近年、耳にする機会が多くなった「ミレニアル世代」とは、1980年代から1990年代半ばまでに生まれた方たちを指す言葉です。これらの世代は、今後のビジネスにおいて中心となる世代であるものの、これまでの世代とは異なる価値観や考え方を持つ傾向にあります。
そのため、ミレニアル世代の特徴を理解した上で、マーケティング戦略を練る必要があるといえるでしょう。
本記事では、マーケティングに役立つミレニアル世代の特徴をはじめ、ミレニアル世代特有の消費動向を詳しく解説します。記事の後半には、ミレニアル世代をターゲットにしたマーケティング戦略のポイントにも触れるので、ぜひ参考にしてください。
目次
ミレニアル世代とは?
マーケティング用語である「ミレニアル世代」は、2024年時点で30代前後の世代を指す言葉です。
ミレニアル世代の名称は、Millennium(千年紀)を迎える2000年以降に成人や社会人になったことに由来します。
ミレニアル世代の具体的な年齢に明確な定義はありませんが、1981〜1990年半ばごろまでに生まれた世代を指します。
世界人口の60%近く、そして日本の人口のおよそ17%がミレニアル世代に該当すると考えられています。
日本におけるミレニアル世代は、バブル崩壊直後の平成初期に生まれた世代です。
ミレニアル世代の多くは、2002〜2011年の義務教育の「ゆとり世代」とも重なっているのも大きな特徴でしょう。
ミレニアル世代の前半に生まれた方たちはインターネットの発展と同時に育ち、後半に生まれた方たちはスマートフォンの普及やSNSなどがライフスタイルに大きな役割を果たしています。
このように、ミレニアル世代はデジタルやIT技術の台頭とともに成長している点が大きな特徴であり、他の世代とは大きく異なる独自の価値観を持つ世代としてカテゴライズされたのです。
ミレニアル世代の特徴
インターネットの普及やデジタル技術の発展とともに成長したミレニアル世代は、以下のような独特の特徴を持っています。
- デジタルパイオニアとしての存在
- 所有より共有(シェア)を好む
- ワークライフバランスを重視する
- 多様性や個性を尊重する
- 環境問題や社会問題への関心が高い
それぞれについて詳しく解説します。
デジタルパイオニアとしての存在
ミレニアル世代はITリテラシーが高く、デジタルパイオニアとして活躍している方が多い世代です。
この世代は、「Windows 95」やインターネットの普及、さらには「Google」をはじめとした検索エンジンの発展など、IT技術が飛躍的に進んだ時代に育った最初の世代です。
幼い頃からパソコンや携帯電話、スマートフォンが生活の一部として成長しているため、それまでの世代に比べてパソコンやスマートフォンを自由自在に使いこなせる方が多い傾向にあります。
書籍や文献などのほか、インターネットからの情報源も活用するのが基本です。
そのため、何か分からないことがあっても、誰かに質問するのではなく、まずはインターネットやSNSを通して検索するスキルを持ち合わせているのが、ミレニアル世代の大きな特徴といえるでしょう。
さらに2000年代からは、インターネットの掲示板やSNSなど、ユーザー自身が情報発信できるサービスも多数誕生しました。
このようにミレニアル世代は、子どもの頃からインターネットやデジタルデバイスに親しんできたことから「デジタルパイオニア」と称されているのです。
所有より共有(シェア)を好む
ミレニアル世代は、バブルの崩壊前後を経験している世代です。
豊かな時代を経験している方もいれば、景気が低迷している時代しか知らない方もいるでしょう。
しかし、彼らの親である「新人類世代」は高度経済成長を経験していることもあり、ミレニアル世代は生まれた時から物が豊富にあるなかで育ってきています。
しかし、必要なものがそろっている環境で育ってきたものの、社会人となって所得がシビアであるため、消費に対して消極的になった方も少なくありません。
そのため、ミレニアル世代の多くは「所有」ではなく、他の方と「共有(シェア)」する消費行動を好む傾向にあります。
低コストで車を共有できる「カーシェアリング」や、音楽や動画を視聴する「サブスクリプションサービス」などに人気が集まっています。
ワークライフバランスを重視する
ミレニアル世代は、ワークライフバランスを重視する傾向があります。
この世代は、仕事のためにプライベートを犠牲にすることを嫌い、家族との時間や人生の過ごし方を考え、プライベートの時間をいかに充実させるかを重要視する方が多くいます。
残業や休日出勤がなく、テレワークやワーケーションなどの柔軟な働き方ができる環境を選ぶ方が少なくありません。
さらにミレニアル世代の多くは、一つの会社に定年まで勤め上げたり、昇給や昇進を目指したりなど終身雇用や年功序列の働き方よりも、自分らしく働ける環境や柔軟な働き方を実現できる職場を好みます。
特定の企業に依存せずに、個人としてのスキルを高めたいと考え、転職活動に踏み切る方も多いです。
このように、転職に対して抵抗のない方が少ないことも、ミレニアル世代の大きな特徴といえるでしょう。
なかには、より自由な環境を求めてフリーランスとして独立したり、起業を考えたりするケースも少なくありません。
多様性や個性を尊重する
ミレニアル世代は、特定のコミュニティーだけでなく、インターネットやSNS、アプリを介して、幅広く関わってきた経験が多い世代です。
そのため、多様性という概念が広まっています。
特に、インターネットの普及によって物理的な距離をなくし、国内外問わずさまざまな社会的背景を抱えた方や、自分とは異なる価値観を持つ方たちと容易にコミュニケーションがとれるようになりました。
そのため、他の世代に比べて他の人とは異なる一面を持ったり、異なる価値観を持っていたりしても、自然に受け入れる方が多いのです。
環境問題や社会問題への関心が高い
インターネットの普及とともに成長してきたミレニアル世代は、マスメディアからの情報だけでなく、自分自身で世界中のリアルタイムの情報に触れる機会が多い世代です。
SNSが身近にあるため、長引く経済不況や気候変動、テロ・戦争など、世界で起きているさまざまな環境問題や社会問題への高い関心を持っていると考えられています。
ミレニアル世代の消費行動|Z世代との違い
ミレニアル世代の消費行動には、次のような特徴があります。
- 「モノ」より「コト」にお金を使う
- コストパフォーマンス重視
- デジタルテクノロジーを駆使する
ミレニアル世代は、モノよりも体験や経験、またコストパフォーマンスを重視する傾向が高い世代です。
さらに、ITツールやデジタル機器を駆使できるデジタルパイオニアの世代でもあります。
一方で、ミレニアル世代とよく比較される世代である「Z世代」は、1996〜2015年に生まれた世代を指す言葉です。
ミレニアル世代の次の世代であるZ世代ですが、両者は次の点が共通しています。
- デジタルネイティブであり、IT技術やネットリテラシーに精通している
- ブランド志向ではなく、商品やサービスそのものの価値やコストパフォーマンスを重視する
ただし、消費行動においては、次のようなポイントが異なります。
ミレニアル世代 | Z世代 | |
---|---|---|
価値観 | 楽観・理想主義 | 現実主義 |
情報源 | マスメディア+インターネットの情報をバランスよく収集する | SNSを含むインターネットの情報を中心に収集する |
ミレニアル世代は好景気を経験している方が多く、楽観・理想主義である一方、Z世代は幼い頃に震災や戦争などの社会的な混乱を経験している世代のため、慎重でかつ現実的な考えを持つ方が多い傾向にあります。
また、それぞれの世代における情報源も異なるようです。
Z世代は、SNSを含むインターネットの情報をベースに情報収集する傾向にある点が、ミレニアル世代との大きな違いといえるでしょう。
ミレニアル世代をターゲットにしたマーケティング戦略のポイント
ミレニアル世代の消費行動を踏まえたマーケティング戦略のポイントは、次の通りです。
- SNSを活用して共感性・体験欲を高める
- 写真や動画を活用して直感に訴える
- ブランドよりもコスパの高さをアピールする
それぞれについて詳しく紹介します。
SNSを活用して共感性・体験欲を高める
ミレニアル世代は、モノよりも体験を重視する世代であるため、SNSを活用してリアルな体験を共有することが大切です。
実際のグッズを使ってその経験をシェア、臨場感を味わえる演出をしたりすることで、ミレニアル世代の購買意欲や消費意欲をかき立てられるでしょう。
写真や動画を活用して直感に訴える
デジタルパイオニアであるミレニアル世代には、文章ではなく、写真や動画を活用して直感的にアピールすることが重要です。
ネットサーフィンやSNSなどから流れてくる情報を流し見するケースも少なくありません。
グッズの仕様などを文字だけで訴えるのではなく、写真や動画を活用してビジュアルで訴えかけることで、よりアピールできます。
ブランドよりもコスパの高さをアピールする
ミレニアル世代は、余計なものにはお金をかけず、コストパフォーマンス性を重視する傾向にあります。
そのため、商品やサービスを通して、どのような利益が得られるのかという具体的なメリットを訴求することが重要です。
商品やサービスの表面的な部分だけでなく、機能性などの本質的な部分を強化することで、より消費意欲を高められるでしょう。
まとめ
本記事では、ミレニアル世代の特徴をはじめ、ミレニアル世代の消費行動や効果的なマーケティング戦略について解説しました。
ミレニアル世代は、まさに現代のビジネスシーンを支える世代です。
世代特有の特徴や消費行動を捉えたマーケティング施策は、企業にとって重要となります。
ミレニアル世代の共感を得られるような、直感にアピールできる販促活動を検討しましょう。
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咲楽レイ
それぞれの世代の特徴や、消費行動における傾向をしっかりとリサーチし、狙ったターゲット層にマッチするサービス展開をする。とても当たり前の動きかもしれませんが、様々な世代が登場し、推し活なども幅広い世代に広がっている今、改めて考えなければいけない部分かもしれないですね。
公開日:
株式会社トランス