近年、日本でもさまざまな企業が「SDGs」に積極的に取り組んでいます。
企業価値を向上させ、ビジネスチャンスにもつながるとあって「ヒト・カネ・モノ」を投入していますが、若者の心に本当に「刺さっている」のかどうか疑問を感じている企業担当者も少なくありません。
そこで本記事では、SDGsの取り組みをアピールし、若者の好感度をアップさせた企業の戦略やプロモーション活動、成功の鍵となったポイントなどをご紹介します。
目次
SDGsとは?2030年までに達成すべき17の目標
SDGsとは、2030年までに達成すべき17の国際目標を指します。具体的に見てみましょう。
SDGs | |
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1 | 貧困をなくそう |
2 | 飢餓をゼロに |
3 | すべての人に健康と福祉を |
4 | 質の高い教育をみんなに |
5 | ジェンダー平等を実現しよう |
6 | 安全な水とトイレを世界中に |
7 | エネルギーをみんなにそしてクリーンに |
8 | 働きがいも経済成長も |
9 | 産業と技術革新の基盤をつくろう |
10 | 人や国の不平等をなくそう |
11 | 住み続けられるまちづくりを |
12 | つくる責任つかう責任(生産・消費) |
13 | 気候変動に具体的な対策を |
14 | 海の豊かさを守ろう(海洋資源) |
15 | 陸の豊かさも守ろう(陸上資源) |
16 | 平和と公正をすべての人に |
17 | パートナーシップで目標を達成しよう(実施手段) |
17の目標は、社会・経済・環境の3分野の他に、それぞれの分野と横断的に関わる枠組みに分けられます。
貧困や不平等、福祉や教育、環境問題、気候変動、クリーンエネルギー、平和と公正など、世界中の人々が直面し、協力して解決することが求められている問題ばかりです。
SDGsに対する日本の若者の関心度
「電通」の社内プロジェクト「電通Team SDGs」が2020年に実施した「第3回SDGsに関する生活者調査」によると、学生(小学生から大学生までを含む)の約2人に1人(45.1%)が「SDGs」という言葉を認知しており、将来を担う世代のSDGsへの関心の高さがうかがえます。
とりわけ10代男性は2019年の前回調査の28.9%から55.1%、20代女性は9.3%から31.7%と、認知割合が急激に上昇しました。
年代別・職業別に見ても、日本の若者の関心度や認知度が高いということが明らかになりました。
若者のSDGsとの接点
若者(大学生~20代)のSDGsとの接点は、大きく2つ挙げられます。
若者は知らず知らずのうちに、SDGsに関する知識を学校教育で学んでいます。
中学や高校の英語の授業では環境問題やフェアトレード、気候変動の題材にした英文を読み、地理の授業では貧困、多文化共生、格差などについて学びます。
大学では、社会的課題について学ぶ学部を設けている学校などもあります。
さらに、SNSやインターネットを通じて、社会的課題に接触する機会が増えています。
スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(17)の活動をインターネットで知り、SDGsに興味を持つようになった若者も、少なくありません。
学校教育
現代の若者は幼い頃からの教育課程で社会的問題との接点が増えており、学校の授業で学ぶ機会も多いことから、必然的に身近な問題となっているのが実情です。
例えば、社会で学ぶ食料自給率の話から目標1の「貧困をなくそう」、目標14の「海の豊かさを守ろう(海洋資源)」、目標15の「陸の豊かさも守ろう(陸上資源)」へとつながり、戦争や平和の単元から目標16の「平和と公正をすべての人に」へと発展し、自分で調べるようになります。
さらに、理科の「気候」の単元からは、目標13の「気候変動に具体的な対策を」といったことを考えるきっかけとなります。
「同じ年齢なのに学校に通えず、働いている子どもがいる」、「温暖化がさらに進めば人が住めなくなる」など、世界の現実に目を向けることができるため、「SDGs」という言葉自体は知らなくても、小学生でも理解できるようになっています。
文科省の定めた「新学習指導要領」が、小学校では2020年度から、中学校では2021年度から、高校では2022年度から実施されますが、今回の改訂で、「持続可能な社会の創り手の育成」が明記されました。
小学校の「家庭」や「道徳」、中学校の「社会」や「理科」、「技術・家庭」の教科書に、「持続可能」という言葉が登場することでSDGsの担い手づくりに尽力します。
SNS・インターネット
若者の検索能力は素晴らしく、調べようという意志さえあればさまざまな情報を集めることができます。
SNSやインターネットを介して、社会的課題に接触する頻度が上がっていることもあり、関心を持ったテーマについての情報をとことん収集します。
最近では、米国での黒人差別への抗議活動である「#BlackLivesMatter」などが若者の注目を集めていますが、インフルエンサーや友人のSNS投稿が「知るきっかけ」となり、自分でより深く掘り下げようとする若者もいます。
さらに、コロナ禍において「おうち時間」が増えたことに伴い、インフルエンサーの発信する情報に触れる時間も増加しています。
ちょっとしたきっかけから、社会的課題の実態について自ら調べたり、本を読み始めたりするなど、社会的課題に関する知識を積極的に集める若者も増えています。
日本の若者が身近に感じるSDGsの項目
前述した「電通」の調査によると若者は、プラスチック素材の利用を控える「脱プラ」、必要最低限のもので生活する「ミニマリスト」、もの・場所・技能などを貸し借りする「シェアリングエコノミー」に高い関心と共感を示しています。
SDGsの17の目標のうち、若者がより「自分事」として感じやすい(自分ゴト化)項目は、目標12の「つくる責任つかう責任(生産・消費)」、目標13の「気候変動に具体的な対策を」です。
若者が「脱プラ」などに対して「自分ゴト化」しているのは、「環境破壊や気候変動の問題を放置しておけば、いずれ自分自身に跳ね返ってくる」という自覚を持っているからです。
未来の地球に社会的責任を持つことになる若者は、今後の人生に直接的または間接的に降りかかる課題に、危機感や強い問題意識を持っているのです。
SDGsに取り組む企業に若者は好印象を抱く
SDGsに取り組む企業は、サービス・商品の購入、就職などのシーンで若者から好印象を持たれています。
経済広報センターが2019年に実施した「SDGsに関する意識調査」によると、「SDGsに取り組んでいる日本企業の製品・サービスを利用したいと思うか」という問いに対する回答として、「そう思う」(45%)、「やや思う」(41%)を合わせて「利用したいと思う」割合は86%でした。
国内の大手有力企業210社を評価する「企業版SDGs調査2020」においても、SDGsの取り組みと企業好感度には強い相関があり、SDGsの評価が50位以内の企業は平均と比べて好感度が約35%高いことが明らかになりました。
さらに、日経新聞が2019年に行った「SDGs経営調査」によると、SDGsへの取り組みに積極的な企業はそうではない企業に比べて収益力(売上高営業利益率、自己資本利益率)が高い傾向にあるそうです。
若者向けのSDGsプロモーション・取り組み事例
SDGsを身近に感じられるように、若者の心のハードルを下げた企業や団体のプロモーション・取り組み、企画実績を6つご紹介します。
- TGC 「SDGs推進 TGC しずおか 2020 by TOKYO GIRLS COLLECTION」
- 吉本興業株式会社「SDGs-1グランプリ2020」
- 株式会社TBS「地球を笑顔にするweek」
- TABLE FOR TWO International
- 象印マホービン株式会社 「MY BOTTLE IS A BATON」
- 株式会社メルカリ「GREEN FRIDAY サステナブルファッションショー」
人気モデルなどが多数参加する大人気のファッションイベント「TGC(東京ガールズコレクション実行委員会ア)」は、17の目標カラーを意識したショーなどを行っており、「吉本興業」はSGDsをネタにいかに面白く伝えるかを競う「SDGs-1グランプリ2020」を配信、「TBS」は2020年11月末の1週間を「地球を笑顔にするweek」としてSDGsを特集する番組を放送しました。
「TABLE FOR TWO International」のおにぎりアクション、「象印」のマイボトル推進運動なども若者から強く支持されています。
TGC「SDGs推進 TGC しずおか 2020 by TOKYO GIRLS COLLECTION」
参考:https://www.w-tokyo.co.jp/news/news57.html
「TGC(東京ガールズコレクション実行委員会)」は2020年1月、「SDGs推進 TGC しずおか 2020 by TOKYO GIRLS COLLECTION」を開催。
輝く女性の代表として大勢の人気モデルやゲストがステージに登場し、感度の高い若者に向けてSDGsの情報を発信しました。
「SDGs推進 TGC しずおか 2020 by TOKYO GIRLS COLLECTION」には約12,100人が来場。
イベントを生配信した「LINE LIVE」の視聴者数は約960,000人に上り、大盛況だったようです。
「サステナブルSTAGE」では、ファッションに興味のある若者に向けて、SDGsの目標12の「つくる責任、つかう責任(生産・消費)」などの推進を目的にサステナブルを訴求するファッションショーを展開し、賛同した3企業が考える「循環型ファッション」を発信しました。
吉本興業株式会社「SDGs-1グランプリ2020」
「吉本興業」は2020年10月15日から18日までの4日間、映画、アート、笑いを集結させた「京都国際映画祭2020」を、オンラインで開催。
17日には同年で4年目となる恒例の「SDGs-1グランプリ2020」が行われ、大人気の芸人たちがネタで分かりやすくSDGsの推進を訴えました。
「SDGs-1グランプリ2020」では、今注目の芸人に17の目標から一つを選んでもらい、それをテーマにネタを披露。
「笑いを交えて、誰が一番、分かりやすく、楽しく伝えることができたか」を競いました。
グランプリに輝いたのは佐久間一行さん。
副賞として佐久間さんは「よしもとSDGsアンバサダー」に就任し、1年間、「吉本興業」のSDGsにまつわるさまざまな仕事を行うそうです。
株式会社TBS「地球を笑顔にするweek」
「TBS」は、2020年11月23日から29日までの1週間を「地球を笑顔にするweek」として、世界や日本で進むSDGsの取り組みなどを紹介しました。
TBSテレビ、TBSラジオ、BS-TBSなど、全社挙げてのプロジェクトで、香川照之さん、指原莉乃さん、アナウンサーの安住紳一郎さんの他、17人のアナウンサーと一緒に、SDGsをクイズ形式で楽しく学ぶ番組「地球に住む私たちの17の目標とは?」などが放送され、TBS全番組が「SDGs一色」になりました。
11月23日に放送された「CDTVライブ!ライブ!」では、アイドルグループ「NMB48」が出演。
SDGsの衣装を着用し、圧巻のパフォーマンスを繰り広げながら若者にアピールしました。
TABLE FOR TWO International
世界の食料問題の解決に取り組む特定非営利活動法人「TABLE FOR TWO International」は、2020年で3回目となる「ジャパン SDGs アワード」(主催:SDGs推進本部-本部長:内閣総理大臣)で、「SDGs 副本部長(外務大臣)賞」を受賞しました。
受賞対象となった「おにぎりアクション」は、日本の代表的な食である「おにぎり」の写真をSNS(Instagram, Twitter, Facebook)もしくは特設サイトに投稿すると、写真1枚の投稿につき給食5食分に相当する寄付(100円)を協賛企業が提供し、「TABLE FOR TWO International」がアジアやアフリカの子どもたちに給食をプレゼントするという取り組みです。
これまでの5年間で、450万食の給食を開発途上国の子どもたちに届けました。
象印マホービン株式会社「MY BOTTLE IS A BATON」
参考:https://www.zojirushi.co.jp/cafe/action
「象印」は、マイボトルを普及するプロジェクト「MY BOTTLE IS A BATON」を2006年から続けています。
「MY BOTTLE IS A BATON」では、SDGsの目標12の「つくる責任 つかう責任(生産・消費)」と、目標14の「海の豊かさを守ろう(海洋資源)」に貢献することを目指しています。
2011年からは、10万人以上が来場する国内最大級といわれる音楽フェスティバル「FUJI ROCK FESTIVAL」に協賛しています。
「出張!給茶スポット」として、マイボトルを持参した来場者に日本茶販売の老舗「袋布向春園本店」のほうじ茶を無料で提供する活動も「MY BOTTLE IS A BATON」の一環として行っており、毎年マイボトルを携えた「フジロッカー」たちで大にぎわいとなっています。
株式会社メルカリ「GREEN FRIDAY サステナブルファッションショー」
参考:https://about.mercari.com/press/news/articles/20201113_mercarigreenfriday
「メルカリ」は、2020年11月26日に新作ゼロの「サステナブルファッションショー」をオンラインで開催しました。
グリーンフライデーは米国発祥のブラックフライデーに対抗し、持続可能な消費を促す運動です。
ファッションショーでは一般参加者からモデルを応募し、モデルが持参した自宅にある着なくなった服をベースに、スタイリストの小山田早織とファッションアドバイザーのMBが自身の私物やメルカリで購入した服でスタイリングを構成。
国内シェアの高いフリマアプリ「メルカリ」のビジネスモデルから連想しやすい、古着によるサステナブルファッションショー。
SDGsに関わることが自分の生活の中で身近であることであると感じた若者は多いのではないでしょうか。
SDGsの取り組みにつながるオリジナルグッズ企画・製作
※写真はシャンブリックトートバッグ(『シャンブリックトートバッグ』について詳しく見る)
「SDGsに取り組むこと」をアピールすることで若者の共感を呼び、好感度が高まり、企業イメージがアップします。
逆に、「SDGsに取り組まないこと」こそがリスクでありビジネスチャンスを逃しているといっても過言ではありません。
だからといって、「全社挙げて、プロジェクトを早急に立ち上げよう」と構える必要はありません。
まずは、身近でできることから始めてみましょう。
例えば、リサイクル資源を使ったグッズ、エコ素材のノベルティ、プレゼントを配るのも一つの方法ですし、日常使いできるおしゃれなデザインのエコバッグを作製し、何度も使ってもらうことによりレジ袋の使用量を減らすというのも良いでしょう。
「かわいくて使いやすいエコバッグだと思って愛用していたら、実はエコ素材だった」という発見が若者受けしやすいようです。
従業員全員がタンブラーやマイボトルを持ち歩き、使い捨てのペットボトルや紙コップの使用量を減らす努力をしていることをSNSで紹介するのもアイデアの一つです。
SDGsの目標12の「つくる責任 つかう責任(生産・消費)」に貢献していることをアピールできます。
トランスがおすすめする SDGs に該当するオリジナルグッズ
オーガニック農産物等の生産方法についての基準に従って2~3年以上のオーガニック農産物等の生産の実践を経て、認証機関に認められた農地で、栽培に使われる農薬・肥料の厳格な基準を守って育てられた綿花のことです。
まとめ
企業価値を向上させ、ビジネスチャンスにもつながるSDGs。
未来に危機感を抱く若者は、SDGsに取り組んでいる企業に好感を持ち共感を覚えます。
「売り手よし、買い手よし、世間よし」という近江商人の心得である「三方よし」は、まさにSDGsにピッタリの考え方です。
「SDGs×若者」のプロモーションやグッズ作製は、「トランス」にお任せください。
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