商品のデザインや企画のおもしろさ、ブランドイメージによって生み出される「情緒的価値」。
情緒的価値の高い商品の例として、“時間や気分をコンセプトにした商品”があります。
今回は、商品の機能よりも、使ってもらう時間やその時の気分など、シチュエーションに焦点をあてて売り出される商品のアイデアがテーマ。
情緒的価値を高める商品企画のアイデアと、消費トレンド、市場の製品の事例をもとにした特徴を考察していきます。
グッズ企画制作会社が考える、企業のオリジナルグッズにおける“時間や気分をコンセプト”に活用するアイデアもご提案します。
目次
時間や気分をコンセプトにした商品とは?
時間や気分をコンセプトにした商品の特徴
例えば、コーヒーやお酒のコンセプトといえば、「香り」「深み」など味に関するワード、「こだわりの焙煎」「限定醸造」などの製法、「カフェインレス」「低アルコール」といった機能的価値を訴求する内容が思い浮かぶでしょう。
時間や気分をコンセプトにすると、「日曜日の午前10時にのみたいコーヒー」「平日の夕方に飲みたいビール」「雨の日専用」「失恋したとき」のように、利用シーンのイメージがしやすくなります。
あえて利用シーンを限定させることで、その時その瞬間に、より商品を楽しんでもらう事ができます。
情緒的価値をより高め、一部のターゲットにより深く刺さるアイテムを生み出すアイデアです。
消費トレンド「モノ消費」「コト消費」「トキ消費」
市場では、製品の機能をもとめて購入する「モノ消費」から、流行やグルメ、体験的価値を購入する「コト消費」といったように、「体験」を重視する消費に移り変わったといわれています。
さらに、体験のなかでも、フェスや人気投票など、時間や場所、状況が限定されているイベントに参加することが、「トキ消費」と呼ばれるようになりました。
その時間に、その気分で、その製品を楽しむということは、限定的な時間をすごす「トキ消費」にあてはまります。
また、その瞬間に適した製品を楽しむという行為は「モノ消費」「コト消費」の特徴と重なる部分があるといえます。
時間や気分をコンセプトにした商品の事例
市場でみられる、時間や気分をコンセプトにした製品の事例をピックアップしました。
それぞれの商品のコンセプトがユーザーに何をもたらすのかを考察していきます。
【日本酒】HINEMOS
HINEMOSは時間をコンセプトにした日本酒。
夕方の少し早めの乾杯や、メインディッシュを盛り上げる乾杯、深夜の乾杯など、時間帯とお酒のペアリングを提案し、その時間とお酒をより一層楽しめるようになっています。
それぞれのお酒は「SHICHIJI」「HACHIJI」と時間を表した名前が付けられており、それらの数字がボトルにデザインされています。
デザインと瓶の配色がそれぞれの時間を表現しており、ジャケ買い・名前買いしたくなるデザインです。
日本酒といえば、製法や風味など、奥深さゆえに初心者にとってハードルが高いと思われがち。
どんなときにどのお酒を飲むのがベストかをあらかじめ提案することで、日本酒初心者でもイメージしやすく手に取りやすい商品となっています。
【小説】Chapters bookstore 限定BOX
引用:https://lp.chapters.jp/2years
毎月2冊の本が届く月額性オンライン書店。
2周年を記念し発売した限定BOXは、読者の気持ちによりそう5つのテーマに合った内容の小説2冊がはいったセット。
「スマイルBOX」「もぐもぐBOX」「失恋BOX」「大冒険BOX」「ひとり旅BOX」の5つのテーマで、ハッピーになりたいとき、感傷に浸りたいとき、旅に出たくなる、など読者の気持ちに寄り添ったセットになっています。
また、BOXにはお香がセットになっており、読書時間がより豊かな体験となるようになっています。
【クラフトビール】翠雨
引用:https://otomoni.beer/jbo/suiu
クラフトビールの定期便を展開するOtomoniのオリジナルビール・「翠雨(すいう)」。
雨の日専用のクラフトビールで、しっかり冷やして、雨音を聴きながら、雨とペアリングして飲むというコンセプトのおしゃれなビール。
雨の日のじめじめとした日でも楽しみになるように、雨の日がうれしくなるような、さわやかな苦みが特徴のビールです。
ラベルは雨をイメージしたブルーで、青葉を濡らして降る雨をイメージしているそうです。
天気と、天気によって移り変わる気分をコンセプトにしたビールです。
【お香】1ROI インセンススティック
引用:https://otomoni.beer/jbo/suiu
1ROI(イロアイ)は、お香をとおして「心を整える時間を提案する」ブランドです。
1日のスタート、朝をイメージした、パワフルでエネルギーが溢れるような香り、
午後、夕暮れをイメージした、家路につくようなホッとする香り、
1日の終わり、夜をイメージした、気持ちを落ち着かせてゆったりと眠りにつくことができる香り
の3種類のインセンススティックを展開しています。
それぞれ朝、夕、夜の景色をパッケージにプリントしており、より使用シーンがイメージしやすくなっています。
連想する時間帯が明確であるため、お香を使ったリラックスタイムが生活の中に定着しやすい製品といえます。
時間や気分をコンセプトにした商品を考えてみた
グッズ企画製作を行う会社として、キャラクターやアイドルの物販品、アパレルやコスメブランドのノベルティなど、グッズにも時間や気分など、情緒的なイメージを当てはめて考えてみました。
雑貨類においては、味や香りを使った表現ができないので、コンセプトやネーミングで興味を引くよう工夫が必要です。
「夜更かししてアニメ一気見するとき専用タンブラー」
アニメや動画を一気に見返したい、という日に使ってほしいタンブラー。
ゆっくりたっぷり飲めるように保冷保温機能付きの大きめサイズで、一気見のお供に。
夜更かしの時間や、何も予定のない休日をイメージしたアイテムのアイデアです。
「おはようおやすみアクスタ」
朝と夜で違う姿を見せてくれる両面アクスタ。
オモテ面はスーツ姿、ウラ面はパジャマ姿で、朝と夜で向きを変えれば、「おはよう」「行ってきます」「ただいま」「おやすみ」のタイミングで推しの姿を楽しむことができる、お得なアクスタです。
時間帯によって姿を変えるアクスタのアイデアです。
「推しの配信見て幸福度高いときのケアが一番浸透する」
Vtuberやアイドルのライブ配信が行われる夜の時間帯。
推しの配信を見た後に寝る支度をする人をターゲットに、日々のケア用品をグッズにするアイデア。
マッサージで血行を良くするかっさ、お風呂後のヘアケア用のブラシ、リラックスタイムにつかうオイルなど、「推しの配信を見終わって幸福を感じた状態」をコンセプトにするというアイデアです。
「参戦前の前髪最終確認用セット」
コンサート当日、その日に合わせて美容院へ行き、参戦服をそろえ、メイクをばっちり決めたファンが会場に集まります。
少しでもかわいい姿で推しに会いに行きたいファンが会場の外で写真を撮る時間、会場に入る前、席についてコンサートが始まるまでの間にさっと前髪を整えるための、コームとミラーのセットです。
お出かけ前や、待ち合わせ場所をコンセプトに、アパレルやコスメブランドのノベルティとしても活用できます。
「買ったときのワクワクがずっと続くポーチ」
新しいコスメを買ったとき、家に持ち帰り、手に入れたコスメをショッパーからだしパッケージを開ける瞬間、とてもワクワクする時間だとおもいます。
その瞬間のワクワクをコンセプトに、ショッパーと同じデザインのポーチをノベルティにするアイデアです。
シーズンごと、キャンペーンにより期間限定のショッパーを展開する場合などは、特にその日のことを思い出してもらえるでしょう。
一部アイデアを出してみましたが、各コンテンツとそのファン・ユーザーの特性はそれぞれ異なってきます。
グッズ展開にこのような考え方を活用する場合は、ターゲットの特性を理解することが大切です。
まとめ:時間や気分をコンセプトにしたグッズアイデア
新アイテム開発や機能性の追求は常に行われていますが、そう簡単には生み出せないもの。
ユーザーの利用シーンや心理に焦点をあてたコンセプトで企画することで、定番アイテムでも情緒的価値を高めて売り出すことができます。
アイテム自体が定番のものでも、デザインの考え方を変えたり、使ってもらうタイミングの幅をひろげたりと、ユーザーに新たな視点で買い物してもらうことができます。
ユーザーに「時間や気分に合わせてグッズを使う」という新しい体験を提供し、コンテンツ、ブランドの製品、グッズの満足感を高めることに繋がります。
企画のアイデアは是非各営業担当までご相談ください。
セウヘイ
株式会社トランス社員。「夕方専用ビール」なんてものがあったら、「そうそう、それそれ~!」という気持ちで買いたくなるかもしれません。インサイトは日常のワンシーンに転がっています。