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Z世代の心をつかむ|Z世代をターゲットにした商品・キャンペーン企画の事例から好まれる傾向を考察
Z世代の心をつかむ|Z世代をターゲットにした商品・キャンペーン企画の事例から好まれる傾向を考察

消費の中心となるといわれ、マーケティングの観点から注目される世代、Z世代。
彼らの間で流行するトレンドは日々激しく移り変わっており、ターゲットにするのは難しい世代です。
今回は、Z世代をターゲットにし、彼らの好みを的確にとらえた商品企画、キャンペーン企画の事例を集めました。
それぞれの企画のどのようなポイントがZ世代から共感を得たのか、考察していきます。

Z世代とは?

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Z世代をターゲットにするとき押さえておきたいキーワード

まずは、Z世代をターゲットにした施策を企画する際の押さえておきたいキーワードについて解説します。
ターゲットにするのが難しいZ世代ですが、彼らに好まれる要素を適切に取り入れましょう。

好きなモノを好きなときに

Z世代は自分の好き嫌いに正直です。
例えばSNSでは、興味のなさそうな動画はすぐにとばし、気になった投稿は最後まで見てみる、など、有益な情報、好きな情報ことを効率よく求めます。
そのため、企業の大人たちの意図である「Z世代に拡散させたい!」という強要感を感じてしまうとZ世代は興醒めしてしまいます。
自分たちが面白いと思った情報を共有し、自然に拡散されていくのがZ世代の特徴です。

親近感・人間味・自然さ

かつて圧倒的な支持を集めていた「インスタグラマー」はキラキラした憧れの生活を公開していました。
Z世代はそういった憧れの存在よりも、親近感のある人や人間味、飾りすぎていない自然さに魅力を感じる傾向にあるようです。
人気のあるYoutuberやアイドルにおいては、表向きの顔以外にも、メンバー同士でふざけ合っている日常の映像が「ほっこりする」「仲良さそうで素敵」などと喜ばれることも多いです。
例えばZ世代に共感を得る商品や広告においては、作りこまれた世界観ももちろん魅力的なのですが、Z世代と同じ目線で話す、流行を狙いすぎてわざとらしくならないようにする、正直に、情報をオープンにする、などがポイントとして挙げられます。

非日常感・プチ贅沢・新感覚など“ちょっと特別な体験”

Z世代は学生時代のうち多くの時間をコロナ禍で過ごしています。
このことから、記憶に残る特別な体験を好みます。
非日常感や小さな贅沢を、日常生活の中で手軽に体験することで、制限の多い生活の中に小さな刺激が生まれ、思い出になります。
例えば、顔ほどの大きさの揚げ鶏の食べ歩き、隠し扉の奥にある隠れ家居酒屋、従来の商品にはなかった新しい購買体験ができるシステムなど、商品と同時に「体験」も購入しているのです。

チル

「チル(chill)」とは、まったりするという意味で、Z世代の間では「チルする(のんびりする)」「チルい(まったりした雰囲気)」というように使われます。
さまざまなメディアでの表現について批判が殺到したり、暗いニュースが目に入ったり、溢れる情報を追い続けたりする毎日。
将来に不安を抱く若者が多いともいわれています。
そんな中でZ世代は“居心地の良さ”を求めているようで、のんびりとリラックスできる空間・商品・体験が注目を集めます。

「エモい」「ノスタルジー」

「エモい」とは「emotional」を語源とし、懐かしいモノや美しいモノを見たときに感情が動かされたとき、感情が動くような雰囲気を表しています。
一方で「ノスタルジー(nostalgia)」とは、「懐かしい」を意味する言葉ですが、感傷的な雰囲気や、物思いにふける様子を表す「メランコリック」に近い意味でも使われます。

例えば、今の時代では珍しい体験となる「レトロ」は、Z世代にとって新しい体験であり、どこか懐かしい雰囲気を感じます。
レトロブームが起きたことで、「ノスタルジー」で「エモい」イラストを描くクリエイターたちに注目が集まり、Z世代をターゲットにしたマーケティングに起用される事例が見られています。

Z世代をターゲットにした事例◆商品

まずはZ世代をターゲットにした商品について紹介します。
Z世代が好む「エモ」や「チル」、今までになかった「体験」ができるといったポイントを押さえた商品が見られました。

PLAZA×カンロ「EMOTIONAL CANDY(エモーショナルキャンディ)」

Z世代向け 事例

出典元:https://www.kanro.co.jp/files/topics/2507_ext_05_0.pdf#page=2

キャンディやグミでおなじみのカンロは、PLAZAと共同開発したキャンディ「EMOTIONAL CANDY」を発売。
味は「風を切ってつぎへ」「恋だったなんていえない」「夜よ、終わらないで」の3種類。
パッケージは、ジャケット写真、タイトル、再生ボタンがデザインされ、音楽アプリのような見た目をしており、パッケージ背面にはそれぞれ、心の動きが表現された歌詞が書かれています。
途中で味が変化する飴をなめながら詩を読むと、ストーリーの変化を味覚でも感じることができる設計になっています。
雑誌やアパレルとのコラボグッズなどで活動中のイラストレーター・Nah氏を起用し、Z世代に好まれる「エモい」歌詞とリンクしたイラストが描き下ろされました。
詩とイラストの「エモ」さや、飴の味と詩のストーリーがリンクしているという新しい体験は、Z世代に好まれるポイントが抑えられています。

プラス「COE365(コエサンロクゴ)」

Z世代向け 事例

出典元:https://bungu.plus.co.jp/coe365/

文房具メーカー・プラスは、“エコ”と“エモい”を掛け合わせた“エモロジー”をテーマにした文房具を発売。
ノートやペンのデザインには、イラストレーター純頃氏を起用。
SNSでは「こんなオシャレなノート見たことない」「こんなかわいいノートなら勉強頑張れる」と好評。
また、5種類のイラストは学生生活の中で起こる物語がテーマになっており、それぞれのシーンを表現した「エモ音」とリンクしています。
放課後の音や、帰り道の音、テスト勉強をしている時の音などが勉強中のBGMとして使えるようになっています。
学生にとって単なる勉強道具だったノートやペンは、イラスト、ストーリー、BGMとなる「エモ音」により、ひとつの作品となっています。
Z世代が生きる未来のことを考え、環境に配慮した素材を使ったエコな文房具は、Z世代が好む“エモい体験”ができるまったく新しい文房具です。

アサヒビール「ASAHI WHITE BEER」

Z世代向け 事例

出典元:https://www.asahibeer.co.jp/whitebeer/

アサヒビールが発売した「ASAHI WHITE BEER」は一見ビールとは思えないおしゃれなデザインの缶が印象的な新商品です。
背景あるのは若者のビール離れ・酒離れ。
20代をターゲットにしたこのビールは、華やかな香りでさわやかな飲み心地、かつ本格的なおいしさで、ビールが好きでも得意でなくても、「チル」を感じたいときに最適。 サイトにはイメージビデオが公開され、夕暮れ時にWHITE BEERを飲む若者たちの様子が映されています。
パッケージは日が暮れ、月が見え始めるマジックアワーのような色合いに、白い文字で商品名が書かれている幻想的なデザイン。
夕暮れ時にきれいな空と、オシャレなデザインの缶をSNSに載せ、「チル」してもらうことを想定できている、Z世代が好まれるポイントが詰まった新しいビールです。

パッケージに人気のイラストレーターを起用したり、商品と音楽やストーリー、映像とリンクさせたりすることで、「エモ」や「チル」だけでなく新しい体験を提供しています。

Z世代をターゲットにした事例◆プロモーション

次に、Z世代をターゲットにしたプロモーションの事例を解説します。
Z世代ユーザーが多いSNS「TikTok」を使ったプロモーションや、などがみられました。

メイベリンニューヨーク「Fitme」

Z世代向け 事例

出典元:https://www.maybelline.co.jp/makeup-trends/itzy-2021

メイベリンニューヨークのリキッドファンデーション「Fitme」は、製品を刷新したもののコロナ禍の影響から、肌の色と比較するのに必要な店頭テスターが使えない状況が続いていました。
そこで、TikTokの動画広告を活用し、認知度を高めることに成功。
Z世代に人気のK-popアイドル・ITZYをアンバサダーとして起用し、Z世代の視線を集めた後、コスメの知識が深いインフルエンサーや説明が上手いことに定評のあるインフルエンサーに商品を紹介してもらいました。
起用したインフルエンサーの普段の投稿スタイルに合わせた動画を公開し、広告感を抑え自然に商品を紹介しています。
TikTokを利用するユーザーからのコメントが殺到し、ユーザーによるinstagramへの再投稿なども目立ちました。
ブランドの存在認知から製品詳細の認知をスムーズにデジタル上で完結させた事例です。

サントリー「ほろよい」

Z世代向け 事例

出典元:https://www.suntory.co.jp/rtd/horoyoi/

サントリーから発売されているアルコール飲料「ほろよい」シリーズ。
CMソングにはHIPHOPシーンにおける名曲2曲『今夜はブギーバック(小沢健二)』『水星(tofubeats)』が起用されたのですが、よりZ世代の共感を得るよう、「チル」「ノスタルジー」の要素をとりいれたリミックスver.が作成されました。
CMのメインビジュアルは、ノスタルジックなイラストを得意とするHAIが担当。
日常のワンシーンを切り取ったイラストと、同じシーンを人気上昇中の俳優・古川琴音が実写化し、お酒を飲みながら「チル」する様子を演じました。
音楽・イラスト・俳優を駆使したCMは、商品のポイントを全面に押し出す「広告感」はなく、Z世代の目に留まる構成になっています。

京セラ「「あなたを一言で表してください」の質問が苦手だ」

Z世代向け 事例

出典元:https://www.kyocera.co.jp/animation/anahito/

京セラが打ち出したスマートシティプロジェクトのプロモーション映像として、就活に悩む学生が主人公のオリジナルアニメが公開されました。
Z世代と同じ目線に立ち、就職面接でよく聞かれる「あなたを一言で表してください」という難しい質問をテーマにしました。
技術や製品を押し出した広告感はなく、Z世代含むユーザーに寄り添っていることが分かります。
また、オリジナルアニメには人気アニメにも出演した声優が起用され、SNSで拡散するとサイン入りグッズが当たるなど、認知拡大の施策においてもZ世代の興味を引くポイントが込められています。

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まとめ:Z世代の心をつかむ

毎日ものすごい量の情報を得ているZ世代の間。

トレンドの流行り廃りのサイクルはかなり短くなっています。
企業がZ世代のトレンドを取り入れたキャンペーンや商品開発を進行している間にトレンドが過ぎ去ってしまう事もあります。
Z世代の心をつかむには、トレンドを知るだけでなく、Z世代の消費傾向、SNSの使い方、求めている体験を知ることがカギとなります。
「チル」「エモ」「ノスタルジー」といった曖昧な表現は、感受性豊かなZ世代ならではの感覚。
こういったテイストの作品を描くイラストレーターや、歌手を商品やキャンペーンに起用するのは彼らの心をつかむのには良い方法だといえます。
やらせ感や広告・押し売り感など、大人がZ世代ウケを狙おうとしている雰囲気を悟ってしまうと彼らは冷めてしまいます。
SNSで「拡散させる」のではなく「自然に拡散される」工夫があると良いでしょう。

何が流行るかわからない時代、Z世代を完全攻略するのは難しいですが、新しいコト、おもしろい企画を生み出していきたいですね。

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