今後の消費の中心になることから、何かと話題の「Z世代」。
感受性豊かな彼ら・彼女らの関心事は、SNSとリアルの両方の影響を受けて、日々目まぐるしく移り変わっています。
Z世代ならではの価値観は、自宅や学校で楽しむお菓子のトレンドにも表れています。
そこで今回は、Z世代が注目するお菓子をご紹介します。
美味しいのはもちろん、TikTokやInstagramをはじめとしたSNSでの注目度も抜群の、食べて&見て楽しいお菓子が大集合。韓国発のトレンドお菓子や、インフルエンサーが紹介して人気に火が付いた商品、アメリカのZ世代から支持されているお菓子まで、幅広くピックアップしました。
Z世代向けのお菓子には、動画映えや遊べる要素、そして共感を生むアイデアが不可欠。Z世代をターゲットにした商品開発・マーケティングの担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
Z世代から注目を集めるお菓子の特徴と商品企画のポイント
Z世代の流行の発信源は、TikTok・YouTubeに代表される動画投稿サイトや、InstagramなどのSNSです。そのため、何よりもまず重要なのは、スマホの画面からも伝わる見た目のインパクトと言えます。
一度見たら忘れないビビッドな色使いや、キュートなデザインに加えて、動画で見たときに楽しめるギミックを用意するのが重要なポイント。容器から取り出す様子に特徴があったり、食べた後、舌に色が付いたりと、何かしら「面白がられる」要素を持つお菓子が好まれる傾向にあるようです。また、咀嚼音などに心地よい特徴を見出されたお菓子は、「ASMR」のタグ付きで拡散されることがあるため、動画ならではの”音声”に着目した商品開発のアプローチも有効。体験価値を大切にするZ世代の「試してみたい」「食べてみたい」という欲求を刺激するのに、TikTokなどの動画はぴったりです。
そして、これらを踏まえて最終的に目指したいのは「コミュニケーションを生む商品」です。
華やかな見た目、楽しいギミック、ASMRなど、前述の動画映えする要素は、そのまま友達同士の会話の種になる要素でもあります(ここで言うところの会話には、リアルだけでなくSNS上でのコメントのやり取りも含みます)。それに加えて、自分なりのアイデアでお菓子をデコレーション・アレンジする文化が浸透しており、仲間内で作品をシェアし合うことで、また新たなコミュニケーションが生まれるのもZ世代ならではの特徴。
以上のことから、自分以外の誰かと気軽に楽しさを共有できるお菓子は、SNSとリアルの人間関係をシームレスに行き来するZ世代にとって、欠かせないコミュニケーションツールと言えそうです。
ここからは、Z世代に人気のお菓子をジャンルごとにご紹介していきます。
見た目やギミックなど、若年層の心をつかむポイントに注目しながら、商品開発・マーケティングのヒントを探してみてください。
Z世代に人気のお菓子:グミ・ソフトキャンディ
Planet Gummi(地球グミ)/Trolli
出典元:http://abcshokai.co.jp/posts/product58.html
ドイツのTrolli社が製造している「地球グミ」は、韓国のインフルエンサーがYouTubeやSNSで紹介したことで、一躍有名になりました。
2020年頃から話題に上り始めた同商品ですが、あまりの人気で品薄だった時期もあり、2022年現在においても飽きられることなく人気を維持しています。
地球を模した真っ青な球体グミは、1つ1つプラスチック製のカプセル入り。歯でカプセルを割ってグミを噛むと、中からマグマのような赤いストロベリーソースが溢れ出します。食べた後、舌が青や赤に染まる様子が見た目に楽しく、「自分も食べてみたい」と思う方が続出し、一大ブームになりました。派手で少々ジャンキーな色合いは、動画映え抜群。とにかく見た目のインパクトが強く、一目見たら忘れられないほどです。
また、グミでありながらマシュマロに近い、もちもちの不思議な食感も人気のポイント。動画を見て、実際の食感を確かめてみたいと思った方も多そうです。
あの日夢見た雲グミ/カンロ
出典元:https://www.kanro.co.jp/files/topics/2627_ext_05_0.pdf
「空に浮かぶ雲を食べる」という、ファンシーでキュートなコンセプトが特徴の雲形グミです。
ふわふわ&もちもちの独特な食感と、シュワっと微かな爽快感が美味しさのポイント。甘さ控えめのホワイトソーダ味で、1粒つまめばさわやかな気分になれそうです。
Z世代から注目されたきっかけの1つは、SNSでシェアされたアレンジレシピ。
ドリンクに浮かべたり、カップの内側に貼り付けてドリンクを注いだりするだけで、手軽にムービージェニックな「雲スイーツ」を作れると話題になりました。
2021年に限定発売され、大好評のうちに販売終了した同商品。2022年にはリニューアルして再発売されており、Z世代からの人気の高さが窺えます。
ナーズロープ/NeRds
出典元:https://frontier-bussan.com/products/nerds-rope/
ロープ状の長いフルーツグミに、カリカリ・ザクザクとした食感のカラフルピースをコーティングした、アメリカ発の「遊べるグミ」です。
Twist it!(ひねって)、Bite it!(噛んで)、Pull it!(引っ張って)とパッケージにある通り、楽しみながら食べられるのが人気のポイント。色鮮やかな見た目、自分も買って試したくなるギミック、耳からも楽しめるASMR要素など、ムービージェニックな特徴も満載です。
フルーティーでジューシーなグミと、酸っぱいカラフルピースの組み合わせから生まれる、独自の美味しさは、実際に食べてみてのお楽しみ。日本のグミとは一味違う、意外性のある味わいにハマる方も多いようです。
SLAPS キャンディ/pigui
韓国のYouTuberやTikTokerが紹介し、日本でも徐々に注目を集めた経緯を持つ、メキシコ産の「遊べるキャンディ」です。
平べったいシート状のキャンディは柔らかく、折りたたんだり丸めたりと、まるで折り紙のように自由に変形可能。手にベタベタとくっつかないように工夫されているため、学校や外出先でも、汚れるのを気にせず遊べます。アイデアとユーモア次第で、新しい遊び方が見つかりそうな点も、柔軟な発想力が持ち味のZ世代に支持されるポイントと言えるでしょう。
スイカや青リンゴなど、味とリンクした鮮やかな色合いで、見た目のインパクトも抜群。食べた後は舌に色が残るため、食べ終わった後もしばらく楽しめます。
Z世代に人気のお菓子:ラムネ
ホシフリラムネ/カンロ
出典元:https://kanro.jp/pages/hoshifuri
キャンディの魅力をさまざまな形で発信するカンロの新ブランド、「アメージングカンロ」の、記念すべき第1弾商品です。
きらめく満天の星空をイメージしたラムネと特製の瓶は、幻想的なムードをいっぱいに表現。まるで手元に美しい星空を収めるような、ロマンティックな気分に浸れそうです。
豪華な専用ボックス入りで、大切な方へのギフトにもぴったり。星形ラムネや深みのある夜空の表現、瓶を振ると「カラン、コロン」と軽やかに鳴る音など、カンロが考えるエモい世界観を追及しており、Z世代に好まれそうな要素をしっかりと散りばめています。
また、購入者の中から抽選で、「星の命名権」が手に入るキャンペーンを実施。商品のイメージと同じく夢のあるキャンペーンで、食べた後もワクワク感を感じさせてくれるのも嬉しいポイントです。
Z世代に人気のお菓子:焼き菓子
たべっ子どうぶつ/ギンビス
出典元:https://www.ginbis.co.jp/product/11060.html
40年以上の歴史を誇り、大人にも馴染み深い知育ビスケット「たべっこ動物」は、SNSを通じてZ世代からの人気に火が付いた好例です。
パッケージに描かれた動物たちの可愛いさが突如ネット上で注目され始め、みるみるうちにSNSミーム化。キーホルダーやぬいぐるみ、バッグなど、さまざまなグッズ展開も手伝って、売り上げを急速に伸ばしているそうです。
たべっこ動物のデザインにはどこか懐かしさがあり、Z世代が好むと言われる”レトロ感”を漂わせているのも、人気のポイントではないでしょうか。
カヌレ/noix de beuure(ノワ・ドゥ・ブール)
出典元:https://noix-de-beurre.com/item/gateau/canele/
1990年代に1度ブームになったフランス菓子「カヌレ」は、ここ数年で再び注目度を上げています。
外はカリカリで香ばしく、中はしっとりとした生地感が楽しめる焼き菓子、というのがカヌレの基本。今回のブームでは、半熟タイプやチーズ入りなどの変わり種カヌレや、とことん見た目にこだわったカヌレなどが続々と登場し、SNSを賑わせています。
専門店が出店されるたびに話題に上るだけでなく、オリジナルレシピや調理の様子を収めた動画がシェアされるなど、”手作り派”からの支持が厚いのも、ブームになった要因の1つでしょう。
また、ブームを受けて手軽にカヌレの味わいを楽しめるグミ「カヌレット」が発売され、こちらもZ世代を中心に注目を集めています。
Z世代に人気のお菓子:韓国発
日本のZ世代の流行をリードする、韓国で生まれたお菓子をご紹介します。
かわいい見た目と楽しいギミックで、TikTokとの相性がいい商品を中心にピックアップしました。
おにぎりグミ(サムギミグミ)/GS25
「ネクスト地球グミ」との呼び声も高い、TikTokを中心に大人気のおもしろグミです。
「さんかくキンパグミ」とも呼ばれるおにぎりグミは、文字通りおにぎり風キャラクターの顔がプリントされた、個包装のプラスチック容器が特徴的。単体でも、複数並べてもキュートです。
容器を開けて現れるのは、”お米”を表現した真っ白なグミ。ぷにぷにとした食感が楽しく、噛むと中からソースが溢れ出します。
ヨーグルト風味のグミと、コーラ風味のソースが生み出す絶妙なハーモニーが美味しい、との評判が広まったことも人気の要因の1つ。SNSで映える見た目だけでなく、しっかりと美味しい点も重視されていることが分かります。
また、1つずつバラ売りしている店舗もあり、学生が購入しやすい点もZ世代に支持されている理由と考えられます。
ハニーゼリー/SSB
出典元:https://ssbjapan.com/category-product-list.html
韓国のYouTuberが紹介し、ASMR動画の題材として、日本でも流行している「ボトル入りゼリー」です。
本来のハニーゼリーは、冷凍庫ではちみつを凍らせてゼリー状にした手作りお菓子でした。それを食べる様子がYouTubeなどの動画で話題になり、もっと手軽に楽しめるようにと商品化された経緯があります。韓国ではさまざまなメーカーが競うようにハニーゼリーを商品化しブームになりましたが、ここ日本にも遂に上陸を果たし、多くの注目を集めています。
モチっと弾力のあるハニーゼリーをチューブから直接食べる姿は、豪快でインパクト大。動画との相性は抜群で、思わず試してみたくなること間違いなしです。
また、アイスやドリンクなどにトッピングするなど、工夫次第でさまざまなアレンジが楽しめる点も、動画の題材として広がりが見込める魅力的なポイントです。
センイルケーキ/スイーツデザインスタジオメイプリル
出典元:https://cake.jp/item/3400133/
センイルケーキは、韓国語で誕生日ケーキ・バースデーケーキのことを意味します。日本の誕生日ケーキと比べると、シンプルで色彩豊かな見た目が特徴的。スポンジケーキにバタークリームを平たく塗り、中央にメッセージや名前を書くのが基本形です。仕上げにクリームやフルーツ、デコレーションパーツなどで飾り付ければ完成。自分でも簡単に手作りできることから、友達同士で贈り合ったり、”推し”アイドルの誕生日を祝ったりと、カジュアルに特別感を演出できるスイーツとして、本国はもとより日本のZ世代にも親しまれています。TikTokやInstagramには、個性豊かなセンイルケーキの動画がたくさんあり、さまざまなデコレーションのアイデアを見ているだけで楽しい気分になれそうです。
トゥンカロン(太っちょマカロン)/MACAPRESSO(マカプレッソ)
出典元:https://cake.jp/item/3391358/
フランス生まれのマカロンを、韓国流に進化させたのがトゥンカロンです。「太った」という意味の韓国語”トゥントゥンハン”が名前の由来となっている通り、たっぷりのクリームやフルーツがサンドされた、ボリューミーな見た目&食べ応えが特徴。また、カラフルでポップなデコレーションがかわいいと話題になり、SNSを中心に流行しています。
東京では2020年ごろから専門店が増え始め、特に新大久保・原宿には多くのトゥンカロン専門店が軒を連ねています。お店ごとに見た目が大きく異なり、眺めているだけでさまざまなバリエーションを楽しめる点も、SNSと相性がいいポイント。また、市販品をさらにデコレーションしたり、自己流レシピを公開したりと、アレンジ派・手作り派にアピールする要素も豊富です。
薬菓/韓国広場
出典元:https://www.kankokuhiroba.jp/c/cat-108/cat-111/cat-113/50200070
薬菓(ヤッカまたはヤックァ)は、小麦粉にはちみつやシナモンを混ぜた生地を揚げて作る、韓国の伝統的なお菓子です。
素朴な甘さと、ほのかに香るシナモンがあとひく美味しさ、と主に韓国好きの方の間で話題になったのが人気の発端。沖縄のサーターアンダギーや、シンプルなドーナツにどことなく似た味わいは日本人の口にも合いやすく、コーヒーやお茶などのお供にもぴったりです。
TikTokやYouTubeでは、アイスクリームと一緒に食べる動画や、食欲をそそる咀嚼音をフィーチャーしたASMR動画で注目を集めています。
アメリカのZ世代に人気のお菓子もチェック!
Morning Consult社が発表した、「Z世代が好むブランド トップ20」にランクインしたお菓子を、4点ピックアップしてご紹介します。
YouTubeやgoogleなど、今をときめくテック企業が並ぶ中で、老舗のお菓子ブランドがいくつもランクイン。昔から続く定番のお菓子は、Z世代にも変わらず愛されていることが分かります。
m&m's/マース
ポップでカラフルな粒チョコです。1粒1粒にプリントされた「m」がトレードマークのm&m’sは、発売から80年以上を数えるアメリカの国民的なお菓子。子どもから大人まで絶大な人気があり、Z世代も例外ではありません。
チョコレートが糖衣でコーティングされているため、仕事中やスマホを使っている時にも、手を汚すことなく気軽につまめます。中身はオーソドックスなミルクチョコのほか、ピーナッツ、アーモンド、クリスピーをラインナップ。気分に合わせて食感と味を選べます。
カリッと軽快な音を活かしたASMR動画や、大量のm&m’sをザラザラと流し込む動画、お菓子作りのアレンジに活用する様子など、TikTok・YouTubeとの相性も抜群。おなじみのキャラクターたちが登場する、TikTokのオフィシャルアカウントもあります。
ドリトス/ジャパン フリトレー株式会社
出典元:http://www.fritolay.co.jp/ourbrands/doritos/
世界55か国以上で愛されている、ロングセラーのトルティーヤチップスです。
コーンをすりつぶして薄く伸ばした生地を、オーブンで焼いた後にカラッとフライ。パリパリの食感と香ばしい香りで、やみつきになるような美味しさです。定番のメキシカンタコスやナチョ・チーズ、マイルドソルトのほか、定期的に新しいフレーバーが発売されるため、飽きることなく楽しめます。
そのままお菓子として美味しいのはもちろん、料理のアレンジ食材としても優秀なのが人気のポイント。
サルサソースやサワークリームにディップしたり、スープ・サラダに入れたりする定番メニューのほかにも、SNS・動画投稿サイトにはさまざまなオリジナルメニューがアップされています。アイデアを参考にしながら、いつもの料理にプラスしてみるのも面白そうです。
オレオ/ナビスコ
出典元:https://www.oreocookie.jp/
ほろ苦いココアクッキーと、濃厚なクリームの組み合わせから生まれる唯一無二の美味しさで、誕生から110年を経てもなお世界中に人気を拡大し続けている、定番のビスケット菓子です。
クッキーを外して食べる「Twist」、クリームを舐める「Lick」、牛乳に浸して食べる「Dunk」をはじめ、自分に合ったさまざまな食べ方で楽しめるのがオレオの魅力。アイスのトッピングや、手作りお菓子の材料として活用する方も多いようです。
また、公式サイト・SNSでは、ハロウィンやバレンタインなどのイベントシーズンに合わせてアレンジレシピを公開するなど、常にフレッシュな情報を発信しており、定期的に話題を提供する企業の姿勢も、人気を長く維持し続けている秘訣かもしれません。
スプライト/コカ・コーラ
出典元:https://c.cocacola.co.jp/sprite/
強炭酸の心地よい刺激と、キリっとしたレモン&ライムの爽快な味わいで、190ヶ国以上に愛飲されている世界的なロングセラードリンクです。
スプライトはコカ・コーラグループ内における第2位のブランドであり、すでに絶大な訴求力を有していますが、このたび特にZ世代にアピールするためのブランドキャンペーン、「Heat Happens」を発表しました。
オンライン・オフラインを含め、些細な衝突がエスカレートしがちな昨今。思わず熱くなってしまいそうな瞬間に、スプライトを思い出してもらおうという狙いがあります。体感的な暑さやのどの渇きを感じた時だけでなく、精神的な「熱」を帯びた瞬間にもマッチする飲料として提案するこの試みは、パッケージデザインの変更や体験型プロモーション、動画広告などさまざまな施策を含み、グローバルに展開しています。
まとめ
Z世代が注目する、人気のお菓子16選をご紹介しました。
Z世代向けのお菓子には、ポップな見た目や面白いギミックなど、好奇心を掻き立てる+αの要素が不可欠。学校で友達とシェアしたり、TikTok動画で話題の商品をチェックしたりと、リアル・SNSの垣根を越えてコミュニケーションのきっかけになる、楽しいお菓子が求められているようです。
とにかくトレンドの移り変わりが早いZ世代ですが、人気商品を並べて見比べることで、一定の傾向や共通点が浮かび上がってきます。特にSNSや動画投稿サイトとの相性の良さは、若年層にアピールするために必須のポイントと言えるでしょう。
この記事や関連コラムを参考にして、Z世代に響く商品開発・マーケティングのヒントを見つけてくだされば幸いです。
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