ノベルティやグッズの作製といえば、企業ロゴなどの「名入れ」を思い浮かべる方が多いはず。
アイテムを選び、デザインを入稿するだけで、手軽にオリジナルグッズが出来上がります。
ただし、一口に名入れと言っても意外と奥が深く、印刷方法ごとの特色や、素材・アイテムとの相性などを考慮しなかった場合、「期待した仕上がりと違う」という事態になりかねません。
そこで今回は、ノベルティ・グッズ作製の担当者なら押さえておきたい、名入れ・印刷方法の基礎知識をご紹介します。
さまざまな表現を可能にする、代表的な印刷方法を7つピックアップ。仕上がりの特徴はもちろん、おすすめの素材やアイテムについても詳しく解説しました。
名入れノベルティ・オリジナルグッズを思い通りに仕上げたい方はもちろん、短時間で印刷方法の基礎を押さえたい方も、ぜひ参考にしてみてください。
覚えておきたい名入れ・印刷方法7選
ここからは、ノベルティやオリジナルグッズを作製する際に覚えておきたい、名入れ・印刷方法を7つご紹介します。
それぞれの印刷方法に魅力的な特徴があり、得意な表現も異なるため、オリジナルグッズをイメージ通りに仕上げたい方は要チェックです。
また、印刷方法と素材・アイテムの相性についても解説しましたので、オリジナルグッズにぴったりの印刷方法を見つける参考にしてみてください。
なお、こちらで紹介する印刷方法と素材・アイテムの相性は、あくまでも代表的な例です。デザインや条件によっては、ほかの印刷方法のほうが適している場合もありますので、実際にグッズを作製する際は、相談しながら進めてください。
シルクスクリーン印刷
【シルクスクリーン印刷のイメージ】
1色ごとに版を起こし、インクを直接刷り込む、もっともポピュラーな印刷方法のひとつです。
単色ロゴなど、色数の少ないデザインを、はっきりと美しく印刷できるのが特徴。バッグやTシャツをはじめ、広い範囲への印刷を得意としています。また、印刷面の堅牢度が高く、耐久性に優れているのに加えて、布やプラスチック、紙など、幅広い素材に印刷できることから、ポーチ、雑貨、小物類など、身の回りの多くの物に採用されている印刷方法でもあります。
版ごとに色が決まっているため、ぼかしやグラデーションの表現にはあまり向きませんが、版の追加で、色数を増やすことは可能。単色デザインだけでなく、メリハリの利いた、2色~3色デザインにもぴったりです。
さらに、特殊インクとの組み合わせで、多彩な表現が楽しめるのもシルクスクリーン印刷ならではのメリット。
キラキラ輝くグリッタープリント、ヴィンテージ風のひび割れ加工、立体感のある発泡プリントなど、目指すデザインに合った特殊インク・加工を選べば、オリジナルグッズの仕上がりが手軽にワンランクアップします。
他にもさまざまな表現が可能なので、特殊インクを使用したシルク印刷にご興味をお持ちの方は、こちらからチェックしてみてください。
●シルクスクリーン印刷が適しているアイテム
・バッグ、Tシャツ等
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パッド印刷(タンポ印刷)
【パッド印刷(タンポ印刷)のイメージ】
シリコンゴム製のパッドにインクを載せ、スタンプのように押し付けて印刷する方式です。
弾力性のあるシリコンゴムが、曲面にもぴったりとフィット。繊細な文字やデザインをきれいに表現できるため、ボールペン、キーホルダー、マグカップなど、印刷面が狭く曲面がある商品への印刷に適しています。
小さい商品への印刷が得意な反面、広い範囲への印刷はムラになりやすいという特徴も。
ベタ塗りが必要なデザインの場合は、印刷範囲を確認しながら、きれいに塗りつぶせるかどうかを見定める必要がありそうです。
また、スタンプのように押し付けて印刷する仕組みのため、使える色は1色のみ。グラデーションや色の濃度を黒50%とするような中間色の表現はできないことも覚えておきましょう。例えばグレーで印刷したい場合には濃度ではなく、グレーの色指定で1色となります。
●パッド印刷(タンポ印刷)が適しているアイテム
・ボールペン、マグカップ等
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素押し・箔押し
【素押し・箔押しのイメージ】
熱と圧力によって、金・銀の色箔を転写する印刷方法を「箔押し」、凹みを付けることを「素押し」と呼びます。どちらも素材の風合いをそのまま活かした、上品で高級感のある仕上がりが特徴。ブックカバーや手帳、メモ帳のほか、名刺入れ、ポーチなど、ラグジュアリーさを表現したいステーショナリー・雑貨・ギフトグッズにぴったりの印刷方法です。レザーや合皮との相性が良く、シックな雰囲気に仕上がります。
ワンポイントのアクセント付けに向いている反面、箔がはがれてしまうため、広い範囲への箔押しはできません。また、熱と圧力を利用する関係上、繊細なデザインの表現も難しいとされています。
●素押し・箔押しが適しているアイテム
・手帳、メモ帳、ブックカバー、名刺入れ、ポーチ等
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インクジェット印刷
【インクジェット印刷のイメージ】
インクジェットプリンターで、直接商品に印刷する方法です。
CMYKの4色の顔料インクを、商品に向けて噴射。くっきりと鮮やかなフルカラーで、グラデーション・中間色、写真の色合いや繊細な柄などもしっかりと表現します。下地にホワイトインクを印刷することで、本体色の影響を防ぎながら、思い通りの色表現が可能。ホワイトインクを使わずに、本体色を活かした印刷表現も選べます。
印刷後は、UV光を照射して商品にインクを定着させるため、耐熱性・耐水性・耐光性に優れているのも人気のポイントです。
プラスチックやキャンバス生地、紙などに印刷可能で、文房具、バッグ、雑貨をはじめ、身の回りにある多くのものの印刷に適しています。
版を起こす必要がないため、小ロットでノベルティ・グッズを作製したい場合にもおすすめです。
ただし、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(黒)の4色を掛け合わせることで色を再現するため、金・銀、蛍光色、PANTONEやDICの特色などは表現できません。
また、入稿した情報がそのまま印刷されるため、解像度が足りているか、不要な背景が残っていないかなど、入稿データを細やかにチェックする必要があります。
●インクジェット印刷が適しているアイテム
・文房具、バッグ、雑貨等
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熱転写
【熱転写のイメージ】
デザインと糊がプリントされたフィルムシートを生地に圧着させる、布に適した名入れ方法です。
キャンバス生地や不織布はもちろん、インクジェットでは対応できない、ポリエステル・ナイロン生地にも印刷可能。トートバッグやポーチなどの縫製アイテムのほか、条件によってはボトルやマグカップへの印刷も可能です。
とにかく発色が良く、色再現性に優れているのがおすすめのポイント。インクの滲みやぼやけのない、鮮明なフルカラー表現が得意です。さらに、バッグなど、商品本体の生地感から影響をほとんど受けずに印刷できるため、イメージ通りの仕上がりが期待できます。
版を起こす必要がないため、小ロットでのノベルティ・グッズ作製にも適します。
ただし、インクジェット同様に、金・銀、蛍光色、PANTONEやDICの特色などの表現はできません。
また、入稿したデータがそのまま印刷されるため、解像度が足りているか、不要な背景が残っていないかなどを、事前にチェックしておきましょう。
●熱転写が適しているアイテム
・バッグ、ポーチ、ボトル、マグカップ等
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昇華転写
【昇華転写のイメージ】
インクジェットプリンタで転写紙に印刷し、それを商品に貼り合わせて高温加熱することで、転写紙から商品にインクを染み込ませる方法。ポリエステル素材の縫製品や陶器などのフルカラー印刷におすすめです。転写紙を商品に貼り、加熱しながらインクを染み込ませる印刷方法です。
高温で熱せられたインクが気化し、商品にしっかりと浸透。印刷箇所の凹凸感がなく、生地や素材の風合いを残したまま自然に仕上がるため、インクが商品に「乗っている」質感を極力出したくない場合におすすめです。
グラデーションやデザインを、フルカラーで表現可能。ただし白インクはないため、白で指定された部分が商品本体の色になることは覚えておいてください。
陶器製マグカップや金属製ボトル、綿・ポリエステル製の縫製物など、さまざまなノベルティ・グッズの印刷に対応可能。版を起こす必要がないため、小ロットでの作製にもおすすめです。
ただし、CMYKの4色を組み合わせて印刷するため、金・銀、蛍光色、PANTONEやDICの特色などの表現はできません。
また、不要な背景が残っていたり、解像度不足でぼやけ・ギザギザ感が目立ったりする場合は、そのまま印刷されてしまうため、入稿データのチェックは必ず実施しましょう。
●昇華転写が適しているアイテム
・ボトル、マグカップ、タオル等
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回転シルク印刷
【回転シルク印刷のイメージ】
タンブラーやボトルなど、円筒形の商品に適した印刷方法です。
円筒形のアイテムをぐるりと1周回転させながら、シルクスクリーンと同じ原理で印刷。360度全面を使った、インパクトのあるデザインも表現可能です。通常のシルクスクリーン印刷と同様、1色につき1枚の版で直接インクを刷り込むため、グラデーションや濃度を調整するような中間色の表現はできませんが、くっきり・はっきりとした存在感のあるデザインに仕上がります。
金属製・プラスチック製のボトルやタンブラーと相性が良く、透明なプラスチックへの印刷では、塗りつぶさずに背景が透けるデザインも楽しめます。
ただし、円錐状や先細りになったテーパー形状の商品には、印刷の歪みが生じることがあるので、校正サンプルで最終的な仕上がりをチェックしておくことをおすすめします。
また、360度どの箇所にも印刷可能ですが、1cmほど印刷できない部分が生じるため、連続柄の場合はデザインが途切れてしまう場合があり、注意が必要です。
●回転シルク印刷が適しているアイテム
・ボトル、タンブラー、マグカッ
まとめ
オリジナルグッズやノベルティを作製する際に押さえておきたい、代表的な名入れ・印刷方法をご紹介しました。
印刷方法ごとに得意な表現があるのはもちろん、素材・アイテムとの相性が見た目や質感にも影響を与えるため、作製するグッズにぴったりの印刷方法を選びたいところ。
ノベルティグッズの企画・製作に関する基礎知識は、こちらにもまとまっておりますので、よろしければお役立てください。
また、これまで弊社が作製してきたノベルティ・グッズの実績ページもございますので、参考にしていただければ幸いです。
トランスでは、さまざまなオリジナル名入れグッズを小ロットから作製可能なサイト「販促スタイル」を運営しています。 また、本記事でご紹介した印刷方法に関する事柄や、オリジナル型のグッズ作製についてのご要望なども随時受け付けております。 ご予算・ご希望に応じて、柔軟な提案をさせていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。
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