日ごろ推し活とは縁がない業界が、プロモーションなどに推し活を取り入れて話題になっています。
エンタメ業界に限らず、さまざまな業界においても、推し活がビジネスの新しい扉を開く鍵となっているようです。
実際の例を紹介しながら、推し活がもたらすビジネスの可能性について考察します。
目次
エンタメ業界に留まらない!拡張する推し活ビジネス
アイドルやアーティスト、俳優、アニメやゲーム、マンガや小説のキャラクターなど、「推し活」をビジネスとして牽引するのは音楽・エンタメ・出版業界が中心です。
ところが近年、こうした業界とは異なるところから、「推し活」に勤しむファンたちに受け入れられる効果的なビジネスモデルが見受けられるようになりました。
この記事では、これらの事例を紹介しながら、「推し活」がどのようにビジネスに組み入れられ、企業側とファンの双方にどのような結果をもたらしているのかを考察します。
さまざまなジャンルで目にする「推し活」要素
推しの対象となる人物やキャラクターを、プロモーションに使用して商品やサービスの訴求を図る方法など、これまでも推し活を取り入れたビジネスは盛り上がりを見せてきました。
これから紹介する事例では、このように「プロモーションタレントとして推し要員を活用する」という方法からさらに幅を広げ、推し活をするファンの心理をつかみ、ビジネスそのものに取り込んでいます。
さっそくご紹介します。
推し活×ビジネスの事例
引用:https://nudge.cards/service
Nudge 推しを応援できるクレジットカード
巨大な資本を持つ大企業が圧倒的に優位なクレジットカード業界。
主な顧客をある程度の資産を持つ層と想定し、金融機関から働きかけることで顧客を獲得してきました。
ところがZ世代をはじめとする若年層には、「使いすぎが怖い」「仕組みがわかりにくい」などの理由で抵抗感が強く、キャッシュレス決済の手段としてはなかなか「クレジットカード」が浸透しませんでした。
この状態に風穴を開けたのが、2020年創業のスタートアップ企業Nudge(ナッジ)の「推しを応援できるクレジットカード ナッジカード」です。
クレジットカードの提携先に、よくある百貨店や航空会社といった大企業に代わり、アーティストやアイドル、スポーツ選手などを選んでカードを作ることができます。
クレジットカード会社が加盟店から受け取る手数料の一部は、提携先にも支払われるため、このカードを使うことで、推しのアーティストやアイドルに手数料の一部を届けられるのです。
自分の買い物が、推しの収益につながる。ファンにとって新しい応援の仕方です。
お金の管理が心配、という若年層にとっての懸念点は、口座引き落としに加えて「返済のタイミングを自分で選択できる」というスタイルを取り入れることで払拭しました。
投げ銭のような直接的な支援に加えて、日々の暮らしの中で推しを支援できる新たなサポートのスタイルが、斬新さをもってZ世代に受け入れられました。
航空系カードを使うとマイルが貯まるように、ナッジカードを使うことで、アーティストやアイドルの特典をもらえることも魅力です。
推しの秘蔵ショットや着ボイス、オリジナルメッセージが届けられるなど、推し活をするファンにとって複数のメリットがあり、数ある中からこのカードを選ぶ理由となっています。
ギンビス たべっ子どうぶつ
1978年の発売以来、ロングセラーを続けるビスケット「たべっ子どうぶつ」を、「推しの対象」に育てて成功したのは、お菓子メーカーのギンビスです。
「たべっ子どうぶつ」は、40年以上にわたり、子どもとその親世代に親しまれてきた自社の看板商品です。
ここへ10代~20代といった若年層を取り込むために、推し活を活用しました。
2019年、パッケージに描かれた動物たちのイラストをカプセルトイにしたところ、大ヒット!
「ぞうさん推し」「らいおんさん命」といった声とともに、「どこで手に入るのか」という問い合わせが殺到しました。
そこで、たべっ子どうぶつのグッズやカフェなどをライセンス事業として展開したところ、子育て世代に限らない、10代~30代といった若年層にまでリーチすることができました。
パッケージのカラフルな動物たちのイラストをそのまま生かしたことで、推し活における「推し色」文化に見事にはまった一例と言えそうです。
JR東海 推し旅
引用:https://recommend.jr-central.co.jp/oshi-tabi/
対象人数は限られるが、関わり方は非常に深い。
そんなコンテンツを、ツアー商品として販売しているのがJR東海の「推し旅」です。
多くの顧客数を集められるような企画ではないものの、刺さる人には強烈に深く刺さる、そんなツアー内容を「推し旅」として企画・運営しています。
戦国時代以来、荒廃が進んでいた境内の復興に向け、コケや木を植えたりできる京都の安祥寺の「復興特別体験」、東京目黒にある寄生虫博物館を閉館後に訪れ、非公開エリアも特別に見学できる「寄生虫講座付き目黒寄生虫館時間外貸し切り」といった、その筋のマニアにはたまらない企画が、各ジャンルで推し活に勤しむファンたちの旅情をかきたてています。
推し旅の名にふさわしい内容を盛り込んでいるだけに催行人数にも制限が設けられていますが、人気の企画には応募が殺到し、抽選になることもしばしば。
目黒寄生虫館の推し旅については、抽選倍率が34倍となり、再販を求める声の高まりに応えて第2弾が企画されるなど、好評を博しています。
狙い通り、刺さる人には深々と刺さった結果、リピーター化に成功している一例です。
ネコノート 猫が助かる推し猫ファンクラブ
猫は飼えないけど、猫のために何かしたい…。
そんな猫好きの切なる思いのために開発されたサービスが、「推し猫ファンクラブ ネコノート」です。
ネコノートに登録されている保護猫たちを「推し」の対象とし、ユーザーは推し猫のライブチャットを楽しんだり、おやつ券を購入したりして推し活を楽しみます。
推しの猫を支えると同時に、月会費を払うことで保護猫団体そのものを支え、新たな家族探しも手助けできるという仕組みです。
猫好きは、特定の猫だけでなくすべての猫をあまねく愛する傾向にあることから、特定の推しを応援しながらも猫全体のためになることをしている、という安心感が猫好きたちの心をとらえています。
保護団体も、猫を愛するユーザーも、もちろん猫たちにとっても、尊い推し活となっています。
ビジネスに新風を吹き込む推し活ビジネス
これらの事例をもとに、推し活×ビジネスの新たなスタイルを考察します。
ターゲットを絞り込まず、推しを支えたいファン心理に応える
企業が、アイドルやキャラクターなどを、商品やサービスのプロモーションのために起用することは、言うなればプッシュ型のコミュニケーションです。
ターゲット層を設定し、その層に人気の推しを選定し、商品やサービスの魅力を伝えるために推しの魅力を発揮してもらいます。
ファンは、推しの魅力見たさに商品やサービスを購入します。
今話題の推し活ビジネスにおいては、推しの魅力があることで成立する点は共通ですが、直接的な商品やサービスの購入に加え、推しを支えたい、もっと知りたい、関わりたいといったファンの心理に応える形のコミュニケーションが多く見受けられます。
自社ビジネスと、推し活ファンのニーズが合致
推し活におけるファンの心理、推しを金銭的に支えることにも喜びを感じるという部分を、うまく自社ビジネスに取り入れることが肝要です。
企業側が推し活を取り入れてビジネスを展開したことで、推しの魅力によって呼び込まれたユーザーが、顧客としてサービスを享受すると同時にいっそう推しを身近に感じて幸せになっているという構図がみえてきます。
まとめ:推し活が突破するビジネスの壁
推し活をいかして、ビジネスに新たな風を呼び起こすためのポイントをまとめました。
- 「推し」の力で、リーチできなかった層へのアプローチが可能に
- 狙って売り込むのではなく、推しを使って「呼び込む」方法で、思いがけないターゲットとつながる可能性
トランスでは、推し活に欠かせないオリジナルグッズの製作はもちろん、プロモーション施策のご提案やターゲットに刺さる効果的なキャンペーン展開方法まで、幅広くお手伝いいたします。
こんなオリジナルグッズを作りたい、こんなターゲットに届けたい、といったご要望をどうぞお聞かせください。
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