好きなモノに対して自分なりの愛を表現するカルチャー『推し活』。
アーティストや漫画・アニメに限らず、さまざまな分野で推し活が楽しまれています。
そんな推し活の世界を知るべく、実際に推し活に励んでいるオタクにN=1インタビューを行い、リアルな推し活の世界を紐解いていきます。
本記事の内容は、あくまで1ファンについての個人的な意見、独自の推し活スタイルです。
各コンテンツのファン一人ひとりにそれぞれの推し活スタイルが存在するということを前提に、あくまで参考にしていただければ幸いです。
目次
推し活プロフィール:推しは『2.5次元俳優』
今回インタビューしたのは、Hさん(会社員 女性)。
Hさんの推し活プロフィールをご紹介します。
推し活遍歴:ロックバンドやアイドル推しを経て『2.5次元俳優』推しに
中学、高校生時代に男性アイドルやロックバンドを推していたHさん。
大学を卒業し社会人として働き始め、仕事の疲れを癒してくれる推しの存在に改めて気づき、デビュー前の男性アイドルの推し活に熱が入りはじめます。
推しの活動拠点に引っ越してしまうほど熱が入っていたHさんの推し活ですが、推しがグループとしてデビューしたことをきっかけに、推し活に疲れてしまいます。
そんなとき、友人の付き添いで観劇することになった「2.5次元舞台」。
舞台上に気になる俳優を発見し、『2.5次元俳優』の推し活がはじまります。
しかし、推しの出演している作品とはいえ、好みでない作品の観劇も多く、再び推し活疲れに。
Hさんを2.5次元舞台の推し活に再び呼び戻したのは、とある公演で見つけた別の推し2.5次元俳優。
その俳優の「僕が出ている作品が好きじゃなかったら言ってね」という発言によりHさんは、推し活は自由に楽しむものだと気づきます。
「推し活でも好きじゃないと言っていいのか!」と、気付きを与えてくれたその俳優を人として推しはじめることになりました。
- どんな気持ちで推していますか?
- 人として尊敬しています。
どこか惹きつけられる演技をしていて、いろいろな役で楽しませてくれる人。
顔がタイプというわけではなかったのですが、だんだんかっこよく見えてきました!
Hさんは、推しの魅力的な演技や人間性の良さも含め、尊敬の気持ちがあるとのこと。
2.5次元俳優推しの中には、俳優の演技の成長を見て親のような気持ちになるオタクや、
原作の好きなキャラと俳優のイメージが合うから推す、というあくまで原作が好きなオタク、
たまたま観劇に来た公演で一目惚れしたのをきっかけに、推しのために生きるようになった愛強めのオタクなど、さまざま。
Hさんの推し俳優には、前述の俳優とは別に女性の2.5次元俳優もいるそうで、「かわいくて癒される」という気持ちで見ているそうです。
推し『2.5次元俳優』の魅力や特徴について聞いてみた
Hさんが推している2.5次元俳優、2.5次元舞台の魅力や特徴、他のコンテンツとの違いを探っていきます。
『2.5次元舞台』とは?
2.5次元舞台とは、アニメ・漫画(2次元作品)を原作とした舞台・ミュージカル作品のこと。
2次元作品を舞台作品として実写化(3次元化)することから、2.5次元と呼ばれています。
2.5次元俳優とは、主に2.5次元舞台で活躍する舞台俳優のことを差します。
演技やアクション中心の舞台作品や、歌やダンスを含むミュージカル作品、演劇の幕と、歌やダンスを披露するライブパフォーマンスの2幕に分かれた作品などがあります。
2.5次元オタクには、原作のファンが舞台化をきっかけに観劇・俳優にハマるオタク、推しの俳優を見つけて原作関係なく観劇にハマるオタクといったように、2.5次元舞台の沼への入り口が違うケースがあります。
また、脚本家・演出家のファンなどもいますが、いずれも「2.5次元舞台を見に行く」という推し活が中心となるジャンルです。
『2.5次元俳優』の魅力は?
2.5次元俳優は、演技やアクション、歌やダンスなど、さまざまな表情を見ることができます。
“役によって全く違う、推しのさまざまな表情がみられる”という点はアイドルやキャラクターの推し活と大きく異なる点といえます。
- アイドルの推し活と違うところは?
- アイドルの推し活は、会いに行くタイミングが年1回のツアー中心。
2.5次元俳優は、短いスパンでさまざまな作品に出演しています。
1か月後に推しのまったく違う姿が見られたりするので、毎回新しい魅力に出会うことができます。
新しい推しの姿を見るために、常に「死ねない」と思っています。明日への活力! - 舞台の観劇とコンサートの違いは?
- 推しの俳優を追いかけてさまざまな作品を観に行くので、さまざまなストーリーや演出をたのしめます。
作品毎にキャストが全然違います。新たに別の推しに出会うこともあります。
チェキ会やトークイベントなどで会える機会もあるので、直接会って、
「ステキな作品をみせてくれてありがとう」「見に来てくれてありがとう」
という“ありがとうのキャッチボール”ができることに幸せを感じます。
アイドルの推し活も経験したHさん。
作品ごとに異なる役を演じる推しの新しい魅力に出会える喜びが、明日への活力になっているようです。
アイドルと俳優、コンサートや舞台観劇の違いはありますが、チェキ会などのイベントで推しに会えるチャンスがある、という点は、オタクが推し活の沼にハマる共通点だといえます。
2.5次元俳優推し活でのお金の使い方①:現場
推し活をするオタクの悩みの種でもある、お金の使い方。
2.5次元俳優オタクのHさんの推し活へのお金の使い方について聞いてみました。
一ヶ月に使う推し活費は?
公演がある月とない月で変わりますが、主な使い先は、チケット、グッズ、交通費、カフェなど飲食代 が中心だそうです。
- 平均すると一ヶ月だいたいどのくらい使っていますか?
- 平均して月8万円くらいだと思います。
- 観劇のための遠征は多いですか?
- そこまで多くはありません。
移動費・宿泊費などの分をチケット代に充てて、近郊の公演に何度か見に行った方が効率的だと思うので!
ちなみに千秋楽が地方とかだったら行きたいですし、アイドルの推し活をしていたときは、ツアーに一緒についてまわっていました。
観劇に行くときの気合の入れ方
推し活で現場参戦するときには、やはりオシャレしていきたいもの。
2.5次元舞台には、コンサート幕がある作品があり、キャストが客席に降りてきてくれる、といったこともあるようです。
Hさんは、そんなときのために、推しに見つけてもらえる服装を選んでいます。
- 会場に行くときはどんな服装ですか?
- できるだけ明るい色の服を選びます。
客席が暗いので、推しが近くまで来てくれた時に気づいてもらえやすいように。
推しと一緒にチェキを撮れるイベントがある時は、事前に美容院行ったりします。
「コンサートに行くときはメンバーカラーのアイテムを身に着ける」というファンはいますが、俳優のメンバーカラーは役によって毎回変化します。
そのため、推し色の服を集めているというわけではないようです。
推し活でのお金の使い方②:グッズ
基本的に作品の公開毎にグッズが展開される2.5次元舞台。
作品ごとに毎回グッズを購入するというHさんは、どのような買い方をしているのでしょうか。
どのようなグッズを買っている?
2.5次元舞台のグッズとして定番なのが、ブロマイドやアクリルスタンドなどの肖像が映えるアイテムを始め、舞台ならではのグッズとして公演のパンフレットが販売されます。
Hさんはアクリルスタンド、パンフレットと、ランダムブロマイドを定番で購入しているとのこと。
出演者が多い、衣装違いなどの理由で、ランダムで推しが当たる確率は低いようで、10枚ほど購入して交換に出しているそうです。
また、2.5次元舞台のブロマイドの特徴として、公演の様子を撮影した「ステージ写真」が追加グッズとして販売されます。
複数の種類のランダムブロマイドを集めるのはハードな道のりですが、推しのために財布の紐が緩むのです。
- ランダムブロマイド、推しは何枚くらい集めますか?
- 持ち歩く用、飾る用、予備保管用で、3枚くらいは手元に推しがいてほしいです。
手元に推しじゃない人が残っていても仕方ないので、結局全部他のファンの方と交換して、購入した10枚分すべてが推しになることもあります。 - バッグなどロゴ系のグッズは買わない?
- バッグや、2.5次元舞台のグッズでよくあるリボンスカーフ(バッグに付けるアクセサリー)は、デザインが気に入って普段使いできそうだったら買う可能性もあります。
作品ロゴのグッズは、その日は使えますが、別の作品を観に行くときには持っていきたくないんです。
出演者も演出脚本も違うので、作品へのリスペクトを込めて、別現場へは持ち込まないようにしています。
2.5次元推し活の特徴:原作のグッズも持っている
2.5次元推し活の特徴として、2.5次元俳優のグッズだけでなく、“原作アニメ”のグッズも持っているということ。
特に、原作を入り口として2.5次元俳優を推し始めた人に多い傾向で、俳優のアクリルスタンドと、推しが演じるアニメキャラのぬいぐるみを一緒に持ち歩くのがカワイイのだそうです。
Hさんは初めから俳優推しですが、気に入った作品や、推しが演じたキャラのぬいぐるみのデザインが気に入ったら買うこともあるとのこと。
2.5次元俳優推し活の悩みと欲しいグッズ
オタクの誰もが持っている推し活の悩み。
2.5次元俳優の推しであるHさんの推し活の悩みをきいてみました。
また、2.5次元俳優のグッズとして「あったらいいな」というグッズのアイデアも考えてくれました。
2.5次元俳優推し活の悩み
- 推し活の悩みは?
- 2.5次元舞台では、カレンダーを3~5冊など一定数購入するとチェキ会に参加できるというまとめ買い特典のイベントがあることも。
カレンダーを数冊購入するため、同じものが家に何冊もある、しかも推しが写っているから過去のカレンダーも捨てるわけにもいかず、溜まっていってしまいます。
別の2.5次元俳優を推している推し活友達と交換し推しの良さを布教し合うこともありますが、本音では(推し以外を持っていても…)と思ってしまうことも…。
もちろん新しい推しが見つかる機会でもあります!
あったらいいな と思う2.5次元俳優のグッズ
アクスタに続くNEXT推し活アイテムが出てこないかなと思っています。
あとは、役に扮したグッズではなく、俳優本人のグッズもあったらいいなと思います。
オシャレなデザインで普段使いできるようなものなら、どの作品を観に行くときでも使えます。
俳優個人のロゴ、あまりないですよね?あったら欲しいです!
あとは、ブロマイドを手に持って会場の外で撮影することが多いので、ブロマイド関連のグッズや、かわいく撮影できるグッズが欲しいです。
まとめ::2.5次元俳優推し Hさんの推し活
最後に、2.5次元俳優を推すHさんの、一人のオタクとしての推し活スタイルをまとめます。
- 2.5次元俳優の推し活の魅力は、推しのさまざまな面が見られて年中楽しめること
- ランダムブロマイドで推しを集めるのは過酷だが、推し以外を持っているくらいなら推しを集めたい
- 「新しい魅力に出会わせてくれる」「生活を豊かにしてくれる」「すてきな作品をありがとう」
といったように、推しからの供給を受ける姿勢
Hさんのコメントから、“推しからの供給を受ける”姿勢が見られました。
前回インタビューしたUさんは“かわいがって応援する”タイプでした。
また、Hさんは推し活に疲れてしまった、「好きじゃないと思ってもいい」と気付いた、という経験をしています。
オタクにはオタクの、それぞれの推し活スタイルがあることがよくわかりました。
筆者が選ぶ『オタクの名言』
『常に「死ねない」と思っている。推しは明日への活力。』
さまざまな役で新しい魅力を見せてくれる2.5次元俳優のオタクならではの言葉。
まだ見ぬ推しの姿を見るために生きるという、オタクにとっての推しの必要性が感じられる一言です。
さて、今回は『2.5次元舞台・2.5次元俳優』というジャンルで推し活をしているたくさんのファンの中の、1人のオタクから貴重な意見を聞くことができました。
すべての人に当てはまるわけではありませんが、実際のファンの声を聴くことで企画に活かせるヒントがあるでしょう。
グッズ企画や、新たなグッズのアイデアなど、是非トランス営業担当までご相談ください。
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株式会社トランス社員。「メンバーカラーが毎回違う」「衣装違いやステージ写真の追加販売などのブロマイドが多い」など、他の推し活とは違うハードルが見え、2.5次元推し活に全力を注いでいるオタクはオタクの素質がある方々なのか…と思いました。
Hさん「俳優さんの推し活はお金がかかります~!」