アイドルやアニメのファン活動として若い世代を中心に広まっている「推し活(おしかつ)」。
アニメや漫画のキャラ、アイドル、俳優、声優…。推し活の「推し」にはさまざまな対象があります。
前回は「推し活とは具体的にどんな活動のことか」を解説しました。
今回は、アイドル推し活を中心に「推し」の存在と今どきのアイドルグッズについての考察をしながらアイドル推し活事情を解説していきます。
目次
デザイン性が光る雑貨も!男性アイドルグッズ事情
アイドルグッズといえば、コンサート会場で販売されるパンフやうちわ、ペンライトなどのライブグッズが思い浮かびます。
しかし最近では、ライブグッズ以外の雑貨やアパレルコラボ商品なども多くなってきました。
今回は、こっそり「推し活」をしているトランス社員からのヒアリングを通して「イマドキのアイドルグッズ」の事例を紹介・分析していきます!
円盤・写真グッズ
アイドルグッズの定番、カレンダーや写真集、パンフ、CDやDVD、Blu-rayなどのいわゆる「円盤」。
こちらは従来から大きく変わることはありませんが、音源がデジタルで購入できる時代になってからは
アナログの「円盤」商品はコレクションするための側面が以前よりさらに強くなってきました。
そういったコレクショングッズとして価値を高めるために特典やプレミアを付けたものが多くあります。
しかし意外にも重要になってくるのが、その装丁のデザイン性やコンセプトの企画性です。
DVDと写真集+肖像グッズ、雑貨の入ったセット。
このセットにはワッペンシールが付いており、自分の服や文具に付けて推しグッズにできるのがうれしい。
K-POPでよくみられる、年末年始の毎年恒例ファンボックス「シーズングリーティング」(略して“シーグリ”)。
カレンダーなどを同梱したDVD BOXには 、パッケージや写真集を撮影中の様子を収めた特典映像などが収録されている。
以前はアニメグッズの印象が強かったアクリルスタンドですが、現在ではアイドルグッズとしても定着しています。
アクリルスタンドはコレクションするだけではなく、アクリルスタンドをカバンにいれてカフェ巡りや聖地巡礼で一緒におでかけを楽しむ人も多いのです。
ロゴ・イメージグッズ
MVのイメージロゴやカラーを使用した、楽曲コンセプトのオリジナルグッズが人気です。
インテリア雑貨などもあり、オトナでも持ちやすい洗練されたデザインがポイント。
パッケージデザインもかわいいものが多く、そのまま飾っておきたくなります。
パッと見では普通のかわいい雑貨グッズでしかないので、「あまり周囲にオタバレしたくないけど推し活はしたい」という人にはとてもうれしいアプローチ。
それでいて、ファン同士であればすぐに推しのグッズと気付けます。
また、グループのロゴやメンバーカラー、ツアーロゴやアルバムロゴが入った雑貨グッズも人気。
文房具、写真アルバム、キーホルダーや爪やすりをはじめとしたコスメグッズなど、女子の需要にマッチした雑貨が幅広く展開されています。
ペールカラーでポップなテイストにまとめられて、ファングッズでなくても手に取りたくなるかわいいデザインの雑貨。
飾っておきたくなるようなかわいいデザインのパッケージで販売されたボールペン。
ファンが喜ぶポイントをとらえた、細やかなこだわりが光る。
MVのポップなイメージに合わせて製作されたグッズ。
爪やすりをはじめ、コスメ雑貨も展開。
女性ファンが欲しいと思うグッズラインナップを追及している。
アパレル・アクセサリー
アイドルのアパレルグッズといえば、ツアーTシャツやスタジャンのようなものが思い浮かびますが最近はアパレルブランドとのコラボ商品も多くなってきました。
最近ではユニセックスなアパレルを着用するアイドルも多いので、推しと同じコーデを楽しみやすくなりました。
推しの着用・愛用ブランドのものを持つのは、今も昔も変わらず。
推しのインスタのプライベート写真や雑誌でブランドをチェックして、入手可能ならゲットしたり、よく似た服でアレンジして推しとお揃いコーデを楽しんだりします。
ちょっとしたコスプレ感覚で推しコーデを楽しむのもアイドル推し活の醍醐味です。
ネックレスやリングなど、公式で販売されるグッズアクセサリーはもちろん人気です。
グッズのアクセサリーもコーデに取り入れて身につけます。
学生では公式アクセやブランドコラボ商品は高すぎて買えなかったり、価格的には買えるが自分の年齢や指向に対してデザインが合わず使えなかったりと、アパレルやアクセサリーはファンの年齢層が幅広ければ広いほどジレンマが起きてしまう側面もあります。
熱心なファンなら、自身に似合わなくとも推しのコレクショングッズとして手に取ってくれますが、より多くのファンの支持を集められるのは、どの世代にも受け入れやすいデザイン性や企画性が求められます。
”メンバープロデュース”のグッズにも注目!
近年は、アイドルの肖像やロゴを活用したいわゆる”アーティストグッズ”ではなく、アイドル本人がクリエイターとしてプロデュースしたキャラクターグッズを展開するケースも増えています。
アイドルやアーティストのファンはもちろんのこと、キャラクターグッズ自体のかわいらしさで、ファンでない人にも幅広く訴求できます。
アイドルグッズのおさえておくべきポイント
今どきのアイドルグッズの傾向を紹介してきました。
男性アイドルの女性ファンをターゲットとしたグッズには、どんなものに反響があったのか。
アイドルグッズで、おさえておくべきポイントをまとめてみます。
ファッション性が高いか
→推し活で重要な「生活の一部に推しの要素を取り入れたい」需要に直結します。かわいくておしゃれで、それが推しのグッズなら購入に迷いはありません。
推しの持つ世界観が出ているか
→推し本人のパーソナリティや背景、曲に対する本人たちの想いが反映されているものなら、仮にファッション的には自分の指向に合わなくてもファンは喜んで受け入れます。
センスのある遊び心があるか
→ファンの予想を上回る、良い意味で裏切ってくる面白さ。さらに言えば、その遊び心のある企画の発案に推し本人が関わっているなら、推しのカワイイところを垣間見ることができるので、それだけでも癒されます。(そしてもちろん買う)
練りこまれたコンセプトがあるか
→デザインの統一性や、企画の面白さなど、「さすが私の推し!いい仕事してくれる!」とファンであることを誇りに思い、周囲にも「このグッズかわいいでしょ!」とアピールしたくなります。つまり、ファンが自らグッズを宣伝してくれます。
トレンドをしっかりと押さえているか
→トレンドの概念は、SNS・ファッション・推し活などを横断し、すべてがどこかでつながっています。
そのため、流行感度の高い推し活女子たちが手に取ってくれるアイドルグッズに仕上げるためには、さまざまなジャンルのトレンドを学び、適切なタイミングでグッズに落とし込む必要があります。
推しのものならなんでも買うファンももちろん多いですが、それでもグッズの数が多いコンテンツであれば、ファンも手にするものを厳選します。
上記の要素が当てはまったグッズは、その中でも実際に売れ行きも良く、完売に至ります。
ファンにとっての「推し」アイドルの存在
どのジャンルの推しでも同じことが言えますが、推しの映像や写真を眺めるだけでは飽き足らず自身もなにかしら表現したい、活動したい欲求に突き動かされるのが「推し活」の神髄です。
推しへの愛を、コーデやファンアート、ハンドクラフトで表現する人もいれば、推しと同じ趣味を始める、推しの言語を学ぶ、などで推しと感覚を共有する人もいる。
特に、推しがアイドルの場合、現在進行形で同じ時代を生きる人間として彼ら彼女らのそのパーソナリティを尊重する傾向があります。
推しが今までとは違う新たな活動を始める、そのために今までの活動を縮小することもある。
それも推しの望みであるなら応援していきたい、という一種の親心(同世代であれば同志意識)が働きます。
推しが撮影で来ていた服装を参考に、似た色と形のボアブルゾン、Tシャツ、ネックレス、ボトムを揃えたコーデ例。
これも、推し活であり、推し活する人自身の、自己表現のひとつでもあります。
別に推しと付き合いたいわけではないし、ペアルックしたいわけでもない。
ただ、推しに似た服を身につけることで、ちょっとだけ推しの感覚を共有できるような気がする。
でも、共有できるからと気合を入れまくって着てるわけじゃない。
今日の自分のコーデのテーマを推しにするだけでなんとなくテンションが上がるから。
服装や持ち物など日々の生活に、自分の好きなものをアクセントで入れると、いつもよりちょっと楽しくなりますよね。
アイドル推し活も、そういう日々のアクセントとして行っている人が多いのです。
時代とともに変わるアイドルグッズ
K-POPアーティストの「グッズ販売機会の創出の手法」や、ファン心を刺激する「表現力の高いオリジナルグッズ」はとても参考になります。
これまでアイドルグッズといえば、ペンライト、Tシャツ、ツアーパンフなど、コンサートツアーグッズが主流でした。
しかし、コロナ禍でライブコンサートが思うように開催できなくなった2020年~2022年ごろに”EC経由でも入手できるグッズ”の需要が高まり、そのまま今に至っています(ライブコンサートの会場物販も復活しており、2024年現在ではEC経由と現地販売が共存している状況です)。
そして、テレビメディアではなくSNSメディアを通して話題になるグッズ企画は、新規ファン層の開拓にもつながります。
推し活需要を的確に捉え、デザインコンセプトをよく練ったアイテムこそ今後のグッズ展開の突破口になるのではないでしょうか。
推し活したいファンの心をくすぐれるようなアイドルグッズの製作や企画のアイデアをぜひご相談ください。
トランスからもご提案させていただきます!