状況やタイミングによっては、応援広告を出されることが過剰なプレッシャーとなり得たり、批判や炎上の火種となる可能性も考慮する必要があるでしょう。
応援広告の費用
応援広告の費用相場は、以下のように、広告の種類によって大きく変わります。
広告の種類 | 費用相場 |
---|---|
街頭ビジョン広告(大型LEDビジョン広告) | 月額30万〜1000万円以上 |
交通広告 | 年間120万円〜400万円(都バスのフルラッピング広告のケース) |
アドトラック広告 | 週50万〜70万円(2tトラック) |
SNS広告(Instagram広告) | 1クリック22〜180円(クリック課金)
1000回表示380〜600円(インプレッション課金) |
カップホルダー広告 | 1日50,000~150,000円 |
どのくらいの費用をかけられるかによって、応援広告の種類は変わってきます。
個人や、少人数での負担には限界があるため、ファン同士で有志を募ったり、クラウドファンディングなどの手段を使って費用を調達するという方法がよく見受けられます。
応援広告の出し方と成功させるポイント
応援広告を出すまでのステップと、成功に必要なそれぞれのポイントは以下の通りです。
目的とターゲットの明確化
まず、「誕生日のお祝い」「デビュー記念」「作品の成功祝い」など、応援広告を出す目的を明確にしましょう。
次に、年齢層や地域など、どの範囲にまで広告のメッセージを届けたいのか、広告の対象(ターゲット)を絞り込みます。
メディアと掲載内容・掲載時期の設定
目的とターゲットが決まったら、次に広告を掲載する媒体を選びます。
駅広告、交通広告、デジタルサイネージ、SNS広告、カップホルダー広告など、様々な選択肢があります。
特徴や費用の違いを理解した上で、予算やターゲット層に合わせて最適なメディアを選択することが、応援広告の成功には不可欠です。
併せて、応援広告を出すメンバーや費用を集めたり、広告代理店を通じた広告の申し込み・広告枠の確保などを実施します。
なお、アイドルやアーティストに対して応援広告を出す場合は、所属事務所の許可を得る必要があるためご注意ください。
広告制作・掲出
メディアが決まったら、広告のデザインを作成します。
アイドルやアーティストに対して応援広告を出す場合は、所属事務所が認めている素材を使用し、規定に沿ったデザインに仕上げることが重要です。
デザインが完成したら、所属事務所の審査を受け、問題がなければ掲示となります。
大きな修正が発生する可能性もあるため、スケジュールに余裕を持って製作を進めることが、応援広告の成功には必要です。
注目の応援広告事例
注目の応援広告事例を、応援広告掲出サービスごとにピックアップしてご紹介します。
Cheering AD(株式会社ジェイアール東日本)
引用:https://cheering-ad.jeki.co.jp/
Cheering ADは、応援広告のオンライン申し込みや、所属事務所への広告掲出の許可取り・画像使用許諾代行に対応したサービスです。
日本初の「付箋広告」をはじめ、ユニークな広告形式がラインナップされており、掲出後アンケートでの満足度も「平均・星4.5」の高評価を獲得しています。
Cheering ADでは、有名男性アイドルの60歳の誕生日と日本武道館ライブを祝うため、多くのファンが「応援広告」を掲出した事例があります。
九段下駅内に設置された広告には、ライブ前後を通じて多くのファンが足を運んだほか、男性アイドル本人やバンドメンバー、さらには男性アイドルのファンを公言するタレントなど、多くの人々の目に届き、SNSなどを通じてさまざまなリアクションが得られました。
センイルJAPAN(株式会社IW)
センイルJAPANは、応援広告のオンライン申し込みに対応するサービスです。
街頭ビジョン、地下鉄・バス、LEDトラック、カフェでのカップホルダーイベント、SNSなど、様々な広告形態がラインナップされています。
多言語(日本語、韓国語、英語、中国語)に対応しているため海外広告も掲出できる点、クラウドファンディングプラットフォームが提供されている点、広告デザイン・動画制作でプロのクリエイターがサポートする点などが大きな特徴です。
センイルJAPANの事例として、福岡市博多区の大型ビジョン「博多どんたくビジョン」への掲出事例をご紹介します。
「博多どんたくビジョン」は、JR博多駅の駅前広場から地下街へ降りる階段壁面に設置され、1日数十万人もの人の目に触れる場所となっています。
こちらには、K-POPアイドルのお誕生日広告や、デビューお祝い広告などが掲出され、賑わいに華を添えています。
fanYELL next(株式会社プライマルヴェニュー)
fanYELL nextは、応援広告のオンライン申し込みや事務所への広告掲出の許可取り代行に対応するサービスです。
「池袋駅西口徒歩0分」など、都内9か所の大きなスクリーンに広告掲出できる点が大きな特徴となります。
2種類の定額料金プランが用意されるほか、広告デザインテンプレートの提供によるスピーディーな掲出(お申込みより最短5週間)を実現しています。
こちらの実績の中から、人気アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」のキャラクターである「双葉杏」と、その声を担当した声優・五十嵐裕美さんの応援広告をご紹介します。
キャラクターと声優、双方のキュートなデザインの応援広告が掲出された1週間ほどの間、アニメファン以外にも、街を行く多くの人の目を惹くこととなりました。
実在のアイドルやアーティスト以外にも、キャラクターへの応援のメッセージ、声優への熱い思いが結実した応援広告の事例です。
応援広告Support Ad(ミューカ株式会社)
応援広告Support Adは、応援広告のオンライン申し込みと、全国主要都市への広告掲出に対応するサービスです。
多様な広告形式(屋外ビジョン、デジタルサイネージ、バス停広告、駅ポスター、ストリートメディアなど)を提供するほか、プロによる広告デザイン・制作のサポートも受けられます。
また、クラウドファンディングプラットフォームも提供しています。
アイドルグループのメンバーの誕生日を記念して、池袋のMixaビジョンにて実施された応援広告を事例としてご紹介します。
ファン団体による企画で1週間掲出され、街頭で多くの人の目に触れたことで、彼女のことを知らなかった人にもその魅力が届くことになり、新規ファンの獲得にもつながりました。
応援広告WORLD(株式会社グローアップ)
引用:https://myuka.co.jp/service-%E5%BF%9C%E6%8F%B4%E5%BA%83%E5%91%8Asupport-ad
応援広告WORLDは、オンライン申し込みや、プロによる広告デザイン・制作のサポートにも対応するサービスです。
電車内ポスター、バス広告、駅の看板、デジタルサイネージなど、広告媒体の選択肢が多数用意されています。
こちらには、小劇場を盛り上げるプロジェクト「ショーゲキ!!」が、クラウドファンディングで資金を集め、都内・大阪・名古屋の駅に大型ポスター広告を掲出した事例があります。
個人やグループのアイドルやアーティストの応援ではなく、「小劇場」というカルチャーそのものを多くの人に知ってもらい、劇場に足を運んでもらう機会を増やすことを目指した応援広告の事例として、大きなインパクトをもたらしました。
応援広告を出す際の注意点とトラブル回避策
応援広告を出す際は、以下のようなポイントを踏まえることで、トラブルが回避できます。
著作権と肖像権の確認
応援広告を出稿する際には、使用する画像や動画、テキストが著作権や肖像権を侵害していないことを確認する必要があります。
もし著作権や肖像権を侵害すると、法的なトラブルに発展する可能性があり、損害賠償請求や広告の撤去命令が下されることがあります。
そのため、応援広告を出す前に、使用する素材の権利元に許可を取ることが重要です。
公序良俗に反しない内容の選定
応援広告は、差別的な表現や暴力的な内容・わいせつな表現など、公序良俗に反する内容でないことを確認する必要があります。
公序良俗に反する内容の広告は、掲出が拒否されるだけでなく、社会的な批判を受ける可能性があります。
広告掲出先のガイドラインを遵守することはもちろん、広告の内容を事前に第三者にチェックしてもらうことも良い対策方法です。
予算と期間の適切な設定
応援広告を効果的に掲出するためには、予算と期間を適切に設定することが重要です。
予算が不足すると、広告の質が低下する可能性がある一方、クラウドファンディングなどの目標金額を大きく設定しすぎると達成できない恐れも出てきます。
また、クラウドファンディングの期間、デザインの制作期間、掲出期間なども適切に設定しないと、充分な費用が集まらない・掲出に間に合わない・多くの人の目に留まらないといった結果につながる可能性があります。
予算を適切に設定するためには、掲出費用だけでなく広告制作費などの諸費用をトータルで考慮すること、また、期間を適切に設定するためには、不測の事態に備えて余裕を持ったスケジュールにすることなどが重要です。
まとめ:応援広告とは、ファン一人ひとりの情熱を形にすること
応援広告は、単なる広告にはとどまりません。
ファン一人ひとりの「推し」への熱い想いを形にして表現することで、ファン同士のコミュニティを活性化させる強力なツールです。
「推し」との関係を深め、忘れられない思い出を作るための素晴らしい機会として、今後もさまざまな形の応援広告が広がっていくことが考えられます。
弊社トランスでは、長年培ってきた推し活に関する知見とノウハウを活かし、ファンに喜ばれるマーケティング活動をご支援しています。
推し活グッズの制作をはじめとする各種サービスでサポートいたします。
推しビジネスを拡充したい方/ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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咲楽レイ
個人的に、トラックの広告には目を奪われてしまいます。
応援広告、これからもいろいろな展開が考えられそうですね。
公開日:
株式会社トランス