好きなモノに対して自分なりの愛を表現するカルチャー『推し活』。
アーティストやキャラクター、漫画・アニメやクリエイターに限らず、さまざまな分野で推し活が楽しまれています。
そんな推し活の世界を知るべく、実際に推し活に励んでいるオタクにN=1インタビューを行い、リアルな推し活の世界を紐解いていきます。
本記事の内容は、あくまで1ファンについての個人的な意見、独自の推し活スタイルです。
各コンテンツのファン一人ひとりにそれぞれの推し活スタイルが存在するということを前提に、あくまで参考にしていただければ幸いです。
目次
推し活プロフィール:推しは『歌い手』
今回インタビューしたのは、Uさん(会社員 女性)。
Uさんの推し活プロフィールをご紹介します。
推し活歴は?
推し活歴は14年。
初めて『推し』と呼べる存在に出会ったのは小学5年生だったそう。
あなたの推しは?
最も熱く推し活しているのは『歌い手』。
中でも特に推している歌い手は、男性4人組グループです。
その他、アニメ・漫画や、日本人男性アイドルグループ、ゲームアニメ、2.5次元舞台なども推しの対象だそうです。
推し活がはじまったきっかけは?
Uさんが推しに出会ったのは、小学5年生当時大人気だった男性アイドルグループ。
大人気だったことや、コンサートの頻度も少ないことから、なかなか会いに行けずでしたが、それを機にその他の新人グループも推すようになりはじめました。
中学生の時に、同級生たちの間で流行したのが動画配信サービスの視聴。
配信ライブや歌ってみた・踊ってみた動画、ボーカロイドなどが流行りはじめた中、Uさんは“歌ってみた動画”を配信する『歌い手』に出会い、その魅力の沼にハマりはじめます。
推し『歌い手』の魅力や特徴について聞いてみた
Uさんが推している『歌い手』というジャンルについて、その魅力やファンの特徴、他のコンテンツとの違いを探っていきます。
『歌い手』とは?
動画配信サイト、配信ライブを主な活動場所とし、既存の楽曲や、機械音声であるボーカロイドの楽曲をカバーした「歌ってみた」動画を投稿している方々のことを歌い手と呼びます。
ですが、人気のある歌い手は、オリジナル楽曲のリリースやCDデビュー、ライブツアーを開催する方などもおり、歌い手と歌手の間に職業としての明確な境目はあまりないようです。
顔出しアリ、顔出しナシ、ネット上ではイラストでリアルライブでは本人が出演、など、活動の形もさまざまです。
Uさんの推しは、MV配信時はイラスト、ライブツアーの際には本人が登場します。
歌い手の魅力は?
Uさん曰く、歌い手の魅力は「応援したくなること」。
動画配信では、ミスしているシーンや、歌唱力の成長などを見ることができ、頑張っている姿が伝わってくるようです。
「TVでみる人気アイドルのような完璧さとはまたちがう良さがある」とのこと。
Q.応援したくなる気持ちとは?
A.もちろん歌もうまいし練習しているのはわかる、その頑張っている姿がかわいいので見守っています。
Q.「カッコイイ」よりも「かわいい」気持ち?
A.かわいい。守ってあげたい。私の場合、イケメンには飽きが来てしまうタイプなので、「カッコイイ」で推すことは少ないです。
Q.歌い手のファンはそのような「応援」の気持ちで推している人が多いのですか?
A.推しているメンバーによって、ついているファンの傾向も違います。推しを崇めているオタクや、ガチ恋しているオタク、母性があふれてしまうオタクなど。
他のコンテンツにはない歌い手の良さは?
歌い手界は歌い手同士のコミュニティが近く、「家族」「仲間」のような関係性があり、コラボ企画なども多い世界。
推しを追っていると、他のさまざまな歌い手も見られるし、推しに会いに行くために、コラボ相手のライブに行くこともあるそうです。
また、ハイタッチ会や、サイン入りグッズの抽選の機会も多く、ファンとの距離が近いことも魅力のひとつです。
歌い手推し活でのお金の使い方①:ライブ参戦、遠征
推し活に励むオタクを悩ませる、お金の使い方について聞いてみました。
この章では、社会人4年目の会社員であるオタク・Uさんが、推し活にどのくらいお金をかけているか、掘り下げます。
一ヶ月に使う推し活費は?
ライブが多い月、遠征が多い月、グッズやCDの販売がある月とない月など、ムラがあるようです。
「一体いくら使っているんだろう、、、?」とUさん本人も、消えていくお金に戸惑いを隠せない様子。
Q.平均すると一ヶ月だいたいどのくらい使っていると思いますか?
A.遠征費、グッズ費、チケット費など含めて、平均して月8万円くらい?
ライブ(現場)、遠征について
学生時代は授業やアルバイトがあったため、関東近辺中心の会場にたまに行ける程度だったが、社会人になってからは土日祝が休みに。
「行けるときに行けるとこまで行く。平日は仕事、土日は遠征。といった生活です。」
Q.1ツアーにつき、何公演くらい現場参戦していますか?
A.ツアーの半分くらいは行くようにしています。本当は全通(全日程に通うこと)したい!
Q.なぜそんなにたくさんの公演に?
A.ただただ自己満足です。たくさん会いに行くのが楽しい。
Q.現場でのUさんはどんな感じですか?
A.服もグッズも完璧に仕上げて、戦闘服を着ている気分。もう、無敵状態。むしろ仕事の時がオフの自分。推しを推している自分が好き。
Uさんは服を着飾り、たくさんのグッズを身に着けて現場に行くことで、推しへの愛を表現しているようです。
完璧な装備でいることによって、他のオタクより強い自分になれることを「無敵」と表現してくれました。
仕事は推しに会いに行くための準備時間、本当の自分は現場に行ったときの自分。
推しに会いにいくために完璧な自分を仕上げることを、とても楽しんでいます。
歌い手推し活でのお金の使い方②:グッズの買い方
続いてはグッズの買い方について深堀していきます。
どのようなグッズを、どのような集め方をしているのか、Uさん流の買い方を聞いてみま
どのようなグッズを買っている?
推し活では、グッズを全種類買う人、グッズを集めない派の人、同じものをたくさん集めたい人など、グッズへの向き合い方は人それぞれ。
Uさんが主に集めているグッズは、“推しのビジュアルが写っているもの”。
かわいがっている推しの存在を近くに感じられる、ビジュアル入りグッズを中心に購入しているそうです。
Uさんの推しは、リアルと2Dイラストの2つの顔を持っており、実写のビジュアルが写っているグッズ、キャラクタービジュアルが写っているグッズは両方とも購入対象。
キャラクターイラストにおいては、等身イラストに加え、デフォルメイラストもあるので、それも購入対象。/p>
アイテムについては、アクリルスタンド、ぬいぐるみ、缶バッジなどを中心に購入しているとのこと。
基本的には推しメンバーのアクリルスタンドを「保存用」「観賞用」「持ち歩く用」の3つを購入。
その時のライブ衣装やビジュアルが気に入った時は、他メンバー全員分のグッズも購入しています。
普段ランダム缶バッジは数個しか買わないというUさんですが、とあるライブの時に缶バッジデザインが気に入り、55個購入し17種コンプリートしたこともあったそうです。
ちなみに、推しをかわいがっているUさんにとって、ぬいぐるみグッズは、
「かわいい。とてもいい。」とのことです。
また、ライブ会場で使うリングライトもたくさん買ってたくさん装備しているそう。
Q.たくさん買ったグッズはどうするのですか?
A.買って満足しているところはあります。おでかけに連れていくものもあるが、基本収納ボックスにしまってあります。缶バッジ集めて“痛バッグ”を作ったこともあります。
Q.リングライトをたくさん買う理由は?
A.マウント。過去グッズのリングライトも持参します。他のオタクに負けたくないし、古参(ファン歴が長いオタク)アピールしたい。
ちなみに、ロゴ系や、動物モチーフキャラクターのグッズは、本人のビジュアルが写っていないので、買うことは少ないそう。
グッズはライブ毎にいくら分買っている?
A.ツアー毎に1万円くらい買っています。1万円以上購入するとハイタッチ券とかもらえたりするので。
Uさんの推しグループでは、グッズを買うと、一定金額以上購入すると抽選に参加できるノベルティや、ランダム缶バッジがくじになっているなどのシステムがあります。
特典として、サイン入りグッズやハイタッチ会、楽屋招待などの特別が当たるチャンスがあります。
グッズを買うと推しと会えるチャンスがある、というグッズを買いたくなるシステムが導入されています。
どんなグッズがほしい?
Uさんはとにかく“推しのビジュアルが良いモノ”が欲しいタイプ。
アクリルスタンドや缶バッジなど、推しのビジュアルが映えるグッズを狙っています。
Q.アクスタポーチやカードホルダーなど、”推し活サポートアイテム”の販売があったら欲しい?
A.ポーチ、ホルダー系は、みんな他で買ったかわいいものを持っています。
公式で売っているとしたら、1個買えば満足できるが、「ツアー開催記念」や「限定品」のような言い方されていたら買ってしまうかも…。
推し活の悩みは?
平日は仕事をしながら土日は現場に行っているUさん。
推し活の悩みを聞いてみました。
A.仕事との両立がきつい。休日は遠征していることも多いので、最後にゆっくり過ごした日がいつだったかわからない、という感じです。
本当は、推し友と集まって、鑑賞会だったり、推しの誕生日会だったりやりたいですが、現場優先。推しに会いに行くことを優先しています。
グッズの収納場所にも困っています。たまに周囲の人に配って推しの良さを布教する活動をすることもあります。
Uさんの家では、テレビ台の前は推しのアクスタであふれかえり、缶バッジでいっぱいのアタッシュケースが眠っているといいます。
まとめ:歌い手推し Uさんの推し活
最後に、歌い手を推すUさんの、一人のオタクとしての推し活スタイルをまとめます。
- しをかわいがって応援するタイプのオタク
- ロゴ系よりも、とにかく推しのビジュアルが良いグッズが欲しい。ぬいぐるみはカワイイからとても良い。
- 完璧に仕上げて現場に行くのが楽しくて好き。推しを推している自分が好き。
Uさんは推しをかわいがって応援するタイプ。
他にも、「憧れ」「恋愛」「崇拝」「母性・父性」といった推しスタイルがありますし、人それぞれ推し方の違いがあり、メンバーそれぞれに違った魅力があるのです。
筆者が選ぶ『オタクの名言』
『推しを推している自分が好き』
この言葉を聞き、本当に夢中になって楽しめるものがあることは素晴らしいと感じました。
推し活が令和の一大カルチャーとして定着しているのは、推し活には人々の自己肯定感を高めていることが大きな理由のひとつだと言えるでしょう。
さて、今回は、『歌い手』というジャンルを推しているたくさんのファンたちの中の、一人のオタクの貴重な意見を聞くことができました。
推し活中の人全員に当てはまるわけではありませんが、いちファンのリアルな声を、ファンが喜ぶ企画に活かしていきましょう。
コラム【推し活事情を学ぶ】シリーズ
推し活事情を学ぶ①推し活って何するの?編
推し活事情を学ぶ②アイドルグッズ考察
推し活事情を学ぶ③今どきアクスタ事情
推し活を学ぶ⑤オタクの女子会近況編|ホテルの推し活宿泊プラン
推し活事情を学ぶ⑥推し活定番「ぬいぐるみ収納ポーチ」|小さき命「推しぬい」とオタク
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推し活事情を学ぶ⑦推しを守るグッズ集|進化系アクスタ収納アイテム
推し活事情を学ぶ⑧最新痛バッグ|今どき推し活は「“痛くない”痛バッグ」
推し活事情を学ぶ⑨推しキーホルダー研究|カスタマイズして作る推しグッズ
推し活事情を学ぶ⑩フラッグ・硬質ケース・バルーンフラワー|イマドキ推し活「新・三種の神器」
推し活事情を学ぶ⑪作中登場・アイテム再現グッズ|大人オタクに刺さる「ごっこ遊び」グッズ
推し活事情を学ぶ⑫推しピクニック(ヲタピク)|仲間と楽しむアウトドア推し活
推し活事情を学ぶ⑬推し活写真(フォト)|ぬい撮り・アクスタ撮影の基本
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推し活事情を学ぶ⑮【推し活インタビュー】オタクに推し活状況を聞いてみた『歌い手編』
推し活事情を学ぶ⑯本人不在の誕生日会(生誕祭)|お店や自宅で推しの生誕をお祝い♪
【推し活インタビュー】推し活事情を学ぶ⑰オタクに推し活状況を聞いてみた『2.5次元舞台編』
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セウヘイ
株式会社トランス社員。インタビュー回第一弾、初回から名言がでたので、筆者が選ぶ『オタクの名言』コーナーを作らざるを得ませんでした。次回インタビューするオタクにプレッシャーがかかります。