2022年、ネットをざわつかせた革命的サービス「画像生成AI」。
ビジネスシーンやクリエイティブの現場へ大きな影響を与える可能性があるとして需要が高まり、さまざまなサービスが登場しています。
今回は画像生成AIの仕組みや、使いやすいおすすめのサービス、活用方法などについて、簡単に解説していきます。
目次
画像生成AIとは?仕組みを解説
画像生成AIとは?
人間が入力したテキストに対するイメージ画像を、自動で生成してくれる画期的なシステムです。
指示した内容の画像を、数十秒たらずで、まるでアーティストが描いたようなクオリティで生成できます。
また、指示するときに入力するテキストを「プロンプト」と呼びます。
例えば、「りんご」「泳ぐ」などといったキーワードを含むプロンプトを入力すると、りんごが水中を泳いでいるような、存在しないはずの画像を生成することもできます。
理想的な画像を生成させるためのプロンプトの作成にはコツがあり、最近ではそのプロンプトを書く仕事「プロンプトエンジニア」という役割も存在します。
画像を生成する仕組み
それぞれの生成モデルやシステムによって違いはありますが、おおまかな流れは次のようなイメージです。
- 入力されたテキストを分析
- 学習したデータをもとに画像の特徴を探す
- 学習した画像データにノイズを与え、画像に変動を起こす(指示にあった複数の要素を組み合わせる)
- 学習済みのデータに似た画像を生成する
かなり簡単にかみ砕いて記載していますが、はてしなく複雑な構造、学習を経てクオリティの高い画像を生成することができるのです。
画像生成AIのメリット・デメリット
画像生成AIを活用する際には、そのメリット・デメリットを理解しておきましょう。
メリット
- 欲しい画像の特徴を伝えると、数秒でハイクオリティな画像が出来上がる。
- 有料画像サービスを使わなくても無料で画像が手に入るサービスもある。
- 存在しないシチュエーションなど、ユニークな画像が生成できる。
テキストを入力するとすぐに画像が手に入るのが大きな特徴のひとつ。
入力するプロンプトのコツを掴めば、イメージに合う画像を有料の画像素材サイトから探すよりもリーズナブルでスムーズかもしれません。
この世に存在しないはずのシチュエーションなどを表現したユニークな画像も生成できます。
デメリット
- 整合性のない画像が生成されることがあるため、画像編集ソフトでの修正が必要。
- イラストレーターやカメラマンの仕事が奪われる可能性もある。
- 現時点では海外のサービスが多く、日本語のプロンプトだと思い通りに画像が生成しにくい。
- 法律関連が整備されていない。
生成できる画像のクオリティにはやはり限界があるようで、整合性のとれていない不自然な画像になることもあります。
人の顔が認識しきれなかったり、腕や指の角度がおかしかったりすることがよくあります。
ポスターやバナーとして使用する場合は画像編集ソフトで修正するなどの対応をし、あくまでデザイン作成のサポートであるという認識は持っておくべきでしょう。
また、著作権などの法律関連が整備されておらず、トラブルが発生する可能性もあります。
現時点では基本的に著作権が発生しないといわれるAI画像ですが、次のような場合で著作権の侵害が起こる可能性があるため、注意が必要です。
- 既存のキャラクター・イラストに類似している場合
- 作者がソフトを使い編集しているなど、AI画像を補助的に使用している場合
- 独自性のあるプロンプトで詳細な指示を出して生成された画像
今後、画像生成AIの利用が広く普及すれば、法整備される可能性もあるかもしれません。
画像生成AIの活用シーン
注目度がたかまっている画像生成AIの活用。
今後どういったシーンでの活用が普及していくか、現状活用されているシーンをみていきます。
広告、バナーなどのデザイン作成補助
広告などのポスターや、WEBサイトのバナー、ロゴマークやアイコンのデザイン作成の補助として活用できます。
生成された画像を修正して使ったり、切り抜いて使ったり、テキストをくわえたり、デザインのベースとして使うことができます。
生成されたデザインからインスピレーションをうけてアイデアが浮かぶこともあるでしょう。
ゲーム制作
ゲームのキャラクターや背景などのイラスト制作に活用できます。
AIを活用することでSFの世界のようないハイクオリティの画像を生成できるので、キャラクターデザイン、背景イラストのベースとして、十分な力を発揮します。
おすすめのAI画像生成サービス
2022年夏ごろから注目度が高まり、すでに多くの人が利用している画像生成AI。
高品質な画像を簡単に生成できる、おすすめの画像生成サービスをピックアップしました。
Stable Diffusion
引用:https://stablediffusionweb.com/
高クオリティの画像を無料で生成できるオープンソース型AI。
数十秒で画像を生成でき、複雑な指示にも対応が可能。
無料で利用可能なので、AI画像生成を体験してみたいという時にもおすすめです。
Midjourney
引用:https://www.midjourney.com/home/?callbackUrl=%2Fapp%2F
2022年夏に公開され話題になった画像生成AI。
チャットツール・Discordと連携して利用できるツールで、入力するプロンプトを工夫するとSF映画のような美しい画像も生成することが可能。
にじジャーニー
引用:https://nijijourney.com/ja/
名前のとおり、アニメ風のイラストを生成することが得意なAIツール。
ライセンスフリーなので、キャラクターをポスターや広告、グッズのイメージデザインとして使いたいときに活用できそうです。
Discordを通して利用が可能。
お絵描きバリグッドくん
LINEで簡単にAI画像生成が体験できるサービス。
無料版では1日3回まで生成が体験でき、有料のプラン(年間5,000円)では無制限に画像を生成することができます。
AIピカソ
スマホアプリでアバターやイラストを生成できるサービス。
簡単なイラストを描き、その下絵を元にイメージの画像を生成できるお絵描きAIアプリです。
また、アバター生成機能では、写真を10~20枚アップロードすると、写真の特徴を反映したアバターを生成することができます。
Artbreeder
引用:https://www.artbreeder.com/
キャラクターや人物の顔写真をアップロードして、AIを通して実写化したようなポートレートを作成することができると話題になったAIツール。
AIが写真の顔を認識し、表情や性別、年齢、人種の特徴まで好きなように調整することができます。
ポートレートだけでなく、風景の写真をアップロードしてオリジナルの風景が生成することもできます。
Canva
プレゼンテーションや広告バナー、名刺などのデザインを作成できるグラフィックデザインツール。
格納されたテンプレートや、アイコン、画像、フォントを使って、誰でも簡単にオシャレなデザインを作成できる便利なツールです。
その中の機能のひとつ「Text to Image」で、AIによる画像生成を利用できます。
理想の画像が見つからないとき、イメージする画像のテキストを入力すると、10秒ほどで画像を生成することができます。
この機能は無料版でも月500回まで生成が可能で、プロンプトは日本語にも対応。
誰でも簡単にAI画像生成を利用することができます。
Canvaの画像生成機能に関する詳細はこちら
実際に画像生成AIを使ってみた
実際に画像生成AIを使ってさまざまな画像を生成してみます。
今回は、簡単にお試しできる3つのツールを使って生成していきます。
お絵かきバリグッドくん
まずは、LINEで簡単に画像生成をお試しできる「お絵かきバリグッドくん」を使って、コラムの挿絵に使えるイメージ画像を生成してみます。
左の画像は、有料の画像素材購入サイトで購入したもの。
この画像に近いものを、お絵かきバリグッドくんは生成できるのでしょうか。
入力するプロンプトには、「握手する手、ビジネス、光」のキーワードを含ませました。
そして、お絵かきバリグッドくんから生成された画像がこちら↓
おおむね狙い通りといってよいでしょう。
画像生成AIでは、人間の腕や指の構造がうまく生成できないことが多いそうなので、比較的きれいに生成されているのではないでしょうか。
Stable diffusion
続いて、Stable Diffusionで存在しないはずのシチュエーションを生成してみます。
画像生成AIはゲーム制作や映画制作にも使われ始めているということで、SF映画に登場するようなシーンの画像を生成したいと思います。
生成したい要素は「宇宙船がアマゾンのジャングル奥地に着陸」。
高画質な画像を生成したいときに使われるプロンプト「8k, photorealistic」を使った画像とともに、古いセピア写真風や、浮世絵風の画像も生成してみました。
8K高画質
セピア写真風
浮世絵風
Artbreeder
Artbreederを使って、推し研の研究員2人の実写風アイコン画像をつくってみました。
はじめに顔写真をアップロードして、AIによる画像の認識を行うのですが、、、
2人とも目と前髪がうまく認識されなかったようなので、調整していきます。
調整の際は、他のユーザーが作成したポートレートの要素を足すこともできます。
調整して実写化した2人のポートレートがこちら。
髪型が変わってしまったのと、少し日本人離れした感じもあり、実写化完全再現、とはいきませんでしたが、2人ともハイクオリティなポートレートに。
肌の質感もとてもリアルです。
Canva
Canvaの「Text to Image」を実際に使ってみます。
Canvaはデザインツールなので、生成した画像を使い、コラムのサムネイルを新たに作成してみました。
作成するのはこちらのコラム「画像生成AIとは」のサムネイル。
Canvaは“誰でも簡単に画像生成やデザイン作成ができる”ということで、「コンピューターを操作する猫」というプロンプトを入力しました。
Text to Imageの中にある機能“スタイル”を使うと、生成する画像の画風を指定することができます。
アニメや水彩画、3Dモデルなどがありますが、今回はより精細な画像を生成するために、「写真」
のスタイルを指定。
今回は正方形で生成しましたが、横長、縦長での生成を選ぶこともできます。ト
猫が画面をみながらキーボードを触っている画像が生成できました。
生成した画像を使ってサムネイルを作ってみました。
今回は既存のテンプレートを使わずに作成しましたが、テキストや図形の挿入、画像の切り抜きなど、ある程度の機能がそろっているので、簡単にサムネイルやチラシ、プレゼンテーションを作成することができます。
筆者はデザインの知識などは特にあるわけではないのですが、それなりのクオリティで作成することができました。
今回はお試し程度に利用してみましたが、ある程度狙い通りに生成することができましたし、画像生成AIの高い学習能力を目の当たりにしました。
理想的な画像を生成するには、プロンプトの入力規則をしっかりと知っておく必要があるようです。
ゲームや漫画、映像に使用するような高品質の画像を生成するために、「プロンプトエンジニア」という職種が存在するほど、専門的で奥が深い分野のようです。
まとめ
2022年頃から注目度が急上昇した画像生成AI。
同時に、文章を生成する「ChatGPT」や、著作権フリーで使用できるBGMを生成するAIなど、AI活用の幅が広がっています。
ゲーム開発やクリエイティブ関連における活用事例が増えているようですが、今後法律関連の整備や、使いやすいアプリの開発などが進めば、導入のハードルが下がりより多くのシーンで活用されるようになるかもしれません。
今後の動向に期待が高まります。