最近、ネット上で毎日なにかしらのニュースやコラムが更新される音声SNS「clubhouse」。日本では“クラブハウス”“クラハ”などとも呼ばれています。アメリカ発のこのアプリ。リリースは2020年ですが、2021年の1月末から日本国内で急激にユーザーが増え、それが話題となりさらにユーザー数が増え続けているようです。
使い方はよくわからないけど誘われたから、流行りに乗り遅れたくないから、などの理由で
とりあえず始めてみた、アカウントは持っている、という人も多いのではないでしょうか?
YouTuber、タレント、企業経営者などの著名人らもclubhouseを使いはじめて話題に上っていますが、結局clubhouseってどんなもので、何ができるものなのか?
clubhouseを1週間ほど使ってみた筆者の雑感とともに、ポイントを解説していきます。
(この記事は2021年2月15日時点での情報です)
「clubhouse(クラブハウス)」とは
どんなふうにclubhouseを使っているのか
そんなclubhouseを、ユーザーはどのように使っているのか、先述の3種類の傾向ごとに紹介していきます。
●フォローしあっている人同士の雑談
同業や趣味の関係性を広げたり深めたりする、最もSNSらしい使い方ともいえます。対面での飲み会が開きにくい昨今、一時期流行した「zoom飲み」よりももっと気軽で、参加しやすいようです。
特に約束などはせず、ログインしたタイミングで知っている誰かがしゃべっている場にふらりと顔を出し、ふらりと退出できる気軽さは「クラブハウス」の名の通り、いきつけの飲み屋やバーのような雰囲気を醸し出しています。
Twitter、Instagram、Facebook、LinkedInのような既存SNSでは交流の広がりに限界を感じている人ほど、clubhouseのSNSとしての新しさや有用性を感じているかもしれません。
●フォロワーのフォロワーなどでつながる同業や趣味の交流
雑談よりもう少しトークテーマを明確にし、業界内の意見交換や業種間交流を開催するトークルームも多く見られます。ビジネスライクではない本音が聴けるヒアリングの場として、クリエイター同士の交流など、こちらも、昨今の対面で交流が難しい状況では開催しにくくなった業界懇親会や異業種交流会などの代わりとして活用されている使い方です。
この使い方をしている人には、ゆくゆくはclubhouseをマーケティングなどに活用できないかを考えている人も多いでしょう。ビジネス交流ツールとしてclubhouseを使っている人にとっては、アカウントのプロフィールは名刺代わりともいえます。職業、業種、領域、肩書、差支えなければ社名やポジションなどを簡潔にプロフィールに記載しておくと、後々意外なつながりができることもあります。
●フォロワーに対する番組配信
タレントやユーチューバー、政治家などの著名人による対談なども盛んです。著名人のアカウントはフォロワー数も非常に多く、トークルームを開けばその視聴者数の多さがわかります。
トーク内容はさまざまで、アーティストや芸能人同士のオフな雑談から、パネルディスカッション、中には一般ユーザーからの質問に答えるお悩み相談室など、発展型ラジオのようなコンテンツを仕掛けるルームも見られます。そういった著名人のトークはほとんどの場合、会話するのはモデレーターのみで、だれでもその会話に参加できるわけではありません。しかし、編集の一切ない生放送ラジオでのぶっちゃけトークや、意外な人物同士のつながりが判明したり、途中から予定外の著名人ゲストが急に登場したりと、著名人のアカウントならではの聴き専コンテンツとして楽しめます。ラジオのようにリモートワークのお供に聴いたり、寝る前に流し聴きしたりするのを楽しむ人も多いようです。
アーティストや芸能人など影響力のあるアカウントと連携してマーケティングをするケースも今後増えていくのではないでしょうか。さらに、clubhouseの特性である「録音・書き起こしNG」を逆手にとって「今ここでしか聴けない」という一期一会のレア感を強めて集客できるのも、大きなポイントになるかもしれません。
clubhouseのこれから
1月末から急速に広がった日本でのclubhouseブーム。その裏には、コロナ禍の収束の見通しが立たない状況の中で、より気軽に、より多くの人とのつながりを持ちたいという意識が影響していると筆者は考えます。
文字でも写真でも動画でもなく「音声のみ」「リアルタイム」発信のSNSが、今こうして脚光を浴びたのは、単なるブームだけではなく、文字や写真、動画では訴求しにくかったものが活かせる部分もあるからだと感じます。
●マーケティングでclubhouseは使えるのか
ビジネスマーケティングへの活用は始まっており、clubhouseの持つビジネス活用ポテンシャルには各業界から注目が集まっています。
これまでもSNSを活用したマーケティングで数々の実績を出している、国内産地直送ECサイト「食べチョク」も早速clubhouseを活用しています。Clubhouse上では、食材や生産者のファンを増やす狙いで、運営会社スタッフによって食材や生産者についての情報を毎日配信しています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000096.000025043.html
●Twitter、Facebookも音声チャットツールを開発中
「clubhouse」の反響を受ける形で、既存のSNSでも音声チャットツールの開発・リリースがされはじめています。
すでに音声録音ツイート機能をiOSアプリ版で実装しているTwitterは、2020年12月より「Spaces(スペース)」という音声チャットルームのテスト段階に入っています。現在では無作為に選ばれた一部のTwitterユーザーアカウントでテスト利用が開始されています。
https://japan.cnet.com/article/35166096/
Facebookもまた、音声チャット機能を開発中のようです。
https://japanese.engadget.com/facebook-clubhouse-clone-041002868.html
これらの既存のSNSプラットフォームの動きからも、音声チャットそのものが新しいコミュニケーションツールとして各業界からも期待されていることがわかります。
1週間ほど使ってみた筆者の場合は、趣味つながりの知人に招待してもらい、同業者や知人のアカウントを見つけてフォローしていくことで、数珠つなぎ的にフォロー・フォロワーを少しずつ増やしました。
フォローしている人が参加しているトークルームが、タイムライン上に表示されるようになるので、知っている人が参加しているトークルームを見つけて顔を出しては、夜な夜な雑談をする、という使い方をしています。
数年ぶりに会話をした知人、知り合ってからはじめて長々と会話ができた古い知人、clubhouseで初めてつながりTwitterの相互フォロワーになった人もいます。
顔の見えないオンライン飲み会や業界懇親会といった印象で、対面での交流が難しい今の世情に受け入れられやすかったのではないかと思います。
同時に、マーケティングツールとしてどのくらい活用できるかは、多くの方が模索中の段階かと思います。
これは筆者が実際に利用して感じたことですが、clubhouseを使って聴く人を増やし、何かを宣伝したいなら、そのトークルームでの明確なコンセプトを持ち、ある程度のトーク力や話の進行役は不可欠にも思えました。
Clubhouseをはじめ、音声チャットや音声SNSの活用が広がってくるであろう今後に向けて、まずはclubhouse上でさまざまなトークルームに耳を傾けてみてほしいです。
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Clubhouseとは、アプリ内でさまざまなトークルームに入って、会話をしたり、会話を聴いたりする、音声のみのSNSです。
基本的な4つの特徴が挙げられます。
●発信方法は音声のみ
●現在は招待がないと利用できない
●現在使えるのはiPhone、iPadなどiOSのみ
●トークルームの音声は記録に残らない
スマホの電話番号やメールアドレスを使ってアカウントを作成し、友人知人など電話番号やメールアドレスを知っていて、すでにアカウントを利用している人からの招待を受けると利用が開始できます。
アカウントはTwitterやInstagramと同じようにフォロー・フォロワーの関係でコミュニティを繋げていきます。
トークルームは、ルームを立ち上げた人(モデレーター)によって、フォロワー内限定・全体公開など公開範囲を設定できます。
聴きに来た人がその会話に混ざりたい場合は、「ハンズアップ」し、そのルームのモデレーターが許可すれば、「スピーカー」として会話に参加することができます。
他チャットツールで見られるような文字チャット機能などはなく、トーク履歴などのログも残りません。それゆえ、許可なく他者のトークの内容を録音したり書き起こしたりして公開する行為は、コミュニティーガイドラインで禁止されています。
上記のような特性から、今clubhouse内で見られる主な使われ方は
●フォローしあっている人同士の雑談
●フォロワーのフォロワーなどでつながる同業や趣味の交流
●フォロワーに対するラジオのような配信
の3種類の傾向が見られます。