早ければ2020年にも義務化されることとなった「レジ袋の有料化」。消費者はもちろんのこと、企業や小売事業者の皆さんにも影響を与える決定です。そこで今回は、レジ袋有料化の施策内容から実施の背景、有料化のメリットや、海外での取り組み、さらにはエコバッグのメリットについて解説いたします。企業や小売事業者の皆さんが取るべき対策についても、ご紹介いたします。
1.レジ袋の有料化が環境省により義務化
レジ袋が有料義務化されます。2019年6月開催のG20によって、ついに有料化の開始時期が示されました。まずは、レジ袋有料義務化の施策内容、開始時期、実施の背景を見ていきましょう。
1-1.有料化の施策内容
レジ袋の有料義務化は「プラスチック製レジ袋を使う全ての小売り事業者」が対象となる予定です。小売り業者とは、コンビニエンスストアやスーパーマーケット各社、百貨店、さらには食料品店、衣料品店、書店、古物商などの各専門店、個人商店も含まれます。まさに今回の決定は、社会全体に関わる非常に大きなものであるといえるでしょう。なお、レジ袋の具体的な料金設定については「それぞれの事業者に任せる」というのが、現在の環境省の見解です。
1-2.いつから開始されるのか
レジ袋の有料義務化は、2020年7月1日に実施されます。今後は、経産産業省、そして関係する環境省や農林水産省などが、具体的に有料化するレジ袋の範囲や素材の定義、小規模事業者における負担軽減策などの詳細を詰める予定です。
1-3.有料化実施の背景
レジ袋の有料義務化の背景には、プラスチックごみに対する世界的な取り組み、そして日本が環境問題を重視している姿勢を国内外に示す狙いがあります。
日本は「使い捨てプラスチックの1人当たり使用量」が世界第2位です。国内でのプラスチックごみの排出量は年約900万トンで、そのうち約400万トンはレジ袋やペットボトル、包装容器などの使い捨てプラスチックと言われています。さらに、それらの約8割は家庭などから出る一般廃棄物が占めています。
1-4.対象となる企業の反応
環境省は、レジ袋の有料義務化にあたり、対象となる業界や経団連などとも話し合いを進めおり、すでにレジ袋有料化を実施しているスーパーマーケットからは、有料化に対する前向きな意見も聞かれます。また、これまでレジ袋有料化に踏み切っていなかったコンビニエンスストアも、レジ袋有料化の実験をスタートしています。いずれにしても、法令制定によって義務化されるため、各企業とも対応せざるを得ない状況といえるでしょう。
2.レジ袋有料化のメリット
レジ袋を有料化し、プラスチック製レジ袋の使用を削減するメリットには、以下の5点が挙げられます。
●海洋汚染を防ぐことができる
関西広域連合の調査によると、大阪湾全体でレジ袋およそ300万枚、ビニール片約610万枚が沈んでいると報告されました。これにより水質の悪化のみならず、エサと間違えてレジ袋を飲み込むなどの海洋生物や鳥などへの影響も懸念されます。レジ袋の有料化によってその流出量を減らすことができれば、海洋汚染防止への効果も期待できます。
●地球温暖化の抑制が期待できる
レジ袋をはじめとするプラスチックゴミの多くが、焼却処分されています。 レジ袋の有料化によってその流出量が減れば、焼却の際に発生する二酸化炭素(CO2)が削減され、地球温暖化抑制も期待できます。
●石油の消費を抑えることが期待できる
限りある資源である石油は、プラスチックの原材料です。レジ袋の有料化による流出量の減少は、石油の消費抑制につながると期待されます。
●ごみ処理のコスト削減が期待できる
日本では、年間およそ900万トンのプラスチックごみが出ており、その40%以上がレジ袋をはじめとする「使い捨てプラスチック」です。環境省の素案では「2030年までに使い捨てプラスチックの排出量を25%減らす」としていますが、 これが実現すれば莫大な量のゴミ削減となり、運搬から焼却までのさまざまなコストの削減につながると期待されます。
●使い捨てをする文化の変化につながる
今回のレジ袋有料化をきっかけとして、多くの国民が環境問題やゴミ問題に関心を向けることは、持続可能な社会を作る上でも大きなプラスになると考えられます。
3.日本以外の国では?外国のレジ袋事情
小売り事業者や消費者にも大きな影響を与えるレジ袋の有料義務化ですが、日本以外の国ではどのような状況なのでしょうか。
国によって施策内容やレジ袋の使用量は大きく異なります。有料化や課税のみならず、製造や販売、使用を禁止する国もあります。
北欧のフィンランド・デンマークでは、使い捨てビニール袋の使用量は、1人あたり年間4枚ほどであるのに対して、東ヨーロッパの国ではその100倍もの枚数が使われています。しかしながら、国際社会の大きな流れとして「レジ袋の廃止や制限」が常識となりつつあります。以下、いくつかの国々のレジ袋事情を見てみましょう。
●オランダ
レジ袋は有料です。2016年に袋1枚の値段をおよそ34円としたところ、40%の削減効果がありました。
●アフリカ
南アフリカをはじめ、エチオピアやケニア、コートジボワール、セネガル、モロッコなどアフリカの25カ国でレジ袋の製造・販売・使用などが禁止されています。なかでもケニアは厳しく、違反した場合にはおよそ400万円の罰金刑や最大4年の禁固刑が課せられる恐れがあります。
●中国
中国は、2008年の北京オリンピックを機に、薄いレジ袋を禁止に。厚めのレジ袋については有料化しています。
●アメリカ
アメリカでは、130以上の市・郡でレジ袋禁止の法令が広がっています。
4.レジ袋有料化に反対する意見
今後の日本で、レジ袋の有料義務化が施行されることは避けられませんが、懸念や反対意見も存在します。以下では、レジ袋有料化に反対する意見をご紹介します。
●購買意欲の減少やまとめ買いの増加
レジ袋の有料化が実施されることで、消費者が「レジ袋代金の分、節約しなければ」「袋の枚数が増えないように買う量を抑えなければ」と考える可能性があります。また「何度も買い物に来なくていいように、まとめ買いしよう」と考える消費者が増えるかもしれません。すると、「売り上げに影響が出る」と考えている小売店も存在します。
●環境に対する効果への疑問
レジ袋がゴミ袋として利用されるケースも少なくありませんが、消費者が別のビニール袋をゴミ袋として購入し、使用する可能性があります。結果としてゴミとして出されるビニール袋があまり減らない可能性も考えられます。
●万引きを助長する可能性も
レジ袋が有料化されたハワイで実際に起きている事例です。購入した商品をむき出しで持ち帰る消費者が増加することで、万引き犯が捕まえにくくなる可能性が高まると、危惧する意見もあります。
●宣伝の機会が失われることに
ビニール袋に描かれたロゴなどを通じて、レジ袋がお店の宣伝をしていました。レジ袋を有料化し、お店のレジ袋の利用者が減ると、宣伝機会を逃すと心配するお店もあります。
5.エコバッグのメリット
レジ袋の有料化が話題になっている一方で、注目を浴びているのが「エコバッグ」です。環境面へのメリットはもちろんのこと、それ以外にもメリットが挙げられます。具体的なメリットを見てみましょう。
●環境保護の一端を担える
プラスチックごみの排出量を削減し、海洋汚染、地球温暖化を抑制できるというようなことが挙げられます。
●ビニール袋よりも作りがしっかりしている
ビニール袋とは異なり、使い捨てが前提ではなくしっかりとした作りであることから、 荷物を運ぶ際にも安心感があります。
●普段使いできるなど利便性が高い
エコバッグのなかにはデザイン性の高いものも少なくないため、買い物以外にも利用することが可能です。また、好みに合ったデザインを選ぶことも可能です。レジ袋より利便性が高いといえます。
6.環境のためにできることを実践する
レジ袋の有料義務化も目前の今、率先して対策を進めることは、消費者に対する「環境問題への取り組み」のアピールにもなります。すると、お店の好感度アップも期待できるでしょう。レジ袋有料化に向けた対策にはさまざまな事柄が考えられますが、その一つに「オリジナルのエコバッグの作製」が挙げられます。デザインや機能性を工夫することで、エコバッグをお店の「魅力的な商品の一つ」としてアピールすることが期待できます。
さらに、お店の宣伝につながる可能性も考えられます。実際に、エコバッグ販売を始めた企業は、エコバッグがお店のアピールに一役買っていることもあるようです。
7.まとめ
お店の利用者に向けてアピールできる「オリジナルのエコバッグ」。素敵なデザインや利便性の高いエコバッグは、利用者の心をつかみ、お店の絶好のPRとなる可能性も考えられます。レジ袋の有料義務化は、2020年7月1日に施行が予定されています。すでに1年を切っている状況なので、エコバッグの作製などをお考えの場合は、早めに対策を講じることをおすすめします。
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